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【第8回】――ZOKKON -addictive special

MINT

タグ
女性アイドル
連載
ZOKKON -candy floss pop suite-
公開
2012/04/11   18:00
更新
2012/04/11   18:00
ソース
bounce 342号(2011年3月25日発行号)
テキスト
インタヴュー・文/出嶌孝次


西のZOKKON野郎、ミンちゃんが降臨!

 

 

「ま、もともと変なふーに見られてるから、〈イメージを保つためにガマンする〉みたいなコトは考えなかったですねー。好きなモノは〈好き〉ッて大きめの声で言うコトにしてましたし、自分の好きなモノやコトが曲に反映されないほーが不自然でしょー」。

〈アニメやアイドルの趣味嗜好を作品に反映させることに、抵抗や躊躇はありませんでしたか?〉——と問うと、メールで返ってきた答えがこちらでした。回答者の名はMINT。関西を拠点に活動する〈鬱以上躁未満、非実在ジタニカ引きこもりニートMC〉です(資料より)。いまでこそアイドルについて語るのも流行のようになっていますが、彼はそうしたブームが訪れる前から深い造詣と愛を表明してきたひとり。昔から日本語ラップを追っている人なら、彼が韻踏合組合でマイクを握っていた時代を知っているかもしれませんし、あるいは二次元のキャラクターを駆使しながら、フリー・ダウンロードやジャックものの世界で名を馳せる先端ラッパーという認識を持っている人もいるでしょう。いずれにせよ、そんなMINTが実に5年ぶりとなる正規アルバムをリリース、しかも同じくネットの現場で活躍するヒップホップ/アイドル両面での同好の士、Lil'諭吉ことCherry Brownが全曲をプロデュースしているというのですから、これは文化的な結び付きを急激に強めているヒップホップとアイドル双方のファンにとって垂涎の顔合わせに他なりません。

ニュー・アルバムのタイトルは『ミンちゃん』。そもそも前作『after school makin' love』から新作に至るまでの間、2009年作『SUPER FREE』をはじめとするフリー音源中心の動きにシフトしていったのはなぜだったのでしょうか。

「正直言うと、めんどくさいからです。前作で正規盤を出すことの大変さも経験したし、そんな売れなかったし、もともとクラブは好きぢゃないし、ヒト付き合いもめんどくさいし……そんな自分にはピッタリだったんですよね。『SUPER FREE』のキッカケは当時USのミックステープをよく聴いていて、同じことを日本でやってるCherryに影響されました。しょーもないストリート・アルバムみたいなの売ってるヒトはいたけど、ネットでの無料ダウンロードはほんとまだCherryくらいしかいなかったと思うんで」。

全曲のプロデュースをLil'諭吉とYuuyu Aensland(どちらもCherry Brownの変名)に委ねたのもそんな経緯があったようです。

「最初から全曲やってもらう前提でした。一時期ブログでも言ってたんですけど、けじめでもあります。何年も前から〈次に正規で出す時は諭吉はんで〉って話してたし、これまでのキャリアで自分にいちばん合うトラックメイカーだと思ってるので」。

本人も語るように両者の相性は抜群です。トラック選びの際には雰囲気が被らないようにすることを心掛けたそうですが、今様のグリル・チューンからエイラブミュージックを思わせるパーカッシヴなもの、さらにはベースやトランス調まで多彩な内容でメチャクチャかっこいい内容になっています。

「歌い方は曲ごとにイロイロと工夫して、同じよーにならないよーにしました。あと、前作の時にわざとあんまり抑揚なく、間を重視した歌い方にしたら〈ラップがヘタになった〉とか言われてムカついたんで、今回は少しわかりやすくカッコイイ感じで歌ってやりました(笑)。〈いわゆる日本語ラップ〉っぽいトピックスを扱った曲はナイんですが、共感できなくても〈ラップとトラックカッコイイなー〉と、ただ思ってもらえれば嬉しいです。別に世に出るすべてのアルバムや曲が〈何らかの意味〉を持ったモノでなくてイイと思うので」。

なお、資料の活動予定にはPerfumeの観覧予定まで記されているMINT。「在宅で楽曲派」だという彼の最近のお気に入りは……。

「でんぱ組.incのアルバムはいまでもよく聴いてますし、期待してたスパガもスキップなしで最後まで楽しく聴くコトができました。曲単位だとLinQの“さくら果実”、BABYMETALの“いいね!”でしょーか。特に“いいね!”はアーティストとしても素直に〈いいね!〉と言えないほどカッコ良くて、悔しいくらいです。あんなクォリティーの高い曲であれだけ遊ばれたら敵いません……本隊のさくら学院のセカンドをこの春のリリースでいちばん楽しみにしています。ッてか、T-Palette立ち上げの話を聞いた時に、自分が次に狙うのはココしかないと思ってたんですよ!! すでに次作の構想も固まってますし、神戸/大阪あたりの担当でいかがですかねー(笑)」。

 

▼関連盤を紹介。

左から、MINTの2007年作『after school makin' love』(Pヴァイン)、韻踏合組合の2010年作『都市伝説』(ファイル)、Cherry Brownが在籍するJACK RABBITZの2011年作『JACK RABBITZ』(HOOD SOUND/Village Again)、LinQの2012年のシングル『さくら果実/Sakura物語』(T-Palette)