THE FIVE STAIRSTEPS 『The First Family Of Soul : The Best Of The Five Stairsteps』 Buddha
カーティス最初のレーベル=ウィンディCの第1弾アクトだったシカゴ出身のバーク兄弟。デビュー当初からキッズ感皆無の成熟したコーラス運びを聴かせ、69年のカートム作ではニュー・ソウル色に寄り添うなど時代に応じた成長を見せた。これはカーティスと無関係なヒット“Ooh Child”も含むオールタイム・ベスト盤。なお、解散後のケニ・バークの活躍は御存知のとおり。(出嶌)
NATURAL FOUR 『Heaven Right Here On Earth』 Curtom/ビクター(1975)
カーティスが発信するシカゴの固定的イメージを早い段階から滑らかに変えてみせようとしていたのが、サンフランシスコ出身のヴォーカル・グループ、ナチュラル・フォーだ。彼らのアルバムはどれも儚さを伴ったスウィートネスと溌溂とした躍動とを兼ね備えた名作の名に恥じぬものばかり。カートムに自由闊達な風を送った彼らの存在意義にも改めて思いを巡らせたいものである。(JAM)
BABY HUEY 『The Baby Huey Story』 Curtom/Water(1971)
ジミ・ヘンドリックスとも友人だった巨漢白人シンガー(26歳で夭折)。ベイビー・ヒューイ&ザ・ベイビー・シッターズ名義で録音していた彼のデビュー作にして遺作で、制作はカーティス・メイフィールド。定番ネタ“Listen To Me”を筆頭に、カーティス本人も後に歌った“Hard Times”やインプレッションズが歌った“Mighty Mighty”などを初期のカートムらしいファンキー&サイケなアレンジで聴かせる。(林)
THE IMPRESSIONS 『First Impressions』 Curtom/ビクター(1975)
エド・タウンゼンドのプロデュースで登場した新生インプレッションズによる第2章。サム・グッデンにフレッド・キャッシュという生え抜きメンバーに、前作『Finally Got Myself Together』から加わったレジー・トリアン、ラルフ・ジョンソンの4人が織り成す瑞々しいソウル・サウンドの数々は、“Sooner Or Later”を筆頭に中期カートムの勢いをそのまま代弁する。誉れ高き名盤だ。(JAM)
THE NOTATIONS 『The Notations』 Gemigo/Curtom/ビクター(1976)
カートムの傘下に設立されたレーベル=ジェミゴで彼らがリリースしたこのワン・アンド・オンリーのアルバムは長らくコレクターの宝物としてしか流通してこなかったが、現在はCD化もなされてマニアの独占物からようやく解放された。内容に関しては多くの文言を必要としない。ただ一言、〈シカゴ・ソウルのもっとも美味な部分をもったいぶらずにすべて詰め込んだ究極の盤〉……それで十分。(JAM)
BILLY BUTLER 『Sugar Candy Lady』 Curtom/Sequel(1977)
ジェリー・バトラーを兄に持ち、60年代にはエンチャンターズを従えるなどしてヒットを飛ばしたビリー。その後もいくつかのレーベルを渡り歩いた彼がカートムから出したのが、セルフ・プロデュースによる本作。セールス的には惨敗だったが内容は素晴らしく、極上のシカゴ・ステッパーズや穏やかなフォーキー・ソウルなど、兄譲りのダンディズム漂う歌唱でディスコ時代を乗り切った。ジャケもいい!(林)
LEROY HUTSON 『Hutson』 Curtom/ビクター(1975)
日英ではカーティスに比肩して評価の高いリロイ・ハトソンの、リッチ・テューホを共同アレンジャーに据えた3作目。理性が吹っ飛びそうになるメロウ・クラシック“Lucky Fellow”をはじめ、鉄壁のアレンジから柔らかいヴァイブが次々に紡ぎ出されてくる。アコギを従えた“It's Different”などを挿んで、朝焼けが似合う“So Much Love”でのシメまで完璧としか言いようがない! クールなジャケも最高な永遠の名作だ。(出嶌)
RASPUTIN STASH 『The Devil Made Me Do It』 Gemigo/Curtom/Sequel(1974)
コティリオンにも録音のあるシカゴの自作自演バンドがカートム傘下のジェミゴからリリースした結構レアな一枚。ジョセフ“ラッキー”スコットとの共同制作でシカゴらしいソリッドなファンクをやっているが、リッチ・テューホの洒脱なアレンジも手伝って全編に清々しい風が吹き抜ける。ジョージ・クリントン曲のカヴァーなど本リイシュー盤に収録の未発表曲からも彼らのファンク魂は十分見て取れる。(林)