Quadraなどの活動を通じて90年代から日本のテクノ・シーンで活躍してきたhiroshi watanabe。彼が息子の名から取った新プロジェクト=Kaitoを始動させ、コンパクトと契約したのは2001年のことだった。最初の12インチ“Everlasting”のジャケで写真を使われた愛息の姿は、アルバムのたびにジャケで成長過程を見せてくれたものだ。が、今回登場した新作『Until The End Of Time』は――「完全に新生Kaitoとして再スタートを切っています。このプロジェクトに一貫して続けてきた流れをここで断ち切り、より自分自身の内面へと向けた新たな活動へとKaitoをシフトさせたんです」との言葉をジャケが裏付ける。独特の美しさやアンビエンスはそのままに、意識の上で前進を選んだサウンドの凛々しさは粒揃いの楽曲からもあきらかだ。そして、「人生を共に歩むような気持ち」と表現するほどの信頼で結ばれたコンパクトへの思いもミックスCD『Recontact』にて確かめてほしい。
▼関連盤を紹介。
左から、Kaitoの2009年作『Trust』(Kompakt)、hiroshi watanabeの2011年作『sync positive』(Klik)、hiroshi watanabeの2012年のミックスCD『Contact To The Spirits 2』、コンパクト音源を用いたKaitoの最新ミックスCD『Recontact』(共にOCTAVE)