インタビュー

サザンオールスターズ “ピースとハイライト”

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 6月25日にデビュー35周年を迎え、5年ぶりに動き出したサザンオールスターズ。この5年間の世の中の移り変わり、桑田佳祐の病気や東日本大震災などを経てそれらの密度の濃い様々な経験が復活に向けてメンバーを大きく後押しした。再始動にあたり新曲“ピースとハイライト”をリリースする彼らを代表して桑田佳祐に話を聞いた。



今のリアリティーを捉えて、今現在もそこにいるバンドじゃないといけないというのが、僕の思っているサザン


―5年ぶりの新曲“ピースとハイライト”のイントロで響くブラスのファンファーレは、まるで活動再開とファンとの再会を祝した感じですね。

桑田佳祐(Vo.&Gt.)「アレ、たまたまなんだよね(笑)。ブラスを入れているうちにファンファーレだと思って、後からこじつけたわけ。サザンを再起動させるファンファーレだねって言うと、みんなも笑顔になるし。楽しく盛り上げようとしたんですよ」

―歌詞は近隣アジア諸国に目を向け、現在の日本が抱えている問題を世間に問いかけながら、平和を願っていますね。

「中国、韓国、日本という現代三国志みたいな状況があって、そういう問題を見ていて、その中で誤解とか不審とか歴史とか恨みとか憎しみがいつまで続くんだろうなと僕なりに思ったわけですよ。原発の問題もそうだけど、我々の子供たちの世代や孫の世代……これからの若い人たちにそういう問題をそのまま丸投げしていいのだろうかって。僕なんかが生きているうちに平和的な歩み寄りを政治家の皆さんがやってくれないかなという願いがありまして。そんなに社会問題に詳しくはないんだけど、要は<池上彰さんがテレビでこんなことを言っていたけど……>みたいな話なんですけど(笑)。<君たち、どう思う?>的な、いわば世間話を歌にしたんですね。そういう僕らの呟きが歌になって広がって、どこかにうまくぶつかってほしいなっていう期待もあるんですよ」

―M2のバラード曲“蛍”は、百田尚樹さんの原作を映画化した「永遠の0」の主題歌ですね。太平洋戦争の終戦直前に亡くなった特攻隊員を描いた作品ですが、この作品のテーマは<人は何のために生きるのか?>

「映画を通してそれを強く感じましたね。最近、<何のために生きるのか?>ってことに多少なりとも敏感になったんだけど、そういうメッセージみたいなものを感じて、自分の解釈で描いたのがこの“蛍”なんです。鎮魂とか平和への祈りを音楽を通して感じてもらえればなと」



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―M3の“栄光の男”ですが、<栄光の男>とはまさに長嶋茂雄さんのことですね。

「この間、松井秀喜さんと一緒に国民栄誉賞を受賞されたでしょ。その授与式を見ていた時に長嶋さんが現役引退した頃のことを自分と重ねて思い出したんですね。長嶋さんの引退セレモニーがあったのは74年の10月で僕が青学に入った年。大学生活がつまらなくていつも喫茶店に入り浸っていたんだけど、その喫茶店のテレビでセレモニーを見てやたら泣けたんですよね。自分の情けなさとダブらせて。サザンを再び始めるにあたってそういうことを思い出して歌詞を書いた。歌の始まりを青学スタートにして、自分の音楽人生や時代の大きな浮き沈みみたいなものを考えて“本当の幸せって何だろう?”と思って」

―原由子さんが作詞とボーカルを担当したM4“人生の散歩道”は、桑田さんの作曲ですね。

「これからの原坊はサザンのメンバーとして、プレイヤーとして、シンガーとして新しい世界で自分のキャリアを継ぎ足していってほしいなというのが僕の願い。だから、再始動にあたってまず原坊ありきじゃないとサザンは物足りないというのが僕のイメージだった。原坊は予想不能っていうかアナーキーなパワーを持っているから、彼女の曲はホントに色々遊べるんだよね。そこはサザンの強味でもあるし。サザンという範疇の中で原坊っていう絵の具と筆を使うと色々なものが描けるから、すごい大きな存在なんですよ」

―桑田さんは今、サザンオールスターズに対してどういう思いを抱いてますか?

「サザンは伝説になっちゃいけないと思うんですよ。僕はブランドや伝説で動くサザンはあまり好きじゃない。今のリアリティーを捉えて、今現在もそこにいるバンドじゃないといけないというのが、僕の思っているサザンなんです。野外スタジアムツアーのタイトルに“マンピーのG★SPOT”を使ったのは、僕らの曲の中で一番下世話な象徴だから(笑)。我々は国民的とか言われて、復活時に号外が配られたりする中、滅相もないという気持ちと、してやったりという気持ちがあったんだけど。でも、僕らの本性は下衆の極みだから(笑)。下衆の極み宣言もあってタイトルをつけたところもあるんですよ。サザンは楽しむもの、そういう存在だってことを今凄く感じているので、この夏は僕らもお客さんと共にサザンを楽しみたいと思っています」

■Single……“ピースとハイライト” now on sale

■song list

01.ピースとハイライト ※フォルクスワーゲン「New Golf」 CMソング 
02.蛍  ※映画「永遠の0」主題歌
03.栄光の男 ※三井住友銀行 CMソング
04.人生の散歩道
 

 

■live……サザンオールスターズ SUPER SUMMER LIVE 2013「灼熱のマンピー!!G★スポット解禁!!」

8/10(土)、11(日)神奈川県 産スタジアム
8/17(土)、18(日)兵庫県 神戸ユニバー記念競技場
8/18(日)兵庫県 神戸ユニバー記念競技場
8/31(土)、9/1(日)神奈川県 茅ヶ崎公園野球場
9/7(土)、8(日)愛知県 豊田スタジアム
9/22(日)宮城県 宮城県総合運動公園宮城スタジアム


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記事内容:TOWER+ 2013/8/10号より掲載


カテゴリ : COVER ARTIST

掲載: 2013年08月09日 18:00

ソース: 2013/8/10

TEXT:大畑幸子