インタビュー

阿部真央 “最後の私”



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[ interview ]

阿部真央の2013年最初のシングル“最後の私”は、〈愛しさ手放すことは/ただ見送るよりも苦しいですね〉というフレーズが強く印象に残るバラード・ナンバー。彼女自身が実際に経験した失恋をベースにしたこの曲は、生々しい感情を描き出しつつ、普遍性も併せ持った聴き応えのあるものになっている。

その根底にあるのは、みずからの体験を客観的に見つめながら、幅広いリスナーにアピール可能な楽曲を生み出せるソングライターとしてのセンスの良さ。デビューから5年目を迎えた彼女はいま、アーティストとしてさらに充実した時期に入りつつある――“最後の私”を聴けば、誰もがそのことを実感するはずだ。



恋愛をしていたほうが曲は書ける



――ニュー・シングル“最後の私”は、昨年6月に発表されたアルバム『戦いは終わらない』以来のリリース作品となります。この曲を書いたのはいつ頃ですか?

「去年の秋くらいかな。9月にアルバムのツアーが終わって、10月にMANNISH BOYSさんのライヴに参加させてもらって、その後はライヴDVD(「阿部真央らいぶNo.4 @渋谷公会堂」)の制作をやってたんですけど、そのくらいの時期にこの曲を書いて」

――アルバム以降、音楽的な方向性についてはどんなイメージを持ってました?

「全然考えてなかったです(笑)。ツアー自体もすごく濃かったし、その感覚のままDVDの制作に入ったから、アルバムからも離れられない感じだったんですよね。〈次に向けて〉みたいなことは一切考えられなかったし、曲作り期間でもなかったんですけど……ちょうどその頃、恋をしてたんですよ」

――お、いきなりきましたね。

「何でですか(笑)? 恋はしますよ、人間なんだもの。でね、その恋が終わってしまったんですよね。かなり儚い恋だったんだけど、その傷心のうちに生まれたのが“最後の私”だったんです」

――以前、恋愛をしていないと曲が書けないって言ってましたよね。

「言ってたね~。いまも変わらないんですけどね、基本的には。恋愛していたほうが曲は書けるし、それがないとつまんない」

――なるほど。“最後の私”にも、去年の恋愛の経験がそのまま反映されてるんですか?

「うん、思ったことや感じたことをそのまま書いてますね。雪は17時から降ってないけど(歌詞のなかに〈雪は17時を過ぎてから/思い出かき消すように積もって〉というフレーズがある)、それ以外はぜんぶ自分の経験です」

――〈貴方に出会えて私は変われたの〉というフレーズがすごく印象的でした。恋愛って、人のポテンシャルを上げる作用もあると思うし……。

「うん、そうですよね。私の場合は今回の恋でめちゃくちゃ成長したわけではなくて、いろいろな場面で成長した自分が明るみに出る恋愛だったの。その前のいくつかの恋愛だったり、それ以外の生活におけるたくさんの人とのコミュニケーションのなかで、実は結構成長できてたんだよね。そのことに気付けたというか」



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掲載: 2013年03月06日 18:00

更新: 2013年03月06日 18:00

インタヴュー・文/森 朋之