本田早美花
ルクーのソナタは、華やかでありながら何か訴えるものがある
パリを拠点に活躍するヴァイオリニスト本田早美花。2011年秋には代役ながら、ウィーンのムジークフェラインでソリスト・デビューを果たし、今年1月日には宝塚や東京で開催したリサイタルで多くの音楽通を唸らせた。また、五嶋みどりのミュージック・シェアリングに招かれるなど、その活動は多彩だ。「ヴァイオリンを始めたのは3歳の時です。当時住んでいたマンチェスターのTVで、たまたま子供たちがヴァイオリンを習っているのを見て興味を持って、自分から〈あれやりたい〉と言い出したのがきっかけです。クリスマス前だったので、母がじゃあサンタさんに頼もうねって。でも家族中誰も持ち方すら知らなかったので、4か月間くらいは毎日ただ見るだけでした(笑)」
和波孝禧氏についた後、パリ音楽院でジェラール・プーレとオリヴィエ・シャルリエに師事。プロとして活動する現在はソロと同時に室内楽活動にも積極的だ。「メンバーのヴィオラ奏者のお父様がポリムニのレーベルを持っていて、彼に誘われたおかげで早くから録音が始められました。リュール作品集は作曲家本人からの依頼で制作したもので、マーラーのピアノ四重奏曲ではリュールが第2楽章以降を書いています」
プレシェ作品による『ノー・マンズ・ランド』というアルバムもある。「プレシェさんは、私たちが優勝したあるコンクールのゲスト作曲家でした。私たちのことをとても気に入って下さって、五重奏曲を書いても下さったんです。このアルバムはプレシェの室内楽作品全集でもあります」
ソロでは、イザイの無伴奏に続き、ロパルツ、ルクー、ショーソンがイザイに捧げた作品からなるセカンド・アルバムを発表した。「ルクーのソナタは、フランスでは日本でのフランクと同じくらい有名です。どの楽章も情熱を感じますし、華やかでありながら何か訴えるものがあって、私はとても好きなんです。ロパルツはフランスでも殆ど知られていませんが、独特の雰囲気がある作品。フレンチの割にはどっしりした重みのあるソナタですし、ブルターニュの大聖堂をイメージさせるような雰囲気が楽しめると思います」
さて、彼女の演奏は幸いにも今年再び聴くことができる。8月のアンサンブル・モンソロ公演がそれだ。「モンソロとしてはこれまでに3回ほど日本に来ていますが、今回はピアノ四重奏です。私たちのグループはフランスのエスプリを持っていると思いますが、モーツァルトやブラームスなどのドイツものもレパートリーだということを聴いていただきたいですね。その他にも吉田進さんの新作の日本初演も採り上げます。ご期待下さい」
写真©Balazs Borocz
LIVE INFORMATION
○8/2(金) 19:00開演 会場:浜離宮朝日ホール
出演:本田早美花(vn)、シルヴァン・デュランテール(va)、ジュリアン・ラジニアック(vc)、エマニュエル・クリスチャン(P)
http://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/