インタビュー

ねごと 『5』



何でもアリのバンドだった!



ねごと0206_J170

2枚目のフル・アルバム『5』。冒頭の"greatwall"から、リズム・アプローチも音の抜き差しも緻密でダイナミック。4人のプレイヤーとしての技量の高まりや、キャパシティーの拡大を窺わせてくれる。そして初期衝動的な勢いを感じさせた前作との最大の違いは、バンドのクリエイティヴィティー面での長足の進化だ。歌が描き出す、陰と陽が複雑に重なる世界観(随所に迷いやほろ苦さが滲んでいて、〈大人びた〉と言いたくなる)も、先を読ませないヒネリの利いたアレンジも、ねごと独自の切り口で聴かせてくれる。以前から試みていた工夫が、ここで大きく花開いている。

本作では実に多彩な楽曲が披露される。煌びやかなシンセを効かせたサウンドメイクと、それに反してどこか不穏で緊張感のある展開が新鮮な“トレモロ”や、残響音たっぷりのドリーム・ポップ“街”、“カロン”“ループ”を思わせるポップなメロディーの"Re:myend!"に至っては電子音が弾けるスペース・ロックだったりする。こういう曲をやるバンド、と一口には括れなくなった……というか、こういう何でもアリのバンドだったのか!と認識を改めさせてくれる。

そして芯の強さと無邪気さを兼ね備えたヴォーカルに重なる、フェアリーなコーラスワークの巧みさも特筆したい。それがあるから、どの曲も至極ポップに仕上がっているし、全体に統一感がある。その優れたバランス感覚こそが、彼女たちの真価なのだと思う。


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掲載: 2013年02月06日 18:01

更新: 2013年02月06日 18:01

文/鬼頭隆生