インタビュー

INTERVIEW(4)——〈フライング!〉は危ない

掲載: 2013年04月03日 18:00

更新: 2013年04月03日 18:00



〈フライング!〉は危ない



武井誠
武井誠

――では続いて石井さんの曲“ウォーキング! ランニング! ジャンピング! フライング!”ですが。これは春っていうテーマに対する石井さんの回答のような?

石井「そうです。春っぽい……うん。俺っぽい春っぽさみたいなことですよ。“春の日”はなんとなくこういう感じなんだろうなっていうのをイメージして……俺は、もっとしっとりしてると思ってたんだよね。もう少しテンポも遅くて……」

桜井「ああ、そういうのもあったの。もっとメロウな感じのが。でも春って軽快なイメージが強いからね」

石井「うん」

桜井「だから、石井さんからどういう曲がくるか僕もわかってなかったけれど、方向性はわりと同じなんですよ。イメージ的には〈ホップ・ステップ・ジャ~ンプ!〉みたいな感じなんです」

石井「うん。まあそういうことですよね」

桜井「じめじめしてないでしょ?」

――じめじめしてないですね。あと歌詞は……。

桜井「歌詞は今回も難しいよね。〈羽撃け〉で〈はばたけ〉って読むの知らなかったもん」

石井「〈羽撃け〉で〈はばたけ〉って読むのがちょっと怖いっていうか、毒々しいっていうか、〈ああ、羽ばたいていいんだこれ〉って、ね? ええ。まあ別に、そんなに読むもんじゃないんで」

桜井「何を書いてるんだろう?って。このへんが珍しいなと思って。〈今日に死んだら〉とか書かないよね。ちょっとビックリしたの」

石井「そうですね」

桜井「あと〈躊躇い戸惑い黙って泣いて〉。〈泣いて〉もあんまり使わないよね?」

石井「そうかもしれないですねえ」

桜井「その意味で、ここは春っぽいって思ったの。珍しく人間的だから」

石井「そうなんです。だから、そういうことです。なんかね、いろいろあるじゃないですか。学生とか社会人とかね、学校のなかとか会社のなかとかでもいろんなことあるじゃないですか。そういうことをこの短さで書いたんです(笑)」

桜井「ホントに(笑)?」

石井「結構ホントなのよ(笑)」

――人間関係とかそういうこと?

石井「人間関係というか、まあ、なんていうんですかね? これ難しいですけどね。あんまりこう……だからまあ……もうこの程度にしておきますか(笑)」

桜井「なんとなく僕はもうわかった気がします」

石井「そう、なんとなく青さんはわかってる気がするんですよ。だからもうそんなもんでいいかなって」

桜井「〈潰れて見よう〉だからね」

石井「そうなんです、そうなんです」

――えーと……。

桜井「そこはね、うちの石井はミステリアス・ビューティーだから言わないです(石井、爆笑)」

石井「〈ウォーキング!〉〈ランニング!〉〈(強調して)ジャンピング!〉〈(さらに強調して)フライング!〉ですからね(笑)。だいぶ危ない方向に行ってますよ(笑)」

――ああ……事件の匂いがしてきましたね……。

桜井「ここまでですよ。〈ジャンピング!〉はまだいいけど、〈フライング!〉が危ないんですよ。危ないでしょ、〈フライング!〉は……」

――歌詞は春っぽくない方向に。

石井「でも春と言えば、“通り魔の季節”(2002年の『第2実験室 改訂版』に収録)とかもあるし」

桜井「あとウチらで言えば、“マグロ”(2002年作『第7実験室』収録)もあるし」

――ああ、そうですね(苦笑)。だんだん血生臭くなってきました……。

桜井「春って綺麗なものばかりじゃなくて、いろいろ出てくるじゃないですか。いろんな人がね(笑)。今回、そういったほうの役割は石井さんがやってくれたの。僕の“春の日”は、中野の駅前通りの桜が散ってる風景を考えていただければ」

石井「春っぽさは曲調で出してるんで、歌詞は置いといてくれたらいいですよ(笑)」

桜井「歌詞はエグいんですよ」

――エグいですね。わかりました、なんとなく。五月病みたいなものもありますからね。

桜井「それにしてもこれ、すごいヴォーカリゼーションですよね。低音から始まって、上に上がって」

石井「これさ、いちばん最後の最後でAメロがオクターヴ落ちたでしょ?」

桜井「うん」

石井「なんでそうなったかっていうと、たまたまBUCK-TICKの“MACHINE”を聴いてしまったからなんだよね」

桜井「(爆笑)わかる! 格好良いもんね、あれ」

石井「そう。オクターヴ低いところから始めたい!って(笑)」



実は20周年



村井研次郎
村井研次郎

――唐突な告白が(笑)。そしてラストは“Dog days”。やっとここまできました。

石井「岡村さんに訊いてみたいですね。なんで“Dog days”はオリジナル・アルバムに入らなかったのか。でも実際すごい難しいよね、あのメロディーは。ちょっと独特すぎて」

――今回アレンジはどなたが?

桜井「石井さんが」

石井「アレンジっていうようなことはしてないです。何も変わってないです」

桜井「変わってますよ。間奏丸々なくなっちゃったじゃない(笑)」

石井「間奏もね、オリジナル曲のほうはギター・ソロでもなくて、ただの間奏だったんで、どうすんですか?これ、みたいな感じで。しかも曲がすげえ長かったから、その部分をカットしたぐらいですね。若干シーケンス入ってますけど」

――CHAKAさんのパートはどなたが歌ってるんですか?

桜井「僕ですよ」

――強い女の子のイメージで(笑)。

桜井「渋谷のね、ギャル。すっごい投げやりな感じ。いつの時代もそういう感じですね。〈車のない男に興味はないわ〉って。やっぱりね、岡村さんのオリジナルを聴いて思ったけど、石井さんのヴォーカリゼーション的な部分で難しいなって思ったのは、これ、曲のなかで小芝居するんですよ」

石井「(笑)」

桜井「するよね?」

石井「するね(笑)」

桜井「すっごく小芝居するんですよ、1曲のなかで。1曲のなかにドラマがある。歴史に残る勇気を振り絞って告白すると、女の子が〈車のない男に興味はないわ〉って言うじゃないですか。で、そこに〈はあ~っ〉てため息とかが入ってるんですよね。そういうの、石井さんは完全に無視してる」

石井「ははははは(笑)」

桜井「逆にやってたら笑っちゃうけど(笑)」

石井「cali≠gariの小芝居担当は俺じゃねえなっていうね(笑)。あと岡村さん、間奏ではだいたい〈マイガール!〉って言ってるから(笑)」

桜井「それがないと、やっぱり岡村さんの曲じゃないなって思うし。でもそれがね、87年とかで確立されてるわけですよ。いま聴いても全然色褪せてなくて、ホント格好良いなと思って。今回やれてホントよかったわ、これ。いろいろ勉強になりました。コードもよくわかんないしね。〈岡村さん、どこ弾いてんの?〉って。でも訊いたら負けな感じがするし。たぶんもう覚えてないような気がするし(笑)。歌も、〈世界一の秘密/悲しかったよ〉のあたりは難しかったんじゃない?」

石井「ああ~、うん」

――大変でした? 歌。

石井「歌、難しいですね。すごく。歌わないとそんな感じしないんですけどね、歌ってみるとすっげえ難しかったです」

――その難しい“Dog days”は、4月4日の目黒鹿鳴館公演で披露されるんですか?

石井「やらないでしょう」

桜井「だって“Dog days”は夏の歌でしょう?」

――あれ? リリース記念のライヴだと思っていたんですが……。

桜井「ほっといてくださいよ」

石井「それはもっと機が熟してからね。cali≠gariもいっぱい曲があるしね。目黒鹿鳴館でやるのに“Dog days”は……(歌詞が)覚えられないじゃないですか」

――そういう理由ですか(笑)。あと記念と言えば、cali≠gariは今年で20周年なんですよね?

桜井「僕だけね。cali≠gariで20周年っていうか、桜井の音楽生活20周年ってやつですよ」

――cali≠gariがいちばん最初のバンドなんですか?

桜井「最初ですよ」

石井「音楽生活20周年。それだったら俺も20周年だよね、たぶん。俺、今年で37だし、17のときからやってるからね。俺も個人的には20周年」

――おめでとうございます(笑)。何かお祝い企画のようなものはあるんですか?

桜井「それはまだ教えられないですね。またbounceさんに取材に来ていただかないと」

――リリースがあれば……タワーレコードなので。

桜井「出るかなあ」

石井「出ないかなあ」

桜井「それは、僕らがどれだけ神と対話ができるかによりますね(笑)」


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インタヴュー・文/土田真弓