まずはジャクソン5の大先輩、“Please Mr. Postman”の大ヒットで初期モータウン躍進の駆動輪となったマーヴェレッツの、全アルバム集第1弾『Forever: The Complete Motown Albums Volume 1』(Hip-O Select)を大推薦します。ベストとライヴ盤も含めたアルバム6枚分の音源を丸ごと収録し、シングルのB面曲や後年発掘されたレアものもドバッと放出した全87曲入りの3CD。いわゆるガールズ・グループ的なアーリー・ソウル路線から、敏腕スタッフたちによって徐々に〈モータウンらしさ〉が完成されていく様子もグラデーションでわかります。〈Volume 2〉もメチャクチャ楽しみです。
続いてはフィリー時代のジャクソンズにとって先輩にあたる(強引?)同地の歌姫、バーバラ・メイソンの2枚を紹介。いずれも73年作となる『Give Me Your Love』と『Lady Love』(共にBuddah/Soul Brother)ですね。ギャンブル&ハフやMFSBの面々がバックを固め、カーティス・メイフィールドのカヴァーを表題にした前者が特に甘美なムード。ジャケも良いです。フィリー繋がりでは、現地の大物プロデューサーたるモーリス・ベイリーの関連音源が2枚にコンパイルされています。『The Philly Sound You Never Heard Vol. 1』で男性モノを、『The Philly Sound You Never Heard Vol. 2』(共にFunkadelphia/MAGNUM CAT)では女性モノがまとめられていて、60~70年代にかけて地元の諸レーベルに残された超レア曲ばかり。解説付きの日本盤で入手すべきマニア推奨品なれど、味わいは実にストレートで万人ウケ可能なものですよ。
また、60年代末から活動するデトロイト出身のシンガー、カール・カールトンのベスト盤『Everlasting: The Best Of Carl Carlton』(Hip-O Select)も必携のブツです。ディスコ・クラシック“She's Bad Mama Jama(She's Built She's Stacked)”だけの人扱いされることもありますが……言語道断! スティーヴィー・ワンダー似の少年シンガー時代から、全米6位のヒットとなった“Everlasting Love”のカヴァー、ジャーメイン・ジャクソン似の声質を活かした後年のメロウ・ファンク路線まで、ジャクソンズの情熱的な甘さに惹かれる人ならこちらもチェックしてほしいもんです。
で、最後にプッシュするのは、冒頭のマーヴェレッツに通じなくもないNYのオッサン1人+ギャル3人組、エキサイターズの後期音源を集大成した『Soul Motion: The Complete Bang, Shout And RCA Recordings 1966-1969』(Kent/Ace)。モッズ受けしたグループゆえか、ソウル・ファンにはさほど注目されていませんが、時代性を反映したヴァラエティー豊かな曲が楽しめますよ!