アップアップガールズ(仮) 「讐 ~ADA~」
[ interview ]
ホラー界の奇才、白石晃士監督がこの夏放った最新作「讐 ~ADA~」。フェイク・ドキュメンタリー・タッチの〈第一部:戦慄篇〉、ドラマ・タッチの〈第二部:絶望篇〉からなるこの作品は、とある進学塾が舞台となった凄惨な復讐劇だ。主演はアップアップガールズ(仮)の仙石みなみと佐藤綾乃。他にも、同じくアップアップガールズ(仮)の古川小夏、森咲樹、佐保明梨、関根梓、新井愛瞳をはじめ、バニラビーンズ、lyrical schoolの芽依、キャラメル☆リボンなど(この春からメジャー移籍したLinQのメンバーも!)、タワレコのアイドル専門レーベル=T-Palette所属のアイドルたちが大挙出演……というところで、映画のDVD/Blu-ray化と、T-Palette mini All Starsによる主題歌『Bad Blood/Hereafter』のシングル・リリースに合わせて、白石監督と主演のお2人を交えたインタヴューをお届けいたします!
*「讐 ~ADA~」予告編はこちら
やりがいを感じながら殴ってました(笑)
──今回の作品は、仙石さん、佐藤さんをはじめとするアイドルのみなさんが出演していることもあり、そこでひとつ作品のお題が設けられていたと思いますが。
白石「そうですね。でもまあ、通常、アイドルが出るホラーというと、何か恐ろしい存在、幽霊とか殺人鬼に襲われてワーキャー言うっていうのが普通なんですけど、そういうのはちょっと使い古されてるし、なにか違うことをやりたいなって。で、アイドルの側が、言ってみれば恐ろしい存在になるとか、凶暴に手を染めるみたいなものを作ったらビックリしちゃうんじゃないのかなって思いまして、普段は笑顔を振りまいたり、華やかな姿を見せている子たちが、ダークな世界に堕ちてシリアスな表情を見せるっていうのもファンの人たちにとって新鮮だし、そのほうが作品として埋もれないんじゃないかなって思ったんですね」
──監督はアップアップガールズ(仮)の存在をご存知でした?
白石「ゴメンナサイ、知りませんでした……いや、名前は知ってましたね。Twitterで吉田豪さんをフォローしてるので、そこでよくお名前は。(仮)って何だろう?って、やはりそこで目を惹いて」
仙石「あっ、やっぱり!」
白石「でも、まさかいっしょにお仕事するとは思ってませんでしたよ」
──アプガのお2人はお芝居のお仕事というと……。
仙石「綾乃は映画に出たことがあって、私は舞台を何度かやらせていただいてたことはあるんですけど、映画は初だったので、本当に初めてのことだらけでした」
(C)「讐 ~ADA~」製作委員会
──監督からしても彼女たちの演技というものは未知数で。
白石「そうですね。ライヴを何度か拝見させていただいたりとか、特徴はある程度確認してって感じですかね」
──アプガのなかでもいちばん意外性のある2人……ですかね。
仙石「この2人がそんなことやっちゃうのっていうのは、メンバーからも言われました。みーこ(仙石の愛称)に〈殺す!〉って言われても怖くないようって。だから、メンバーに対しても驚かせてやりたいなっていう気持ちで撮影に臨みました」
(C)「讐 ~ADA~」製作委員会
──今回の作品は、感情がある一線を越えてしまったときに人間はどんな行動をするのか?というところがひとつテーマとしてありますよね。
白石「ただ、一線を越えた人たちを客観的に恐ろしい存在として見るんじゃなくて、一線を越える人たちについていくような視点で見たら、べつに理解できないようなことじゃないよねっていう感覚を持ってもらえるとうれしいかなっていう」
──どっちが悪なのか?という話ではないですよね。
白石「そうですね。それぞれの真実があるというか、それがぶつかりあっただけっていう感じで描けたらなって思ってました」
仙石「どっちが悪かっていう視点で観ても、一部と二部ではぜんぜん違う印象になるんですよ」
(C)「讐 ~ADA~」製作委員会
佐藤「〈どっちが重罪?!〉っていうテーマでイヴェントもやったんですけど、やっぱりすごく意見が分かれて。(佐藤の演じた)夕子っていう人もいれば(仙石の演じた)美保っていう人もいて」
──感情の一線を越えるといえば、アップアップガールズ(仮)の活動でそういうシーンあったりしますか?
仙石「ライヴではいつも一線越えたのを感じながら歌ってるんですけど、私たちのサバイバル感というか戦ってる感は、役にも通じるところはあるなって。追い詰められて追い詰められて、さあどうするかっていうのは、普段のアプガの活動と通じるものがあったなって思います」
白石「ライヴの経験と似てるところがあるんじゃないかなって思いながら書いたところはありますよ。アイドルという活動自体、今後どうなるかわからない、人気があってもずっと安定してるかといえばいつ不安定になるかわからないっていう。そういう、未来がどうなるかわからないまま、いまを一所懸命、正解かどうかわかんないし、これが成功への道に繋がってるのか、もしかしたら失敗するかもしれない、でもやるしかないから、そういうところは役柄ともリンクしてるんじゃないかなって。そのへんのアイドルの世界観みたいなものを隠し味的に入れつつ、書いたところはありますね」
──アプガのファンはそこをちゃんと読み取ってくれるかも知れないですね。地獄を見てきたアイドルということで(笑)。
佐藤「そうですね(笑)。アイドルの方が出るホラーって結構あるじゃないですか。襲われてキャーキャー言ってて可愛らしいのもあると思うんですけど、この映画の台本を読んだときに、アプガってやっぱこっち系なんだなって思ったところもあって(笑)」
白石「(笑)」
佐藤「アプガがキャーキャー言っててもあまりおもしろくないと思うんですよ(笑)。だから、こういう戦闘的な感じのほうがぴったりなんじゃないかなって」
仙石「私も普段から〈戦う〉っていうことが好きなので、キャーキャー言ってるよりは自分が残虐になってとことん絶望的っていうほうがやっててすごく楽しいですし、本当にやりがいを感じながらいっぱい殴ってました(笑)」
佐藤「普段はこんなに可愛くて、ほわほわしてて、バカっぽい天使みたいなんだけど(笑)」
仙石「一言多い(笑)!」