1. クラムボン 『くじらむぼん』 MARGINAL LINE(1998)
コンピ『Soup Up Vol.2』への参加を経て発表した初のミニ・アルバム。鍵盤を中心に据えたトリオ編成が織り成すサウンドは、粗削りではありながらもすでに眩しい個性を光らせていた。“パンと蜜をめしあがれ”は初期ライヴの人気曲。*久保田
2. クラムボン 『JP』 ワーナー(1999)
〈ありったけを詰め込んだ〉感も微笑ましい、そのセンスをカラフルに弾けさせたメジャー・デビュー作。アートワークに映る3人にはまだあどけなさが残る(特にミト)が、フリーキーな匂いを忍ばせた“ORENZI”など、ひとクセあるところも小出しに。*久保田
3. クラムボン 『まちわび まちさび』 ワーナー(2000)
制作前に原田が入院したせいもあってか、『JP』と比べて若干クラウディーな印象も与える2作目。しかし、シングル曲“シカゴ”を〈病み上がりヴァージョン〉として再生させるなど、アクシデントも好機に変えるタフさが頼もしくて。*久保田
4. クラムボン 『ドラマチック』 ワーナー(2001)
共同プロデューサーに亀田誠治を迎え、轟音を鳴り響かせる冒頭曲“ロマンチック”や10分近くに及ぶ大曲“ララバイサラバイ”、さらにはオープンマインドな名曲“ドラマチック”など、バンドのポテンシャルを一気に押し広げた初期の傑作。*久保田
5. クラムボン 『Re-clammbon』 ワーナー(2002)
急速な勢いで進化するクラムボンのサウンドを、過去のレパートリーに当てはめたセルフ・カヴァー集。その後の音楽性に大きな影響を与えたエンジニア、ZAKとの初コラボとなった本作には、原田の同級生である田渕ひさ子らも友情客演。*久保田
6. クラムボン 『id』 ワーナー(2002)
共同プロデューサーにアダム・ピアース(マイス・パレード)とアンディ・チェイス(アイヴィ)を迎え、より音響的でパノラミックなサウンドを探究。彼らの歴史を分けるなら、本作からが第2期と言える。その後の拠点となる小淵沢での制作はこれが最初。*久保田
7. クラムボン 『imagination』 コロムビア(2003)
コロムビア移籍後の第1弾。心機一転もあってか、スクッと背伸びをしたように端正で見通しの利いたポップ・チューンが多く、全体のバランスも均整が取れている。アヴァンギャルド分量も控えめで、耳馴染み度では彼らの作品中屈指の一枚だ。*北爪
8. クラムボン 『てん、』 コロムビア(2005)
モノとステレオの2枚組という風変わりな体裁で、質感の違う音比べが楽しめる。ミトのプロデュースが功を奏したのか、バンド・アンサンブルが強靭さを増し、静と動の陰影がより鮮明に響く。統一感は薄いが、そのぶん触れ幅の広いサウンドが魅力的。*北爪
9. FOSSA MAGNA 『Declaration of the Independence of the imagination and the Rights of Man to His Own Madness I』 ポリスター(2006)
ミト&伊藤にNathalie Wiseの斎藤哲也を加えたピアノ・トリオ。ロック的なダイナミズムと瞬発力を、フリーフォームのジャズで体現した快作。*北爪
10. ohana 『オハナ百景』 コロムビア(2006)
原田がオオヤユウスケ、永積タカシと共に結成したコーラス・グループによる唯一のアルバム。カントリーやフォーク、レゲエなどを賑々しく楽しげに歌う3人の声が掛け合い、重なり、駆け上がっていく、そのハーモニーが素晴らしい。*鬼頭