My Hair is Bad、地元 上越市高田城址公園野球場にて収録/現在配信中のライヴ映像作品「Youth baseball」オフィシャル・ライヴ・レポート公開
12月23日にCDシングル『life』と、配信シングル『love』をリリースするMy Hair is Bad。12月6日23時59分までアーカイヴ配信中の「My Hair is Bad ライブ映像作品「Youth baseball」」のオフィシャル・ライヴ・レポートが、ライヴ写真とともに公開された。
「My Hair is Bad ライブ映像作品「Youth baseball」」の配信が、2020年11月29日19時からスタートした。配信元はLIVE VIEWING JAPANで、5つのプラットフォームで配信。12月6日23時59分まで、アーカイヴ配信で視聴することができる。
本作は、彼らの地元である新潟県上越市の高田城址公園野球場で、無観客でライヴを行い、編集なし、一発撮りで収録したのもの。外野は天然芝、内野は土のグラウンドの、ピッチャーマウンドを囲む形で、メンバー3人が向き合ったフォーメーション。その3人を、カメラのレールや照明がぐるりと丸く囲んでいることが、冒頭のドローンによる映像でわかる。
ライヴは“優しさの行方”でスタート。“彼氏として”、“真赤”、“戦争を知らない大人たち”、“卒業”、“ドラマみたいだ”などの代表曲や、2017年11月リリースの最新アルバム『mothers』からの“運命”、“いつか結婚しても”、“幻”など、全21曲が演奏された。ラストの21曲目は、2013年2月リリースの1stミニ・アルバム『昨日になりたくて』からの“夏が過ぎてく”。2020年12月23日には、CD限定で『life』と配信限定で『love』、それぞれ3曲収録のシングルが2作リリースされるが、その『life』の1曲目である“白春夢”も、初披露された。
「……どこを見てしゃべりゃいいのか、全然わかんない」と、頭4曲を歌い終えたところで戸惑っていた椎木知仁(Gt/Vo)だが、「配信、初めてですけれども、My Hair is Badが画面の中でもMy Hair is Badでいられるように、全力出して、すべて出しきっていきます。どうぞよろしくお願いします!」という力強い言葉でそのMCを締め、その後も1曲1曲にあらゆる感情を注ぎ込みながら、歌っていく。
緊急事態宣言中も、いつライヴができるようになってもいいように、気持ちを切らさないように、個人練習や体力維持に努めていたという山本大樹(Ba/Cho)は、自粛期間前とまったく変わらぬ重心の低いフォームで曲のボトムを支える。同じく、コンディションを落とさないように筋トレに励んだ結果、体重が10キロ落ちたという山田淳(Dr)は、My Hair is Badのホームであるライヴハウス、上越EARTHのTシャツ姿で、時にどっしりと、時に前のめりに荒々しく、ビートを刻み続ける。
2度目のMCで、「久しぶりの本番日、こんな集中するもんなんだ、ライヴ」と椎木。山田は「笑けてきちゃうわ」と返す。3人で向かい合って演奏していることが照れくさいようだ。「いや、俺はいつでもまじめにやってるから。おまえ、笑いの方に行っちゃってるやん」と、山田にツッコミを入れる山本。はりつめていた緊張の糸が、このとき、ちょっとほぐれた。
続く9曲目“真赤”では、カメラが360°移動しながら3人を捉える。12曲目“白熱灯、焼ける朝”からは、曲タイトルに呼応するかのように照明がオンになり、3人を照らし始める。この時点ではまだ周囲は明るかったが、徐々に日が沈んでいく。
この町にはいい思い出も悪い思い出もいっぱいあること、野球をやっていたのは小学生の頃からで、My Hair is Badを組んでから13年後にこうしてここでライヴをやっていることを、椎木が言葉にし、「誰がなんと言おうと、My Hair is Badの始まりの場所、上越で、この歌を歌います」と、16曲目“最近のこと”が始まる。曲中、椎木に目線を送りながら、オフマイクで歌詞を口ずさむ山本。この曲あたりからさらに日が落ちて、照明が効き始める。
「ほんとに夢の中にいるみたいな2020年になったような気がして。ずっと部屋の中にいて、目の前のことを書いた曲です」と始まった新曲“白春夢”が、この日のライヴのハイライトのひとつだった。2020年という特殊すぎた年とその渦中の自分、自分を取り巻く世界と部屋にこもった己の脳内を、生々しい筆致の歌詞と語るようなメロディで描いたこの曲は、これまでのMy Hair is Badにはなかった新鮮さを携えている。この曲が終わる頃には、高田城址公園野球場はすっかり闇に包まれ、3人の姿が照明の中に浮かび上がっていた。
20曲目の“惜春”で、演奏と歌をこの日何度目かのトップギアに入れ、そのまま駆け抜けるようにラストの“夏が過ぎてく”へ。椎木が得意とする「帰り道」をモチーフにした曲のひとつだ。「夏が過ぎてく 忘れないように、忘れないように、(夏が)過ぎてく」という最後のラインを歌いながら、2020年10月6日の椎木はどんな気持ちなのだろう。
渾身の力でこの曲を歌い終えた椎木の「My Hair is Badでした。また会えますように」という言葉は、最後の挨拶としてはごく普通だが、おそらく今だからこそ、とても切実に、こちらに届いた。
ただの「お客がいないライヴ」ではなく、無観客だからこそのライヴをしたい──というのが、新型コロナ禍以降、無観客配信ライヴをやるアーティストの、ひとつの目標になっている。観客が入っていたらカメラを置けないアングルから撮ることや、無人の客席に照明や特効を仕込んで効果的に使うことなどを、多くのアーティストが行っている。
しかし、このMy Hair is Badの「Youth baseball」は、そうした演出面での「無観客だからこそ」ではない、もっと根本的な意味で「無観客だからこそ」のライヴとして企画されたものであることが、実際に観てわかった。
僕はこれまで、ライヴハウスなら新代田FEVERや下北沢シェルター、大会場なら東京ガーデンシアターや横浜アリーナなどで、無観客配信ライヴの現場に立ち会ったことがあるが、どの会場でも、通常のライヴと同じように、歌とそれぞれの演奏をバランスよくミックスしてオーディエンスに聴かせるために、ステージ両側のスピーカーから音が出ていた。
しかし、この「Youth baseball」には、そのスピーカーが存在しなかった。オーディエンスがいないんだから必要ない、という判断でそうしたのでは、おそらくない。この高田城址公園野球場では、そうやって通常のライヴどおりにスピーカーから音を鳴らすことが、そもそも不可能だからだ。
住宅地や学校と隣接している(ことが作品中のドローンの映像でわかる)この場所で、爆音を出して演奏するには、自治体や近隣の住民との交渉が、下手をすると数年がかりで必要だし、その手続きを経ても許可が下りない可能性も大きい。
しかし、メンバーは、テレビの歌番組やミュージック・ビデオの撮影の時のように、曲に合わせて当て振りしているわけでなく、モニターイヤホンでお互いの音を聴いて、実際に生で演奏し、歌っている。普段のライヴを収録したDVDなどとは違う、MVなどとはもちろん異なる、場所の設定そのものから「無観客」の必然がある、そしてMy Hair is Badにとって今ここでやる必然がある、配信ライヴ。
いや、事前のアナウンスが、「配信ライヴ」ではなく、「ライヴ映像作品」を配信する、という言い方だったのも、そのへんが理由なのだと思う。という意味で、無観客でライヴを行って配信するという表現の、新しい形のトライアルになっている作品が、「Youth baseball」だった、ということだ。
ただし、本人たちは後半のMCで、「こうやって球場で、いつかお客さん入れてやれたらいいね。このまわりにお客さんがいてくれたら、どんだけ心強いというか、もっともっと夢中になれるような気がします」(椎木)、「そうだね」(山田)、「やれるでしょう」(山本)と言っていた。交渉などはとても大変だと思うが、その3人の希望が、いつか現実になることを期待する。
text by 兵庫慎司
Photo by 藤川正典
▼配信情報
「My Hair is Bad ライブ映像作品「Youth baseball」」
アーカイヴ配信期間:~12月6日(日)23:59
[チケット]
料金:2,500円
販売期間:~12月6日(日)22:00
特設サイト:https://liveviewing.jp/myhairisbad-youthbaseball/
▼イベント情報
ライヴ映像「My Hair is Bad ライブ映像作品「Youth baseball」」上映イベント
料金:2,200円
■上映スケジュール、実施ライヴハウス、チケット販売方法はこちら
▼リリース情報
My Hair is Bad
CDシングル
『life』
12月23日(水)リリース
■オンライン限定特典あり
先着で「内容未定」をプレゼント!
※特典満了次第終了とさせていただきます。
▼キャンペーン情報
「CDショップに行こうキャンペーン」
店頭でシングル『life』を購入したお客様に、My Hair is Badの対象作品を500円割引で購入できるクーポンをプレゼント。
※クーポン配布は先着となり、使用期間も限定です。
※オンライン・ショップでのご購入、クーポン利用は対象外となります。ご注意ください。
※オンライン・ショップでは購入者先着特典:(内容未定)が付きますが、上記のクーポン対象店舗では購入者先着特典:内容未定は対象外となります。
クーポン利用期間:2020年12月22日(火)~2021年1月11日(月・祝)
▼公演情報
「ブレイクホームランツアー」
2021年4月10日(土)さいたまスーパーアリーナ
2021年4月11日(日)さいたまスーパーアリーナ
詳細はこちら
■タワーレコード「THE NINTH APOLLO応援ページ」
https://tower.jp/site/label/theninthapollo
カテゴリ : タワーレコード オンライン ニュース | タグ : THE NINTH APOLLO
掲載: 2020年12月04日 18:00