sleepy.ab『neuron』
[ interview ]
昨年6月に、約10年間バンドの屋台骨を支えたドラマーの津波秀樹が脱退。一時はバンド存続も危ぶまれたsleepy.abだったが、サポートに鈴木浩之(元ART-SCHOOL)を迎えて創作意欲を取り戻したバンドは、精力的なライヴと楽曲制作を並行して新たなモチヴェーションを熟成させてきた。
そして完成したニュー・アルバム『neuron』は、変わらぬsleepy.abらしさ――膨大な種類のエフェクターを駆使したドリーミーなギター・サウンドとメロディー――をさらに深めたうえで、かつてないほど躍動的なリズムが炸裂する、新鮮味溢れる作品となった。新たな楽曲制作の方法論も積極的に導入された、〈sleepy.ab第2章〉の幕開けを告げるこの新作について、成山剛(ヴォーカル/ギター)に話を訊いた。
いままで以上のものを作りたい
――今回のポイントはやはりドラマーの交代だと思うんですけど、鈴木さんとはどんな経緯でいっしょにやることになったんですか。
「ART-SCHOOLの頃に1回対バンしたことがあるのと、同じレーベルにNeat’sがいて、そのサポートでも見ていたんですよ。いままでとはまったく違うタイプのドラマーなんですけど、そういう人を入れて再構築したいという思いがあったので、彼が適任なんじゃないか?と。最初はレコーディングをやってもらうということだったんですけど、ライヴもいっしょのほうがいいなと思って、いまに至ります」
――違うタイプの人を入れたい、というのは?
「というか、〈同じじゃなくてもいい〉ということですね。だから〈こういうふうに叩いてくれ〉ということもあまり言わなかったし、いままで以上のものを作りたいという気持ちがまずあったんです。なので(これまでの)真似をしたらそれ以上のものにはならないし、彼のいいところがなくなってしまうので、彼のいいところをこのバンドで出したかったということですね」
――去年発表したシングル『アンドロメダ/Lost』のドラムは、まだ津波くんですよね。
「そうです。(新作に収められている)“アンドロメダ”“Lost”“darkness”“torus”“lump”は津波です」
――ああ、“torus”は絶対そうだと思った。音色がかなり違うので。
「わかります? 津波はシンバルで盛り上げるんですよ。あと、スネアのリリースが長いとかね。前半の2、3、4曲目とかの、鈴木くんの曲とは全然違いますよね」
――鈴木さんはキックとスネアをしっかりと噛み合わせて、ぐいぐい運んでいく推進力があるというか。
「そうなんです。ライヴもすごくて、エモいことになってます(笑)。sleepy.abってわりと淡々と演奏してるところがあったと思うんですけど、(鈴木に)ガーッとこられたから俺たちも感化されて、最近はライヴで汗かいてます(笑)」
――正直、リズムが変わるとこれだけ印象が変わるものかと思いましたよ。
「ただし、いままでもドラムがフレーズを作るというよりは、曲を作った人がリズム・アプローチを考えていたので、制作に関してはそんなに変わったことはないんですけどね。今回は鈴木くんを意識してアプローチしたところはあります」