THE VELVELETTES 『Essential Collection』 Spectrum
ノーマンがまだモータウン内で地位を確立していなかった頃に積極的に関わっていたのが、傍系のVIPなどに籍を置いていたこのヴェルヴェレッツだ。結局シングルしか出せなかったモータウン時代の彼女らの編集盤には、“Needle In A Haystack”や“He Was Really Sayin' Somethin'”など典型的な60'sモータウン・ビートのガールズ・ポップ曲が満載。ノーマンらしい翳りのある雰囲気も感じられる。
(林)
GLADYS KNIGHT & THE PIPS 『Gold』 Motown
モータウン時代のベストだが、グラディス・ナイトのディープで張りのあるヴォーカルはノーマンの制作曲と相性抜群だった。特に“I Heard It Through The Grapevine”は後発のマーヴィン・ゲイ版以上に力強く奔放に躍動するナイス・ソウルだし、サイケ色を全開にして同胞を鼓舞する“Friendship Train”はノーマン屈指の名作だろう。テンプス版と競作になった“I Wish It Would Rain”も収録。
(林)
MARVIN GAYE 『Anthology : The Best Of Marvin Gaye』 Motown
『What's Going On』以降の自立作が神扱いされる一方、ノーマンと作り上げた60年代後期の名作群が廃盤なのは最悪だが……とりあえずは編集盤でもコンビの妙は確認できよう。“Too Busy Thinking About My Baby”での紳士的なうららかさも良いし、“I Heard It Through The Grapevine”や“That's The Way Love Is”などの深い味わいに触れれば、ノーマンとの絡みなくして〈この後〉はなかったと確信させられる。
(出嶌)
THE TEMPTATIONS 『Cloud Nine /Puzzle People』 Motown
サイケ期に突入した69年の重要盤をまとめた2in1。モータウンらしからぬ路上感が自信たっぷりに追求される『Cloud Nine』は、ドス黒いとしか形容できない表題曲やカーティス以上にカーティスっぽい“Runaway Child, Running Wild”などのタフな仕上がりがヤバい。ビートルズ・カヴァーも含む『Puzzle People』では、ファンキーに疾駆する“I Can't Get Next To You”の洗練された荒々しさに燃える。
(出嶌)
THE TEMPTATIONS 『Sky's The Limit』 Motown(1971)
サイケ時代の中間期にあたるアルバム。アンディスピューテッド・トゥルース版でも知られる“Smiling Faces Sometimes”、ハーモニカとギター、ブラスが渾然一体となってうねりを上げる“Ungena Za Ulimengu(Unite The World)”も凄いが、目玉となるのはノーマン入魂のバラード“Just My Imagination(Running Away With Me)”だろう。脱退直前のエディ・ケンドリックスの美声が響き渡る傑作だ。
(林)
RARE EARTH 『Fill Your Head : The Studio Albums 1969-1974』 Hip-O Select
デトロイトを拠点とした白人ファンク・ロック・バンド。サイケ・カルチャーに触発されて出てきた面々だけに、ノーマンの手を借りずともファンキーだということは、テンプス曲のカヴァーを含むアルバム5枚(+α)をまとめた本ボックスを聴けばわかる。だが、73年作『Ma』での黒くブッといファンク・グルーヴは、やはり全編のプロデュースを手掛けたノーマンの手腕に負うところが大きい。
(林)
EDWIN STARR 『20th Century Masters - The Millennium Collection: The Best Of Edwin Starr』 Motown
激しいシャウトを武器にナッシュヴィルからモータウン入りしたシンガー。ノーマンがヴェトナム戦争へのプロテスト・ソングとして書いた“War”を歌うには、彼ほどのタフなノドが必要だったのだろう。同曲やその続編“Stop The War Now”、粘っこい“Funky Music Sho Nuff Turns Me On”など、ノーマンの曲が荒々しい歌唱で黒光りを増す様はこのベストでまとめて楽しめる。
(出嶌)