STARDUST REVUE/KAN/馬場俊英 “靱のハミング”
[ interview ]
STARDUST REVUE、KAN、馬場俊英の3組が、コラボ・シングル“靱(うつぼ)のハミング”をリリースした。これは9月14日(土)に大阪・靱公園センターコート特設会場で開かれる野外イヴェント〈靱公園 MUSIC FESTA FM COCOLO ~風のハミング~〉のオリジナル・ソングであり、彼らはこのイヴェントの出演者である。それぞれの頭文字を取った〈SKB ALL STARS〉を名乗ってライヴ・イヴェントに参加するなど、以前より親しい関係にあった3組がガッチリ組んで作り上げた〈ハミングロックの決定盤〉とは? 何ともミステリアスな企画〈ときめき☆ハミングロック学園〉とは?――和気あいあいとした雰囲気のレコーディング風景が目に浮かぶような、スタレビの根本要とKAN、馬場のトーク・セッションをお楽しみください!
自分でやるならここまではしない
(左から)根本要、馬場俊英、KAN
――まずは曲が生まれたきっかけを教えていただきたいのですが。
根本「大阪で〈靱公園 MUSIC FESTA FM COCOLO ~風のハミング~〉というイヴェントをやっているんです。僕とKANちゃんがラジオ番組を始めたのがきっかけでイヴェントがスタートして、そこに馬場くんが入ってきてくれて、この3組が中心になってやるようになった。今年で3年目なんですけど、これだけ続いてきたんだからテーマソングみたいなのができたらいいね、って話になってね。このライヴが毎度、大雨に降られるんです。それが印象的になってきたというかね。雨に降られてただただ大変ってだけじゃなくて、いつしかお客さんもいっしょに雨を楽しむような感じになってしまってるんです。そういう逸話もたくさんあるので、ライヴに向けての曲が楽しく作れるんじゃないかなと思って」
――歌詞のなかで〈雨でも嵐でもなんでも来やがれ〉って歌われていますね。
根本「そう。そしたらあまりにもおもしろい曲が出来上がったんで、リリースできないだろうかと考えまして」
――作詞/作曲/アレンジはKANさんですね。これまでのイヴェントのメモリー的な部分を盛り込もうという意識があったんですか?
KAN「過去にこのイヴェントに来た人が聴いて、〈そうそう、この感じ!〉ってなるようなものにしたかったし、今年のライヴを観る人にはすごく期待が膨らむようなものにしなければいけないと思っていました。もちろん、リリースする以上はどんな人が聴いても良い作品だと思えるようなものにしなければいけなかったんで、過去の経験を踏まえてはいますが、メモリーを意識したわけじゃなかったですね」
――なるほど。馬場さんはこの曲を受け取られてどういう印象を持たれました?
馬場「デモテープがもう最高に可笑しかったんです。というのも、要さんのパートをまったく要さん風に、僕のパートをまったく僕っぽくKANさんが歌ってくれていて。イヴェントにまつわるいろんな情報も散りばめられているし、何よりもみんなを繋げる力を持った曲になっていて、やっぱりKANさんはスゴイなと」
――馬場さんのトーキング調のヴォーカルが冴え渡ってますね。僕は曲を聴きながら、馬場さんの立場を勝手にトラヴェリング・ウィルベリーズにおけるトム・ペティとダブらせていました。
根本「ハハハ、なるほどね。この楽曲はKANちゃんプロデュースということもあって、お互いへのリスペクトがはっきりと浮かぶ作りになっているところが重要でね。ただ自由気ままにコラボしたわけではなく、音楽的には別系統な3組のおもしろさが上手く結び付いた楽曲になっているんですよ」
KAN「いやあもう泣ける話ですね(笑)。でも、本当にそう。要さんにはぜひこう歌ってほしい!というようなアイデアは、やっぱり彼の音楽をよく知っているから自然に思いついてしまうことですし」
根本「でも、普通ならそういうアイデアを隠し味的に使うんですけど、どっちかというとKANって人は恥ずかしいぐらいに盛り込んじゃいますからね。今回はKANちゃんが考えるスタレビ像、馬場くん像を僕らが受け取って、上手く自己演出して、自分をダマせたんだと思う。自分でやるならここまではしないと思うことをやれたことが新鮮だったね」
――なるほど。馬場さんにとって苦労した点はどこでしたか?
馬場「苦労した点は……〈やりきらなきゃいけない〉ということですかね(笑)。以前に聞いた話なので本当かどうかわからないのですが、森進一さんの話で、曲がヒットしていろんな人が森さんの物真似を始めたと。みんなが〈こんばんは……森進一です〉ってやっているのをご自身で見て、俺はあんな感じなのかと知ったそうなんです。それに影響を受けてご本人がどんどんその〈森進一的〉になっていったって(笑)。今回はそんな感じがあって、自分のスタイルをデフォルメすることに意識を置いたんです。以前からずっと聴いてきたスタレビやKANさんと混じり合う以上は、自分の持ち味を出さなきゃと思っていて、できるのはこういう形だなって思うところもあったし。自分の個性を改めて教えてもらう機会にもなりましたね」
根本「デモテープは、スタレビがいてKANちゃんがいて馬場くんがいたらこうなるだろう、って想像し得ることを見事に形にしてくれていた。ただ、馬場くんらしく書いてあるパートを単になぞるだけだと、馬場くんは〈馬場俊英〉にはなりきれない。そのためにはさらにアクの強い〈馬場俊英〉を表現してもらわないとこの曲は成立しないんだ!って(KANから)メールまで届いて(笑)。レコーディングに至るまで馬場くんへの精神的な部分に関するKANちゃんの要求は厳しかった。メールは〈わかってるよね、馬場くん〉と締め括られているわけです(笑)。そう言われても、馬場くんにしたら何のことかわからない(笑)」
馬場「〈いや、馬場俊英はそうじゃないよ〉って言われたこともありましたね(笑)」
KAN「さすが馬場くん、歌の迫力はイメージを超えるものがありましたよ。要さんのフェイクも、あそこまでいくんだなってものを見せてもらったし、〈それをやりたかったんだ、俺は!〉ってもんですよ」
根本「歌詞にはちゃんとフェイクの言葉と位置まで記してあるんです」
――〈すげえ!〉って台詞もちゃんと歌詞カードに書かれていますね。
KAN「〈すげえ!〉は絶対どこかに入れようと思ってたんで(笑)」