ティン・パン・アレー 『キャラメル・ママ』 PANAM(1975)
細野晴臣、鈴木茂、 林立夫、松任谷正隆によるこのユニットはいわゆるプロデュース・チーム的存在だったが、メンバー各々で活動することもあるクラムボンのフレキシブルさは、水面下でさまざまなアーティストをサポートした彼らの遺伝子を確実に受け継いだものだろう。仕事人としてのルーツとなる一枚。*岡村
ハナレグミ 『あいのわ』 スピードスター(2009)
学生時代からの盟友である永積タカシ。本作ラストの“あいのこども”では作詞を原田郁子が、作曲を彼が手掛けており、原田のソロ作『ケモノと魔法』にも別ヴァージョンを収録。ほんわかヴォーカル・ユニット=ohanaの3人が揃った本作は……というか、彼らは互いのプロジェクトのレギュラー・ゲスト的な存在のため、数え切れないほどのコラボ/共演歴が。*土田
MICE PARADE 『Bem Vinda Vontade』 Bubble Core(2005)
ミトがマイス・パレードことアダム・ピアースと意気投合。それがきっかけで、原田が本作に参加している。もともとクラムボンはジャズやクラウト・ロックも下地にしたようなバンドだったので、ポスト・ロック系のしなやかな音作りと共鳴し合ったのかもしれない。また郁子はマイスのメンバーを中心にしたヒムの作品にも登場。*岡村
原田知世 『eyja』 EMI Music Japan(2010)
失われることのない少女性と北欧の清冽な空気感がマッチした知世の最新作。そのツアー・バンドに参加したミトは、千住宗臣との鉄壁のリズム・アンサンブルでステージをサポート。また、彼女が主演した竹中直人監督の映画「サヨナラCOLOR」の音楽はクラムボンが担当していた、という縁があったりも。*土田
iLL 『∀』 キューン(2010)
90年代デビュー組は意外と交流がないらしいが、このコラボ作ではついに、クラムボンとiLLとの共同作業が実現! 即興演奏の現場に触れたことが発案の元となったという本作。両者による果てしないセッションを12分に凝縮し、ひとつの宇宙を作り上げた“Voyager”は、まさにその企画性に沿った楽曲と言えるだろう。*土田
矢野顕子 『音楽堂』 YAMAHA(2010)
原田がもっとも影響を受けた音楽家の一人である彼女。クラシックとジャズをポップスの目線から吸収していたり、物語を歌って聴かせるようなピアノの弾き語りスタイルなど共通点は少なくない。声質は異なるが、喉を開くような発声法も声量ある矢野譲りか。2004年にはクラムボンとの対バンも実現。*岡村
toe 『For Long Tomorrow』 Machu Picchu(2010)
本作に収録された実験性と叙情性が交錯する“After Image”では原田郁子をフィーチャーし、歌声を大胆にエディット。かと思えば、toeの『new sentimentality e.p.』をミトがプロデュースしていたり、クラムボンの近作のエンジニアは美濃隆章だったりと、かなりの相思相愛ぶり。*土田