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サルソウル

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Discographic
公開
2013/05/22   00:00
更新
2013/05/22   00:00
ソース
bounce 354号(2013年4月25日発行)
テキスト
文/編集部


ダンスフロアの向こう側、虹の彼方にあるというあの理想の別天地まで、私たちを導いてくれるのは、ソウルフルなヴォーカルにタイトなリズム、そして美しいストリングス……たとえ時代が移り変わっても、そこにある合言葉はいつだって〈Dance Your Ass Off〉だよ!!



4月13日、ヴィンセント・モンタナJr.が亡くなった。享年85歳。MFSBのオリジナル・メンバーであり、その後サルソウル・オーケストラに在籍してヴィブラフォン奏者/アレンジャーとして多大な功績を残した魔術師がこのタイミングで天に召されるというのは何か因縁めいたものを感じなくもない……ともっともらしいことを書く必要もない。謹んでご冥福をお祈り致します。

さて、そんなモンタナらが活躍したレーベル、サルソウルは74年にNYで設立されている。ファウンダーはジョー、スタン、ケネスのケイヤ3兄弟。もともとラテン音楽などを配給するレーベルをやっていた彼らは、当時ファニアを離脱したジョー・バターンと契約してメリカーナというレーベルを興した。それが73年のことだが、そこでリリースしたジョーのアルバム『Salsoul』という造語をそのままレーベル名にして立ち上げたのがサルソウルというわけである。

稀にその単語の意味の通り、サルソウルの音源から極端にラテンのルーツ音楽のようなものを読み取らんとする人もいるようだが、ダンサブルなラテン・ファンクを展開するジョー・バターンのようなオリジネイターは別として、一般的にサルソウルという言葉から連想されるレーベルのシグネチャー・サウンドは、フィリー・ソウルを展開したオーケストラによるダンス・サウンド(そこにラテン風味そのものはあるのだが)であり、タイトでヘヴィーなリズムと、流麗なストリングス・アレンジの施されたスタイル……と、文字にすればフィリー・ソウルのサウンドそのまんま。ただ、それをよりダンス・サウンドとして強化するようになったのは、アフリカ系やヒスパニック系、あるいは同性愛者という多様なマイノリティーの若者たちが集まっていたNYのディスコにおいて、フロアでの機能性をより重視していった結果でもあるのだろう。

初の商用12インチ・シングルをリリースしたり、エディットやリミックスといった手法を編み出すDJやクリエイターを起用していたり、フィリー・ソウルを起点に、ラテンのフレイヴァーも加えて、あくまでも美しくダンサブルであろうとしたサルソウルは、70年代半ばから80年代初頭にかけて、フィリー人脈を中心にしながら数多くの印象的なダンス・ヒットを世に出している。その過程ではディスコ文化のお茶の間化が進行することで、美学を守らんとするサルソウルが煽りを食らう機会も多くなっていくが、彼らは日和ることなく新たなプロデューサーやタレントを見い出すことで80年代に突入した。しかし、85年には閉鎖へ……。

今回紹介しているのは、まずレーベルの基本〜定番となるCD化作品たち。残り半分は次号にてご紹介します!



▼関連盤を紹介。
左から、テイトウワによるサルソウル音源のミックスCD『The Beat Goes On 〜SALSOUL CLASSICS MIXED BY TOWA TEI〜』(OCTAVE)、サルソウル音源を用いたMUROのミックスCD『KING OF DIGGIN' "DIGGIN' SALSOUL〜BREAKS〜"』(OCTAVE)

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