インタビュー

主役のこれまでの歩みを駆け足でおさらい!



Monorisick名義でHYDEOUT周辺のいくつかのコンピに参加したのち、DJ DECKSTREAMとしての活動を開始した彼。「ロード・フィネスの『The Awakening』をきっかけとしてヒップホップにのめり込み、もっとも影響を受けたのはDJプレミア」とかつてのインタヴューで語っているが、2007年にはそのプレミアのイントロダクションで始まる初のオリジナル作『DECKSTREAM SOUNDTRACKS』を発表。ルーペ・フィアスコとVERVALの共演が実現した“Can you let me know”をはじめ、大ネタ使いのメロディック・ビート上で、タリブ・クウェリ、ドレッド・スコットらのフロウを躍らせている。そして、2009年には2作目『DECKSTREAM SOUNDTRACKS2』をリリース。ここではモス・デフ、T・ボズ(TLC)、ナイス&スムース、サブスタンシャルらの海外勢と、国内からはMonorisick時代からの盟友をL-Universe名義で招聘。初作時の洒脱なセンスはそのままに、90sマナーを敷いた個性をさらに磨き上げた。

同年には、DJ DECKSTREAMのヒップホップ前夜──ハード・ロックやメタル好きだった少年時代のルーツまで遡ったカヴァー集『MUSIC CASTLE』を、その翌年には第2弾となる『MUSIC CASTLE II』を上梓。ガンズ・アンド・ローゼズやニルヴァーナ、レディオヘッド……とロックの名曲も独自のジャジー&メロウなグルーヴに取り込んでいるが、各々のラストを飾ったマルコム・マクラーレンとコモンはほぼ原曲を踏襲した作りで、そこがさりげない肝か。

加えて彼は、2009年よりハウスを中心としたダンス・ミュージック・プロジェクトのRahzeを始動し、年に一枚のペースで3枚のフル・アルバムを発表。2011年の3作目は自身で立ち上げたレーベル、Seperaからの第1弾リリースで、翌年には第2弾作品として、これまでDECKSTREAM/Rahze作品に参加してきた2人の女性ヴォーカルから成るユニット、jUjU Bee & mimozaをプロデュースし、初アルバム『Miracle』を送り出している。その間にもCREAMの2人が参加していたICEKREAMをはじめ、国内外のアーティストのプロデュース、リミックス、コラボ作品の制作……と驚異的な多作ぶりを見せており、それらの経験を現時点で凝縮させたものが、今回の〈J-Popアルバム〉と言えるだろう。



▼関連盤を紹介。
左から、DJ DECKSTREAMの2007年作『DECKSTREAM SOUNDTRACKS』、2009年作『DECKSTREAM SOUNDTRACKS2』(共にManhattan/LEXINGTON)、2010年のカヴァー集『MUSIC CASTLE II』(ラストラム)、Rahzeの2010年作『two』(KSR)、2011年作『Ta.la.la.』、jUjU Bee & mimoza Produced by DJ DECKSTREAMの2012年作『Miracle』(共にSepera)、ICEKREAMの2010年作『ICEKREAM SOUNDZ Vol.1』(Icekream Castle)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年08月14日 17:59

更新: 2013年08月14日 17:59

ソース: bounce 357号(2013年7月25日発行)

文/編集部