JERMAINE JACKSON
『Big Brother Jermaine: The Jermaine Jackson Collection』 Spectrum
ジャクソン5の準リード・シンガーとして活躍後、ひとりモータウンに残ったジャーメイン。本編集盤は兄弟と離れていた時期の記録となるが、彼が常に弟マイケルを強く意識していたことはここに並ぶ楽曲を聴くだけでも十分にわかる。『Off The Wall』の勢いに一矢を報いたスティーヴィー・ワンダー製のヒット“Let's Get Serious”を筆頭に、兄弟随一の野性味を滲ませた歌声が激しく格好良い。*出嶌
THE JACKSONS
『Victory』 Epic/ソニー(1984)
ジャーメインの復帰と『Thriller』現象を経て登場した6人組時代の唯一のアルバム。〈ホワイト・アルバム〉的と評すれば聞こえはいいが、各々が最低1曲は主導権を握るというエゴ丸出しの争いが繰り広げられた結果、6人の再会感も何もないコンピ的な内容となってしまった(のだが、それがおもしろい!)。MJのリード・ヴォーカルは3曲のみで、ミック・ジャガーとのデュエットをわざわざここに入れるあたりにも溝の深さは窺える。*出嶌
JANET JACKSON
『Dream Street』 A&M(1984)
末妹ジャネットの大化け直前の2作目。ジェシ・ジョンソンの仕事ぶりも良いが、ここでは四兄マーロン制作の2曲に注目したい。ジャクソンズもコーラスに参加した“Don't Stand Another Chance”では、フックで聴けるMJの鋭いアドリブにやはり耳が行く。一方、スピード感のあるファンクの佳曲“All My Love To You”はMJの“Wanna Be Startin' Somethin'”に激似で、弟に嫉妬してアウアウ叫ぶマーロンの姿が微笑ましい(か?)。*出嶌
BROTHERS JOHNSON
『Look Out For #1』 A&M(1977)
ギターを弾く兄ジョージとベースを弾く弟ルイスの関係は、ジャクソン兄弟でいえばティトとジャーメインといったところか。マイケルに先駆けてクインシー・ジョーンズが援護したジョンソン兄弟のファンク・ユニットで、本デビュー作には後にQ御大が自身のリーダー作で取り上げる“I'll Be Good To You”や“Tomorrow”の原曲も収録。ルイスはマイケルのソロ作でも骨太なベースを披露することに。*林
GREG PHILLINGANES
『Pulse』 Planet/BMG JAPAN(1985)
別掲した『Destiny』への起用以降、兄弟の諸作でも重宝鍵盤奏者のソロ2作目。当時の先端テクノロジーを駆使したブラコン・マナーの内容で、MJがアレンジ/作詞を施して『Thriller』に入れる予定だったYMOのカヴァー“Behind The Mask”を収録している。グレッグ自身の歌もMJのデモを参照したような熱さで微笑ましい。ジャクソン家絡みだと、ジャッキー作のシンセ・ファンク“Playin' With Fire”も聴きモノだろう。*出嶌
LOVESMITH
『Lovesmith』 Motown/ユニバーサル(1981)
70年代にインヴィクタス系列から登場した3兄弟=スミス・コネクションが、もうひとり兄弟を加えて再出発を図ったのが、このラヴスミスだ。中心となるマイケル・ラヴスミスはジャクソン5やジャーメイン・ジャクソンを手掛けてきた人で、その縁でグループもモータウンと契約。よって内容もジャクソン兄弟色が強く、特にダンス・ナンバーで爽快にハジける感じなどはまさに。得意の甘茶スロウもある。*林