ついにbounceが300号! そのなかでソウル・パトロールを続けるこの連載もついに30回です! そんな節目を記念して、今回はすべてのbounce読者に聴いてほしい30枚のソウル・アルバムをご紹介! 新しいスタンダードはこちらですよ!
30回! ソウル・ミュージックの真髄と、その少し裏に隠れた捨てがたいフレイヴァーを紹介してきたこの連載が、足掛け4年で30回目に到達しました。初回のモータウンを皮切りに、以降もカートムやハイ、ブランズウィック……と回を重ね、途中にはバリー・ホワイトやウィルソン・ピケット、リン・コリンズ、アイク・ターナーらの死も乗り越えてきたわけですが、何とタイミングを見計らったかのようにbounceも創刊から300号を迎えました。そんなわけで、今回は手前味噌ながら300号/30回を記念して、往年のソウル・アルバムから新しいスタンダード30枚を勝手に選定してご紹介しましょう。昨今は頻繁なリイシューの結果、マニアックなものが名盤扱いされる機会も増え、何が普通にデカい作品なのかがどんどん見えにくくなっているように思います。ゆえに、ここに並べたのは〈マストなベスト30!〉というよりは、敷居が低くて奥の深い〈入口としての30枚〉だと捉えていただけるとありがたいです。
ただ、ソウルといってもキリがないので、選盤の際に基準はいくつか設けています。まず、78年までのリリース作品のなかから/現在でも比較的入手が容易なオリジナル・アルバムを/1アーティストにつき1枚のみを選出することにしました。78年というのはいまから〈30年前〉というこじつけですが、翌年にマイケル・ジャクソン『Off The Wall』が登場してシーンの様相が変化していくことを思うと、どことなく収まりのいい区切りでもありますね(?)。
さらに今回は連載の主旨に合わせ、インストやアレンジに重きを置いてクロスオーヴァーした評価を得やすいファンク作品よりも、ソウルの根幹にあるヴォーカルの部分だけを重視して選出しました。それゆえにJBやスライ・ストーンなどの顔ぶれは選外になってしまいましたが、日本におけるソウルの捉え方がたいていロック的な視座に起因しているなかで、皆さんが名盤だと思い込まされていないものも紹介できているはず……などとゴタクを並べてみましたが、ここで紹介している30枚は聴けばすぐに良さがわかる、ストレートな味わいの名品ばかりです。これを入り口に、皆さんがもっと多くの名盤に出会えますように!
(出嶌 孝次)