エムトゥーメイといえば、メンバー個々がグループを離れてからそれぞれ裏方として成功を収めたことことでも有名だ。なかでも著名なのは、フュージョン調のソロ作『Esoteric Funk』(79年)も残す鍵盤奏者のヒューバート・イーヴス3世だろう。彼はジェイムズ“Dトレイン”ウィリアムスと組んだDトレインで“Keep On”などのダンス・ヒットを連発。他にも80年代を通じてジェノビア・ジーターやアンドレ・シモーン、ジョセリン・ブラウンらの作品に強い存在感を刻み、83年にはストレンジャーズを結成してサルソウルからデビューしてもいる。そのストレンジャーズに名を連ねたドラマーのハワード・キングも、キャリン・ジョーンズやメルバ・ムーアらの作品で手腕を発揮し、ブラコン時代に欠かせない名裏方となった。
そして忘れちゃいけないのが、ジェイムズ・エムトゥーメイとのコンビを解消した後のレジー・ルーカスだ。マドンナの処女作でほぼ全曲のプロデュースを担い、“Borderline”なども書いた彼は、人気クリエイターとして以降もリビー・ジャクソンやフォー・トップスなどを手掛けていった。日本で特に有名なランディ・クロフォードの“Almaz”もレジーのプロデュース曲だったりする。こういったポテンシャルの持ち主たちがエムトゥーメイ・サウンドを作り上げていたのだ。
▼関連盤を紹介。
左から、D・トレインの86年作『Miracles Of The Heart』(Columbia/Expansion)、ストレンジャーズの83年作『The Strangers』(Salsoul/Unidisc)、キャリン・ジョーンズの82年作『Under The Infulence Of Love』(Handshake)、マドンナの83年作『Madonna』(Sire)、ランディ・クロフォードの86年作『Abstract Emotions』(Warner Bros.)