インタビュー

INTERVIEW(2)――西荻系ハードコア・パンクとネオ渋谷系



西荻系ハードコア・パンクとネオ渋谷系



Wienners_Asub2



――玉屋さんと大谷さん、実は同じ時代のパンクやハードコアの空気を吸ってたんですね。

玉屋「でも、僕がFRUITYを知った時はもうリアルタイムじゃなくて、YOUR SONG IS GOODに移行してた時期だったんです。でも、FRUTY第2世代と言われるような、西荻窪WATTSっていうライヴハウスを拠点に活動してるようなバンドたちが大好きになって」

大谷「Oi-SKALL MATESとか?」

玉屋「そうです! とにかく、そこのシーンがおもしろくて、学生時代チャリで毎週WATTSに通ってライヴを観てましたね。そこもすごく雑多で、ソウルだったり、ジャズだったり、ハードコア寄りだったり、いろんな吐きだし方をしてるバンドがいて、おもしろいなと思って」

――そこからWiennersはどんなふうに進化していったんですか?

玉屋「そういうシーンと同じ時期に、ネオ渋谷系みたいのが流行り出して、capsuleの初期とか、Plus-Tech Squeeze Boxとか、そういう音楽を西荻窪WATTSで起こっているムーヴメントと同じ感覚で聴いてたんです。ピコピコした音とか、可愛い女の子のヴォーカルとか、そういうのを西荻窪WATTSでやったらめちゃくちゃ格好いいんじゃないかって思って、最初はそういうバンドを探してたんですよ。聴きたいと思って。でもいないんで、だったら自分でやるべきかなと思って、Wiennersを結成したんです」

大谷「そういう話を聴くと、Wiennersがいまのポップ・ミュージックのリアルだなって思いますね」

――というのは?

大谷「年寄りはすぐ〈フォークがアツいよね!〉とか、〈いまはソウルだよね!〉か言うけど、でも、若い世代の受け手はボーダレスな視点で音楽を聴いてるんですよ」

玉屋「いまの世代は本当にそうですよね」

大谷「いまは本当にそういう時代になってる感じがしますね。で、そういうことが起こるのは、僕は日本だけだと思ってたんですよ。でも、海外でも同じようにそうなってきていて。洋楽でも、ディスクロージャーとかジェイク・バグとか聴いてる10代とか20代の若手って、〈◯◯系〉じゃないんですよ。シーンを盛り上げてる若手も、それを聴いてる人も、全部同じボーダレスな感覚で。ってことは、なんだったら海外より日本のほうが先に行ってんじゃねえの?っていうのが最近の僕の考え方ですね。まあ、とにかく、おもしろくてしょうがないですよ、日本の音楽」

玉屋「うん、本当におもしろい」

大谷「おもしろいし、それを踏まえて洋楽も本当にすげえ楽しいと思うし。僕としては、いまのそういうおもしろい日本の音楽の象徴がWiennersなんですよ。それくらい、時代に選ばれた日本独特のバンドだって気がする。〈日本の音楽、おもしろいだろ!〉って外国人に聴かせるときに、最初に聴かせたいというか。そういう感じのバンドかな」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2013年07月24日 18:01

更新: 2013年07月24日 18:01

インタヴュー・文/柴 那典