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第56回――タイム・ファミリー

タイム・サウンドを受け継いだ作品たち

連載
IN THE SHADOW OF SOUL
公開
2011/11/16   00:00
ソース
bounce 338号 (2011年11月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次


タイムのサウンドをとりあえずミネアポリス・ファンクと呼ぶのだとしたら、バンドの解散によって拡散し、各所で展開されたプロデュース・ワークなどはいずれもタイム・サウンドの末裔だと捉えることができるだろう。フライト・タイム・プロダクションとより密接な関係にあったタブー作品は別としても80年代からジャム&ルイスたちとの邂逅によってモダンな感覚を受け取ったアーティストは多く、そのなかではシェリル・リンの85年作『It's Gonna Be Right』がモンテ・モアの仕事も含めて代表的だ。また、ニュー・エディションの88年作『Heart Break』もフライト・タイム仕様のクールなファンク感が心地良い。

時代がだいぶ飛ぶが、チャカ・カーンの2007年作『Funk This』にはジャム&ルイスとジェシー・ジョンソンが久々に共演するというサプライズもあった。その流れなのか、ジェシーが13年ぶりに出した現時点での最新作『Verbal Penetration』(2009年)にはジャム&ルイスの弟子にあたるアヴィラ兄弟の参加もあった。

弟子ということではジェリービーンのバックアップを受けてジャム&ルイスのレーベルからデビューしたミント・コンディションは、土地的にもバンドとしてもまさにミネアポリス・ファンクの後継者だといえるだろう。さらにカヴァー例では、TLCが取り上げた“Get It Up”やスヌープ・ドッグの“Cool”がすぐに思い浮かぶ。前者はプリンス好きなダラス・オースティンらしいロウでクールな感じだが、後者は80sファンクの胡散臭いところもきちんと弁えた、好ましい直球カヴァーだった。



▼関連盤を紹介。
左から、シェリル・リンの85年作『It's Gonna Be Right』(Columbia)、ニュー・エディションの88年作『Heart Break』(MCA)、チャカ・カーンの2007年作『Funk This』(Burgundy)、ジェシー・ジョンソンの2009年作『Verbal Penetration』(Elite)、ミント・コンディションの2011年作『7』(Cagedbird/Shanachie)、TLCのベスト盤『Now & Forver The Hits』(Arista)、スヌープ・ドッグの2008年作『Ego Trippin'』(Doggystyle/Interscope)