INTERVIEW(4)――崩れない土台が出来た
崩れない土台が出来た
ルイ
――その〈見た目〉の部分なんですけど、たとえばヴィジュアル系の歴史を見ていると、徐々にナチュラルな方向に変化していくバンドも多いわけですが、SCREWの場合はそういった見え方の部分についてはどんなこだわりがあるんでしょうか?
鋲「わりとどうでも良くなってきつつありますね。メイクしたいときにはすればいいし。もちろん楽曲とうまくリンクしていくのが理想ですけど、昔ほど作り込まなくなってきてるかな。より人間っぽくありたいというか、自然な自分でありたいと思うようになってきて。そこで弱い部分まで見せてしまってもいいと思うんですよ。そこで〈このバンドの支えになりたい〉と思ってくれるファンの人たちもいるはずだし(笑)。昔は強がって、ひたすらカッコつけてたんですね。だけど周りが全然見えてなくて、誰の目もないところでは、ひとりで落ち込んでたり。だけどいまではファンとの関係性をもっと信頼できるようになってきたし、弱味まで見せてしまうことが怖くなくなってきたというか」
和己「僕はむしろカッコつけてたいんですけどね(笑)。でもそうやって自分を出せるようになってきたのはいいことだと思う。イメージを作り込みすぎたり、わざと棘のあるような物言いをしてみたり、ちょっと機嫌の悪いふりをしてみたり……。昔はそういうところがあったけども」
鋲「そのほうがカリスマ性は出てくるのかもしれないけど、僕は演じきれなかった」
和己「もちろん作り込むことも場合によっては必要だと思う。だけどいまは、鋲自身が自分を楽しもうとしてるのがわかるし、そうあってこそヴォーカルとしてバンドを引っ張っていけるはずだと思うし。実際、バンドとしてもいまのほうがずっと楽しいんですよ。昔はみんな、どこか演じてるようなところもあった。だけどいまはより自分自身とイコールであれてると思うんで」
ジン「しかもそれによって音楽自体により集中できるようにもなってきた。昔の武器を使わなくても勝負できるようになってきた、と言ってもいいのかも。7年間やってきて、すごくそれは感じてます」
――そして、これからのSCREWがめざそうとしているのは?
鋲「正直、特にこれっていう目標はないんです。バンドがその時々でやりたいことをやって、長続きしていけばそれでいい。結果としてあとから何かついてくればいいとは思うけど。この作品についても、砂場でサラサラの砂で山を作り続けてきた自分たちが、こうして7年を経て、ようやくそれを固めることができたみたいな感覚なんですね。だからその山をこれから少しずつ高くしていければいいと思う。もう、崩れない土台の部分は出来たと思うから」
和己「もちろんもっともっと上をめざしたいし、売れたいですよ。そういう気持ちがないと続けていくこともできないと思うから。だからこそ砂の山に水をかけて、それをどんどん強固なものにしていきたい。その上にまた砂をかけていけばいいと思うし」
鋲「で、結果、そこに花が咲けばいいと思うんです」
――おっ、ちょっとカリスマっぽい発言でしたね。
鋲「ちょっとがんばってみました(一同笑)」
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