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ディスクガイド――(2)

連載
Discographic
公開
2012/04/04   17:58
更新
2012/04/04   17:58
ソース
bounce 342号 (2012年3月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/青木正之、一ノ木裕之、加藤直子、金子厚武、北野 創


SKYFISH 『RAW PRICE MUSIC』 (2009)

RUMIのライヴDJとしても知られる彼の現状唯一のアルバムは、ジャンルにツバをはくミュータント・ヒップホップの目が覚めるようなホームラン。鎮座DOPENESSのキャスティングがドンピシャな“CHO YABEEE”をはじめ、突き抜けたエナジーが時を経てもなお鮮度を誇っている。で、次はまだっすか!? *一ノ木

 

ABNORMALS 『イニシエバイオレント (2009)

80年代後半から活動するヴェテラン。〈AIR JAM〉に出演するなど90年代のラウド・シーンを賑わせた。2000年代に入って改名したが2006年には元へ戻り、本作でPOPGR-OUP入り。重量感のあるリズム隊が支える猥雑なサウンドにはやはり震えた! 昨年末のメンバー交替を経て心機一転した彼らにも期待が高まる。 *加藤

 

DJ BAKU 『THE 12JAPS』 (2009)

12人の日本語ラップ勢を客演に迎えて制作。バックトラック然とした作りに留まらない音のレイヤーは彼の刻印。そうした一方で、いつになくオーソドックスなオケに乗っかるILL-BOSSTINOが新鮮な“JAPANESE HIP HOP AND ME”など、仕掛けもそこここに。NORIKIYOのリリシズムはここでも特筆ものだ。 *一ノ木

 

RUMI 『Hell Me NATION』 (2009)

ジャケットの振り切れっぷりも尋常じゃないけど、それ以上に突き抜けた中身が素晴らしい〈Hell Me〉3部作の完結編。SHINGO★西成の名曲“U.Y.C”を引用して、〈あえて空気読みません〉と歌う“A.K.Y”を筆頭に、かつてのアングラ色を払拭したユーモラスかつ鋭い視点の逸曲が並んでいる。楽しんだ者勝ちでしょ! *北野

 

『JAPADAPTA MIXED BY DJ DYE』 (2009)

ミックスCDシリーズ第2弾はTHA BLUE HERBのライヴDJ、DYEが登板。アブストラクトなヒップホップや4つ打ちを中心に、激ドープなビートを選んだ男臭い内容だ。特にGOMA~DJ SODEYAMA~SAIDRUM~JAPANESE SYNCHRO SYSTEMと続く終盤の流れは息を呑むほどスリリングで、身震いする。 *青木

 

環ROY 『BREAK BOY』 (2010)

幅広く集める支持やライヴ活動、トラックメイカーたちとの連作で得た自信を、物言いにも強く滲ませたセカンド・アルバム。日本語ラップ・シーンに矢を放つ“J・RAP”もその自信の裏返しだ。勢いに満ちた“バニシングポイント”と、客演の七尾旅人が曲を染める“break boy in the dream”が全体を大きく支える両輪に。 *一ノ木

 

DJ BAKU HYBRID DHARMA BAND 『D.E.F』 (2010)

BAKUを中心にBACK DROP BOMBのメンバーやTHINK TANKのBABAら、歴戦の猛者が集結した怪物バンドの初作。ライヴでの前評判通りに、ハードかつエモーショナルなアンサンブルはダブステップからドラムンベースまでを呑み込み、激しい衝動性と共にどこまでも上昇していく。荒ぶる魂の結晶のような快作。 *北野

 

FIRST SEED 『FIRST SEED』 (2010)

かつてLOUDNESSのトリビュート盤にも参加していたBAKUだが、この2作目ではディストーション全開のギターや生ドラムなどロックな要素をググッと増強。そこにケチャやら胡弓やらも投入して独自のドープネスを醸造している。いとうせいこうのアジテーションが激アツな重要曲“DHARMA”はここに収録。 *北野。

 

KMC 『東京WALKING』 (2010)

anonymssやASA-CHANG&ブルーハッツのメンバーとしても知られるチェロ奏者。コトリンゴや毛皮のマリーズなどなど、演奏や弦アレンジでの仕事量はハンパないが、マイペースにソロ作も発表しており、その初作はこちらから。エレガントでストレンジな室内楽ナンバーの数々は、おとぎ話の世界に迷い込んだ気分に。 *加藤

 

環ROY 『あっちとこっち』 (2011)

とりわけ前作ではエゴをむき出しにしてきた多くの言葉が、みずからを省みるものへと変わりゆく3枚目のフル・アルバム。それは震災を受けてより聴き手に寄り添うものへと向かった成果とも言えるか。ゆったりとしたラップを聴かせるなど、スタイルにおいてもより柔軟な押し引きが窺われるあたりは成長の跡かも。 *一ノ木