BRAHMAN 『超克』
[ interview ]
メロディーやリズムだけでなく〈生き様〉のようなものをそのまま音楽として鳴らしているロック・バンド。理屈ではなく、方法論でもなく、とにかく身体を揺らす熱量と迫力を問答無用で放つバンド。言葉で言うのは簡単だけれど、本気でそういうことをやれる存在は数少ない。そして、BRAHMANはいま、間違いなくその筆頭に挙げられるバンドだ。
5年ぶりのニュー・アルバム『超克』を完成させた彼ら。そこに至るまでの道程には、さまざまな出来事があった。これまで何度も彼らのインタヴューで語られてきたことだが、やはり大きな転機となったのが、2011年3月11日の東日本大震災だった。彼らは誰よりも早く立ち上がり、何度も被災地に足を運び、2年間、みずからの手足で支援を形にし続けてきた。昨年に東北で開催された〈AIR JAM 2012〉でも、圧倒的なステージを見せた(本作の初回限定盤にはその映像もフル収録されている)。
そういった日々が彼らの音楽をどう変えたのか。バンドにとって一つの集大成となった新作について、TOSHI−LOWに話を訊いた。
あくまで通過点
――アルバム、非常に素晴らしかったです。鳴らされるべき音が鳴ってるという印象でした。震災を機にバンドが変わり、その一つの到達点としてアルバムを作られたと思うんですが、出来上がった時の感覚ってどういうものだったでしょうか。
「アルバムが一枚出来たっていうことは、今日まで生きてこれたなっていうのもあるし、そこから何年かこのアルバムを引きずってのストーリーが出てくるんだろうなっていうものでもあって。ただ、アルバムが意味してるものは、いつも何年か後に〈あ、こういう意味だったんじゃないかな〉と感じることのほうが多いので。志とか道の途中、通過点なので、完成させたという感はいつもないんですよね」
――今回のアルバムは、シングル“露命”のときのbounceインタヴューでもおっしゃっていたように、音楽的にも新たなものを探す感覚、手癖に頼ってない感覚が宿っているように感じるんですけれども。
「まあ、いわゆる〈俺節〉みたいなものは誰でもあると思うし、自分たちの引き出しも別に多くないと思うんで、これまでの自分たちが持っているものに頼ってはいますけどね。ただ、もともとあるものをただ単に出すのと、自分の可能性を見い出して努力するのとは、同じことをやってても丸っきり違うことだと思うので。メンバーを見てると、20年近くバンドをいっしょにやっていて、いまさら一人でずっと練習したりしてるんですよ。自分で作ったフレーズを自分で弾けなかったりするのを、努力して弾けるようにしている。そういう姿勢がどこから来たのかって言えば、2011年の3月11日に気付かせていただいたことはすごく大きいんじゃないかな。それはもう、隠せないなっていう」
- 次の記事: INTERVIEW(2)――日本から逃げたくない