USの詩人/ミュージシャン、GIL SCOTT-HERONが62歳で死去
GIL SCOTT-HERON 『I'm New Here』ジャケット画像
〈黒いボブ・ディラン〉の異名を持つ詩人/ミュージシャンのギル・スコット・ヘロンが5月27日、NYの病院で亡くなった。享年62歳。彼はヨーロッパ・ツアーからの帰国後に病に倒れ、闘病生活を送っていたという。死因はあきらかとなっていない。
49年にシカゴで生まれたヘロンは、小説家としての活動を経て、70年にジャズ・レーベルのフライング・ダッチマンから初アルバム『Small Talk At 125th And Lenox』をリリース。その後も70~80年代を通じて多くの作品を発表し、ソウルやファンク、ジャズ調のサウンドに乗せて自作の詩を読み上げるスタイルで、ポスト公民権運動時代における黒人たちの怒りを反映するようなメッセージを世に投げかけた。特に代表曲のタイトルでもある〈The Revolution Will Not Be Televised(革命はTVで放送されない)〉という言葉はさまざまな場所で引用され、その扇動的なポエトリー・スタイルからラップのパイオニア的存在としても評価されている。94年にアルバム『Spirits』を発表して以降は、薬物中毒などの理由もあって音楽活動から遠ざかっていたが、昨年に16年ぶりの新作『I'm New Here』を発表。今年に入ってからも同作をエックス・エックスのジェイミー・エックス・エックスが再構築した『We're New Here』がリリースされるなど、〈戦う詩人〉の復活として大きな注目を集めていた。
彼の訃報を受け、レディオヘッドのトム・ヨークは自身が選曲したヘロンへ捧げる楽曲のリストをバンドのオフィシャルサイトに掲載。ほかにもエミネムやビースティ・ボーイズ、スヌープ・ドッグ、アッシャーら、さまざまなアーティストが哀悼の意を表明している。謹んで故人のご冥福をお祈りします。