INTERVIEW(4)――こういうのを作りたかった
こういうのを作りたかった
――この曲を含めて、メンバーが曲提供したものは基本的に幸宏さんが歌詞を書いていますが、ジェイムズ・イハは作詞/作曲共に手掛けてますね。
高橋「そうです。〈詞/曲の両方でもいいし、曲だけでもいいよ〉って話をしたら、両方書いてきた。“Follow Your Down”は僕の近作のイメージですね。前作(2009年作『Page By Page』)、前々作(2006年作『BLUE MOON BLUE』)を聴き込んでたみたいだから。“Shadow”はそれと違って、最近のジェイムズのソロにもない感じ。スマパン(スマッシング・パンプキンズ)の頃っぽいというか。スマパン……一応レコーディング中は禁句でしたけど(笑)」
――イハとのレコーディングはどんな感じでした?
高橋「スティーヴ(・ジャンセン)とやる時は、彼はイギリス人だから何となくわかるんですよね。で、ジェイムズはアメリカ人だけどすごくおとなしくて。どういう感じなんだろうと思ってたんだけど、圭君がジェイムズのノリを知ってて助かったね」
高桑「やっぱりアメリカ人だから、(テンション高めで)〈オッケー!!〉っていうのを求めてるんですよ。だから幸宏さんに、〈ジェイムズにはハッキリ言ったほうがいいですよ〉って。そう伝えた日から幸宏さんが急にアメリカンになって、ジェイムズが録り終わると〈オッケー!!〉って(笑)」
高橋「で、ある日、〈ジェイムズのパートは録り終わったから、今日は帰っていいよ〉って言ったら、しばらく黙って……突然〈イェーイ! トキオーー!!〉ってジャンプして帰って行った(笑)」
――まさにアメリカン(笑)。それにしても、世代も国籍も違うユニークなバンドですよね。このバンドだからこその化学反応があるとしたら、どんなところだと思います?
高橋「それはもう至るところにあると思いますけど、さっき言った〈いなたカッコイイ〉っていうのは、他ではあまりないですよね。あと、このグルーヴ感は新鮮でした。出来上がったものを兄(音楽プロデューサーの高橋信之。70年代にBUZZ“ケンとメリー ~愛と風のように”など、さまざまな楽曲を手掛けた)に聴かせたら、〈こういうのを作りたかったんだよな、昔〉って言ってましたね。僕も〈そう、できなかったよね〉って」
――なぜできなかったんでしょうか。
高橋「下手だったから(笑)。要するに、できるようになったんですよ。一昨年、YMOでアメリカ・ツアーをやった時も教授とよく言ってましたから、〈俺たち巧くなってるよね〉って(笑)。そういうのって歳取ってもあるんですよ」
高桑「僕も10代の頃、60年代の音楽を聴いて、そういうのをやりたいんだけど漠然としていてどうすればいいのかわからなかった。けど経験を積んで、幸宏さんと出会えて、ようやくこういう表現ができるようになったっていうのはありますね」
――ぜひ、そのグルーヴを生で味わいたいところですが、9月にツアーがあるんですよね。どんな内容になりそうですか?
高橋「いろいろ考えてるところですが、このアルバムを中心にしながら昔の曲もやっていこうと思ってます。基本はドラムを叩きながら歌うつもりです」
――“All That We Know”、楽しみにしてます。
高橋「あれはもう、圭君に2番を歌ってもらって(笑)」
高桑「僕が歌っても、幸宏さんが歌ってるように聴こえるから(笑)」