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BUCK-TICK、約3年ぶりの全国ツアー・ファイナルである年末恒例の日本武道館公演「BUCK-TICK TOUR THE BEST 35th anniv. FINALO in Budokan」レポート

BUCK-TICK
撮影:田中聖太郎

2022年9月にデビュー35周年を迎えたBUCK-TICKが、コンセプト・ベスト・アルバム『CATALOGUE THE BEST 35th anniv.』を引っ提げた全国ツアーの集大成となる「BUCK-TICK TOUR THE BEST 35th anniv. FINALO in Budokan」を、12月29日東京 日本武道館で開催した。

9月23日、24日の2日間にわたって行われた神奈川 横浜アリーナでの35周年記念公演「BUCK-TICK 2022 “THE PARADE” ~35th anniversary~」は、周年の祝祭ムードというよりも、今の時代に彼らが何を想い、何を歌いたいのか、35周年を迎えたバンドの現在地を指し示すものであり、改めて「エンターテイメント」と「芸術」の違いについて考えさせられるステージであった。エンターテイメント=娯楽とは、観客の心を解放し、ひたすら楽しませるもの。芸術とは、喜怒哀楽どんな感情でもいい、観客の心を激しく揺さぶるものだ、と思っている。それで言うと、フェス形式やインディーズ時代からの楽曲を網羅した過去の周年公演はエンターテイメントに徹したもので、この35周年を飾る公演は芸術に振ったものと言えるのではないだろうか。

そう思い至ったのは、横浜アリーナで初演奏され、全国ツアーを通して進化し続けた“さよならシェルター”という新曲が、この日本武道館でひとつの完成形を迎えたと感じたからだ。ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、流れてくるニュースの中に、シェルターの中で『アナと雪の女王』の主題歌を歌う小さな女の子の動画があった。それがこの曲の歌詞の着想元だ。曲に入る前に1本の蝋燭に火を灯し、「世界中の子供たちがいい年を迎えられたらいいなと思います」と語ったヴォーカルの櫻井敦司は、間奏やアウトロでパントマイムを見せた。小さな子供を抱きしめシェルターへと送り届ける。不敵な笑みで銃を構える兵士。その銃を投げ捨て、駆け寄ってきた子供を強く抱きしめる。それに寄り添うバンド・アンサンブルは、希望と安らぎを与えるように明るく優しい。メッセージを強く押しつけるのではなく、どう受け止めるのかは観客それぞれに委ねられた。“さよならシェルター”は間違いなくこの公演の核心であり、ハイライトだったと思う。

ここまで少しシリアスに書いたが、全体を通して観ると、とても温かく多幸感に満ち溢れた一夜だった。SEの“THEME OF B-T”に合わせて期待のこもったクラップが会場に響き、メンバーがひとりずつステージに登場し定位置につくと、「君も乗りなよ さあ 発車のベルが鳴る」と、激しい蒸気の噴射と共に“Go-Go B-T TRAIN”が発車した。轟轟と低音を鳴らす樋口豊のベース、ガタゴトとリズムを打つヤガミ・トールのドラム、キシキシキーキーと軋みを上げる今井寿と星野英彦のギター、櫻井は時折「プシュー、プシュー」と音を発しながら軽快に歌い進め、観客をグイグイと乗せていく。その音に合わせて武道館の硬い椅子がビリビリドンドンと震えて、腰のあたりを刺激するのだ。これで心躍らないわけがない。マーチのリズムで一体感を誘う“Alice in Wonder Underground”、猫招きのポーズで観客が総猫化する“GUSTAVE”、櫻井と今井のツイン・ヴォーカルによる“FUTURE SONG -未来が通る-”と矢継ぎ早にアップチューンを繰り出し、会場のボルテージを上げた。その熱を少し調整するように、今井がルーパーでギターの音を重ねて作ったインタールードを挟み、ミドルチューンの“Moon さよならを教えて”へ。覆った雲が晴れていき、鮮やかな月が浮かぶ映像を背景に、月光のように柔らかなサウンドスケープと、情感込めたヴォーカルで聴かせた。そして“メランコリア -ELECTRIA-”、“Villain”とダークで鮮烈なエレクトロ・ナンバーを続けて披露。“Villain”では櫻井の顔がグロテスクに歪む映像の横で、櫻井が樋口の隣に立ち、同じ動きをして戯れているのを観て思わずほっこりしてしまったり、今井が爪弾く映画『太陽がいっぱい』のテーマ曲が作り上げた背徳ムードのまま突入した“舞夢マイム”の艶めいた世界観に当てられたり、「パパ、ママ、僕を許してください。愛してるよ」という語りを導入に置いた“MOONLIGHT ESCAPE”では伸びやかな歌声に心を掴まれたりと、めくるめく展開に感情が忙しい。「Let's dance」とDavid Bowieの“Let's Dance”のフレーズを口ずさんで始まったアッパーな“ダンス天国”では、フロアがダンス・ホールのごとく揺れ、続く“ユリイカ”ではハートのサインやピース・サインが飛び交った。曲終わり、メンバーが揃って高々とピース・サインを掲げたシーンも印象的だった。

そして“さよならシェルター”は冒頭に書いた通り。並べて特筆したいのは、続いて披露されたバラード・ナンバー“RAIN”。この曲は2007年に発売されたアルバム『天使のリボルバー』に収録された曲だが、作られた時代は違うのに“さよならシェルター”のあとに並べると、続きの物語のように聴こえたのだ。「人は悲しい生き物」、「君を悲しませるつもりじゃない」という歌詞が、“さよならシェルター”で銃を取った、愛しいものを守るために戦いを続ける人々の悲哀のように響く。そして歌い上げる櫻井の姿と、「いつか世界は輝くでしょうと 歌い続ける」という物語の主人公を重ね合わせると、ギュッと胸が締めつけられるのだ。その後の観客の拍手は、雨音のように温かい音がした。本編終盤を飾ったのは“ROMANCE”、“夢魔 -The Nightmare”と、BUCK-TICKゴシックの代表格的ナンバー2曲。“夢魔 -The Nightmare”の、圧倒的迫力で死の香り漂う世界観へと引き摺り込んでいく様は圧巻だった。

アンコールは、アコースティック・バージョンの“JUST ONE MORE KISS Ver.2021”、“JUPITER”と、初期のナンバーでノスタルジーに浸っていたのだが、歌い終わりに櫻井が「今年最後の生放送でヘマをする……まぁいいか。そうです。歌のタイミングを間違えたんです」と、腰に手を当ててドヤ顔をして見せたので笑ってしまった。“JUPITER”の1番の2度目のAメロの歌の入りを間違えるという珍しいミスと、予想もしなかった開き直りに思わず会場からも笑いがこぼれた。和やかな空気になったところでメンバー紹介。今井はピースを掲げ、星野はピースした手で投げキッス。樋口はそんな星野の様子を真似て見せ、ヤガミは華麗なドラム・ソロを聴かせた。「それではそのまま騒ぎましょう。命燃やしていきましょう。死を思い、今、生を思え」と、魂を揺さぶるようなパワーソング“Memento mori”、“独壇場Beauty-R.I.P.-”を鳴らした。

ダブル・アンコールの1曲目は、「君の街へパレードがゆくよ。終わらないパレードが、まぶたを閉じればパレードがそこに。パレードがゆくよ、パレードがゆくよ……」という語りから“LOVE PARADE”へ。夕焼け色のライティングの中、名残惜しむようにゆっくりと歩を進めるように、優しい音を紡いでいく。今井による“きらきら星”のフレーズから始まった“夢見る宇宙”のあと、「みなさんにとって2023年が幸せ多きことをお祈り申し上げます」と告げると、ラスト・ナンバーの“鼓動 (2022MIX)”へ。宇宙の映像がステージいっぱいに広がるなか、生への思い、愛への感謝を力強く歌い上げる。エンディングは今井が鳴らすテルミンのメロディに合わせ、会場いっぱいにクラップを響かせて大団円を迎えた。冒頭でこの35周年は祝祭ムードではなかったと書いたが、横浜アリーナ、全国ツアー、そしてこの武道館公演と、全国どの会場においても、彼らに送られた拍手のひとつひとつに大きな愛と、祝福の思いが込められていたことを書き記しておきたい。

終演後、2023年に新作が3作連続リリースされることと、全国ツアーのスケジュールが発表された。第1弾シングルは2023年3月8日リリースの『太陽とイカロス』、第2弾シングルは3月22日リリースの『無限 LOOP』、そしてニュー・アルバムが4月にリリースになる。全国ツアーは4月19日東京 J:COMホール八王子を皮切りに全20公演。約1年をかけて制作された新作は、BUCK-TICKの歴史に新たな金字塔を打ち立てるものとなるだろう。その頃、世界がどうなっているかはわからないが、35周年の歴史の中で醜悪や絶望に辟易したり、痛みや悲しみに寄り添ったりしてきたBUCK-TICKには、「いつか世界は輝くでしょう」と歌い続けていてほしい。そうして希望の光をいつまでも灯していてほしいと願う。

Text 大窪由香

BUCK-TICK

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BUCK-TICK

BUCK-TICK
撮影:田中聖太郎

 

▼リリース情報
BUCK-TICK
第1弾シングル
『太陽とイカロス』
3月8日(水)リリース


第2弾シングル
『無限 LOOP』
3月22日(水)リリース


 

▼ツアー情報
「BUCK-TICK TOUR 2023」
4月19日(水)東京 J:COMホール八王子
4月23日(日)栃木 宇都宮市文化会館 大ホール
5月13日(土)香川 観音寺市民会館 大ホール
5月14日(日)岡山 倉敷市民会館
5月20日(土)ロームシアター京都 メインホール
5月21日(日)兵庫 神戸国際会館 こくさいホール
5月27日(土)神奈川 パシフィコ横浜 国立大ホール
6月3日(土)愛知 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
6月10日(土)石川 本多の森ホール
6月11日(日)長野市芸術館 メインホール
6月17日(土)大阪 オリックス劇場
6月18日(日)大阪 オリックス劇場
6月24日(土)上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール)
6月25日(日)福岡サンパレス ホテル&ホール
7月1日(土)北海道 カナモトホール(札幌市民ホール)
7月9日(日)宮城 仙台サンプラザホール
7月15日(土)群馬 高崎芸術劇場 大劇場
7月17日(月・祝)静岡市民文化会館 大ホール
7月22日(土)東京ガーデンシアター
7月23日(日)東京ガーデンシアター
[チケット]
前売り:9,900円

■ツアー特設サイト:https://buck-tick.com/feature/specialsite_2023tour


「BUCK-TICK TOUR THE BEST 35th anniv.」
3月24日(金)宮城 仙台サンプラザホール ※振替公演
3月25日(土)栃木 宇都宮市文化会館 大ホール ※振替公演

 

▼ライヴ情報
「FISH TANK × LOVE & MEDIA PORTABLE ONLY LIVE」 ※ファンクラブ会員&モバイル・サイト会員限定ライヴ/振替公演
[2023年]
1月18日(水)愛知 Zepp Nagoya
1月20日(金)Zepp Fukuoka


「FISH TANKer's ONLY 2022」 ※ファンクラブ会員限定ライヴ/振替公演
1月24日(火)東京 豊洲PIT

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カテゴリ : タワーレコード オンライン ニュース

掲載: 2023年01月11日 12:25