INTERVIEW(3)――ジェイムズがいちばんいなたい
ジェイムズがいちばんいなたい
――セッションはどんな感じで進めていったのですか?
高橋「まず〈せーの〉でやって、ドラムテイクを作っちゃったら、次にベースを作って。その間に堀江君と権藤君は、どこに何を入れるかを考えている。権藤君は後で自分のスタジオで音を入れて、データを送ってくることが多かったですね。それも不思議な音。アイデアマンですからね。でも彼は現代音楽系で、60年代の音楽とかにどっぷりハマってないので、今回はいろいろ勉強していたみたい。〈『いなたい』の意味がやっとわかった〉ってTwitterで言ってました(笑)」
――確かに権藤さんと〈いなたい〉は繋がらない気がしますね。
高橋「それがわかったら、もっと良いミュージシャンになれるんですけどね(笑)」
――残りの4人は、相当いなたそうですね。
高桑「僕らのなかではジェイムズがいちばんいなたかったですね。そういうのを弾かせるとすっごく良い。ジョージ(・ハリソン)っぽいギターとか。あんまりジェイムズのいなたいギターって聴いたことないじゃないですか? ソロ・アルバムにはその片鱗が微妙にあるんだけど」
高橋「スライドもバンバン入れたね。ジェイムズはホテルで練習してたみたい。自分のプラスティック製のスライドバーを持ってこなかったのでスタジオから借りたら、それは金属製だったからって(笑)」
――幸宏さん以外のメンバーも曲提供していますが、それぞれ60~70年代のアメリカ音楽っぽさとか、いなたさとかは意識したのでしょうか。
高桑「幸宏さんに〈曲も良かったら(作って)〉と言ってもらって、絶対作りたいと思ったんですよ。それで権藤君と幸宏さんが先に何曲か録ってたんで、こっそり権藤君に電話して〈一応、雰囲気だけ聴きたいんだけど〉って聴かせてもらって(笑)。デモ段階だったんですけど、それで何となく方向性がわかった」
高橋「堀江君なんかは、〈サンダークラップ・ニューマンの“Something In The Air”の頭のほうみたいな曲を作りましょう!〉って言ってきたんだけど、〈もうそういう曲あるから〉ってデモを聴かせたりして」
高桑「ただ、あまり〈幸宏さんの曲〉ということは意識しすぎないようにしましたね。そうすると緊張して作れなくなっちゃうんで(笑)」
――高桑さんが書いた“All That We Know”は、ドラマティックな曲に仕上がってますね。
高桑「ここまでドラマティックになるとは思わなかったですけどね。幸宏さんが〈もうちょっと長くてもいいんじゃないかな〉って。それで最後は大団円で終わることになったんです」
高橋「教授(坂本龍一)が昨日、〈あの曲、ステージでドラム叩きながら歌えるの?〉って(笑)。ドラムのフィルをハードディスクで出しちゃえば?って言うから、〈それはできない。でも奥の手があるよ。圭君に2番を歌ってもらうんだ〉って」
高桑「確かにあのフィルを叩きながら歌うのは……」
高橋「弾んでなけりゃ大丈夫なんだけどね。弾み方がちょっと……」
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