70年前後にノーマン・ホイットフィールドらが生み出したサイケデリック・ソウルとは、簡単に言えば、西海岸のヒッピー文化に端を発するサイケデリック・ロックのソウル/ファンク版のこと。ワウ・ギターの音を強調するなどして奏でられた極彩色のサウンドは、ドラッグでハイになること以上に反権力や革命を訴える音として機能し、結果、ディスコを生む原動力ともなった。もちろんその先駆けは、ノーマンがライヴァル視していたスライ&ザ・ファミリー・ストーン。西海岸ならグラハム・セントラル・ステーションやウォーも同様だろう。一方、ハードなギターが掻き鳴らされる初期Pファンク作品もスライと並ぶ影響力を持った。ロータリー・コネクションも近い雰囲気がある。また、ノーマンと同じく長尺曲にこだわったアイザック・ヘイズも十分サイケだが、そのヘイズを支えたバーケイズの『Black Rock』などもサイケ気分全開の作品だ。他に、リズムボックスの音で強烈な印象を与えたティミー・トーマス、プログレッシヴなファンクを奏でたカーティス・メイフィールドやコモドアーズにもスライやノーマンからの影響は濃厚。そして、これらを受け継いだのが次世代モータウンの革命児となったリック・ジェイムズだったと言えるだろう。
バーケイズの71年作『Black Rock』(Stax)