インタビュー

勝手にジャンクなルーツを探訪

 

ブラック・ミュージックに深く傾倒し、70〜80年代の英米のロック/ポップス・シーンの第一線で活躍したアーティストから多大な影響を受けているジャンク フジヤマ。ここでは、そんな彼のルーツを勝手な想像も交えて紐解いていきたい。

まず曲作りの面における影響を公言しているのは、70年代初頭にシンガー・ソングライター・ブームの旗手として登場したジェイムズ・テイラー(以下:JT)。JTを彷彿とさせるシンプルながらも美しくポップなメロディーラインは、ジャンクの楽曲のなかにも見つけることができる。なかでもダニー・クーチマーやラス・カンケルらの腕利きを擁したバック・バンド、セクションと共にJTが吹き込んだソウル・テイストのナンバーは近似性が高く、ジャンク・サウンドに胸をときめかせるリスナーにとってはド真ん中だったりするだろう。

メロディーメイカーということで言えば、サード・シングル“シェダル”のカップリングでカヴァーされた“Laughter In The Rain”のニー ル・セダカを取り上げたい。NYにあったソングライターたちの梁山泊、ブリル・ビルディング出身で、ポップスの真髄を知り尽くしたニールの作る洗練度が高くてロマンティックな楽曲は、ジャンクの大好物であるのは間違いない。

ヴォーカリストということでは、彼が学生時代から大好きだったという〈ゴッドファーザー・オブ・ソウル〉ことジェイムズ・ブラウンの噛み付くようなパフォーマンスにルーツを垣間見ることも可能。またブルーアイド・ソウル系では、AORの代表格であるボズ・スキャッグスの艶やかで、かつ時折ブルージーに響く歌声に何やら近いものを見たりも。

また、『JUNK SCAPE』には“ありふれた午後”というアーシーなフォーク・ナンバーが収められているが、その曲からはエリック・クラプトンへのシンパシーがはっきりと読み取れる。ジャンク フジヤマを構成する要素として、ブルースもまた欠かせないものなのではないか。

 

▼文中に登場した作品を紹介。

左から、ジェイムズ・テイラーの72年作『One Man Dog』(Warner Bros.)、ニール・セダカの75年作『Sedaka's Back』(Varase Sarabande)、ジェイムズ・ブラウンの70年作『Sex Machine』、ボズ・スキャッグスの72年作『My Time』(Sony)、エリック・クラプトンの77年作『Slowhand』(共にPolydor)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年03月19日 15:20

更新: 2013年03月19日 15:20

ソース: bounce 352号(2013年2月25日発行)

文/桑原シロー