ジャンクのポップス道に通じる歴代アクトたち
山下達郎 『SPACY』 RCA(1977)
ジャンクが提唱するポップスの先駆者として真っ先に思い浮かぶのは、やはりこの御大だろう。関わっているミュージシャンも初期のタツローと重複するし、ジャンクは村上“ポンタ”秀一の名演でも知られる本作に収録された“LOVE SPACE”をライヴでカヴァーしていたりも。 *北野
井上陽水 『あやしい夜をまって』 フォーライフ(1981)
声質と少しタメのある歌い方にどこか井上陽水の匂いを感じさせる……なんて考えていたら、ジャンク本人も彼からの影響を公言。シティー・ポップを思わせるジャンクの洗練された折衷感は、70〜80年代のニューミュージックと地続きのところにあるのではないだろうか。 *北野
山本達彦 『ゴールデン☆ベスト』 EMI Music Japan
その筋の愛好家に馴染み深いヴェテラン・シンガー・ソングライターは、人呼んで〈シティー・ポップの貴公子〉。往時の作品を振り返ってみると、その音楽性はかなり歌謡曲寄り。そうしたどこかいなたい味わいはジャンクに通じるものが。 *澤田
米米CLUB 『米 ~Best of Best~』 ソニー
天を飛翔する如く伸びやかに歌い上げるジャンクの朗々とした歌唱法に、カールスモーキー石井の面影がチラつくのは自分だけではないはず。音楽面でも都会的でファンキーなセンスが似通っているし、ジャンク版“ひとすじになれない”とか聴いてみたい! *北野
SING LIKE TALKING 『Togetherness』 ARIOLA JAPAN(1994)
佐藤竹善の透き通った歌声と圧倒的な歌唱力、メンバーそれぞれの高いプレイヤビリティー、アダルト・コンテンポラリーなサウンドなど、ジャンク好きならばきっとツボにハマる要素多数。お互いの直接的な繋がりはないが、リスナー層は被りそう。 *北野
オリジナル・ラブ 『SUNNY SIDE OF ORIGINAL LOVE』 EMI Music Japan
ソウル・ミュージックへの憧憬を強く感じさせる音楽性もさることながら、田島貴男のなりふり構わぬ熱いヴォーカル・スタイルにはジャンクとの共通項が。弾き語りツアーを敢行したりと、近年のシンガー志向もシンクロしてる? *澤田
羊毛とおはな こんにちは。』 Living Records Tokyo*(2008)
ソロ始動前のジャンクは羊毛とおはなの市川和則とバンドを組んでおり、インディー期のアルバム『A color』収録の“モノクロ”はそのバンド時代の楽曲なんだとか。本作は冨田恵一プロデュースということもあり、ジャンクにも通じるAOR寄りの一枚。 *澤田
大橋トリオ 『I Got Rhythm?』 rhythm zone(2009)
大橋トリオの作品から窺えるオールドタイミーな音楽への愛情は、ジャンクとも重なるところだろう。また、バック・バンドでドラムスを務める神谷洵平は、羊毛と同じくかつてジャンクと共にバンド活動をしていた仲。ジャンク作品にも編曲などで参加している。 *澤田
スガ シカオ 『FUNKASTiC』 ARIOLA JAPAN(2010)
ジャンク作品に演奏や作曲で関わるベーシストの坂本竜太は、スガのファンクネスを支えるバック・バンド、FUNK FIREのバンマスとしても活躍。『JUNK SCAPE』収録曲“誘惑”では自身のバンドであるSPICY KICKIN'を率いて重量級のファンク・ナンバーに挑戦している。 *北野
中澤信栄 『REAL NATION』 ヴィヴィド(2012)
ジャンクも参加した村上“ポンタ”秀一の最新作『Rhythm Monster』にてヴォーカルに起用されたのが、この実力派シンガー。そのパワフルな歌声やソウル〜AORを消化した音楽性に共振したのか、ジャンクもまた過去作のコーラスに彼を招いている。 *澤田
一十三十一 『CITY DIVE』 Billboard(2012)
シティー・ポップのスタイリッシュな側面だけでなく、ある種の軽薄さ、どこか浮わついた世界観までを継承/アップデートしてみせた2012年の重要作。その姿勢は、泥臭くなることも厭わないジャンクの無骨なソウル魂にもなぞらえることができる? *澤田
ペトロールズ 『Problems』 enn(2012)
元・東京事変の浮雲こと長岡亮介ら手練れ揃いの3人組による初の全国流通盤。ソウルやファンクなどの黒っぽさを漂わせたサウンドと、トリッキーなアレンジをものともしない確かな実力を備えた演奏に、ジャンクと同じく強力な人力のグルーヴを備えたポップ・ミュージックで攻めようという気概が。 *北野
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2013年03月19日 15:20
更新: 2013年03月19日 15:20
ソース: bounce 352号(2013年2月25日発行)
文/北野 創、澤田大輔