時空の極北で鳴り響く2010年代のブレインダンス・ミュージック
スタジオ・ロッカーズやプラネット・ミューに残されたマッドなダブステッパーから、J・ディラ以降のビートで最高峰のひとつに挙げられる“Hypercolor”で知られてきたビートメイカーのエスキモー。ニンジャが世話役を務めるブレインフィーダーの首領=フライング・ロータスに召喚された伝説のライヴを機に、まだかまだかと待たれた初作『Eskmo』は、ノスタルジックながらも時空をマッドに伸縮するエレクトロニクスと一貫してスモーキーなBPMで埋め尽くされていて、ワープからのデビューが予定されていたのも頷ける。いわゆるダブステップ以降のビートものと捉えるにはもっと想像力の細部まで手を伸ばしてくるし、エレクトロニカで括るにはブレインダンス誘発度高めなプロダクションは御大アモン・トビンも墨を付けたほど(エスカモンなんてユニットまでちゃっかり組んでるし)。何はともあれこの作品のポツンとした佇まいは多くの人を魅了して止まないだろう。