LONG REVIEW――SCREW 『SCREW』
原点に立ち返った進化過程
バンドという形態の醍醐味でもあるが、活動を重ねるなかで、転換点とも言える作品を生み出すタイミングが期せずして訪れることがある。結成から約7年。SCREWが放ったメジャー第1弾アルバム『SCREW』は、まさにそういった重要な位置付けとなるマテリアルになりそうだ。理由はいくつかあるとはいえ、最たるものが、オープニング・トラックの“微笑みを亡くした愛と自由”である。見せかけの疾走感や機械的な轟音ではなく、バンドゆえの重厚な佇まいと世界観をまず前面に押し出す。この冒頭だけで、本作に対する確たる自信がすぐさま伝わってくる。ある種の成熟と言ってもいいだろう。
全体像を眺めてみても、繰り返してきた音楽的実験を一気に集約させたことで、結果的に新たな扉を開くキッカケ作りもなされた印象だ。ライヴとも連関する、サウンド面の根幹にある〈激しさ〉をどう表現するか。たとえば、ロウA#のドロップ・チューニングによるヘヴィネスにしても、楽曲の起伏をしっかりと見据えることで特性が際立った。また、骨格となる構成要素を従来より削ぎ落としたぶん、テクニカルなツイン・ギター、随所にスラップを持ち込んで独特のグルーヴを生むベース、不意なアクセントも作るドラムという個々のポテンシャルが見えやすくなった側面もある。これらの取り組みが歌にどんな影響を及ぼしたのかは想像するしかないが、素直な言葉選びと併せて、スポンテニアスな在り方にシフトしているのが特徴的だ。原点に立ち返った進化過程。自身の名をタイトルに冠した意味をさまざまに想像させる仕上がりとなった。
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