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日本先行発売!フレッド・ハーシュのトリオ・ライヴ!21世紀の名演

フレッド・ハーシュ
Photo by Steve J Sherman

 21世紀、今という時代を奏でる現代屈指のピアニスト、フレッド・ハーシュの2012年2月ヴィレッジ・ヴァンガードでのトリオ・ライヴ盤が登場。

 2008年には2ヶ月にわたる昏睡状態に陥り、生死の境を行き来したフレッド・ハーシュ。命さえ危うかった状況にあって、誰がこの復帰を予想出来たことでしょうか?しかし、奇跡的に目覚めたフレッド・ハーシュの復活劇は、アルバム『Whirl』、そしてソロ・ライヴ盤『Alone at the Vanguard』で見事に証明され、音楽の素晴らしさと、人としての驚異的な可能性を教えてくれました。

 『Alone at the Vanguard』のライヴ(2010年12月)から約1年振りに、2012年2月、場所は同じくジャズの聖地ヴィレッジ・ヴァンガードで1週間にわたる演奏が繰り広げられ、ここに作品化されました。
 今回はトリオによる演奏で、メンバーは『Whirl』から不動のジョン・エイベアとエリック・マクファーソン。このトリオは、長年活動したドリュー・グレスとナシート・ウェイツとの前トリオに変わっての新しいパーマネント・ユニットですが、アンドリュー・ヒルのトリオのバックで既に活躍していたのを見染めたハーシュが心から信頼している2人です。加えて、『Whirl』の時は、まだまだ指先の不自由さを感じさせていたハーシュも、ピアニストとして驚異的な域に達するまでに、素晴らしい演奏をしています。

 音楽全体の空気感とすると、やはり病以前、以後には変化も。以前は、様々な意味において切迫していた雰囲気も漂い、それが音楽的にもシビアな空気を感じさせていましたが、本作も含め、復活後はいい意味のリラックス感も。しかし、それが音楽的なクォリティの弛緩を意味することでは全くありません。ハーシュ自身「ピアノを弾けることにただ感謝する」というような言葉を語ったと聞きますが、それは、限りある命を痛いほど感じているからこそのポジティヴさで、一瞬を深く呼吸し、楽しむアーティストの姿とも感じます。そして、テクニックを再び回復し、深い呼吸と共に、かつてからの芸術的なセンスを結実させたのが、この作品と言えましょう。

 4曲のアメリカン・ソングブック、7曲のスタンダードに加え、7曲のオリジナルを収録。ハーシュがジャズという枠内だけでなく、クラシックも含めて西洋音楽全般に関して研究をしていることは広く知られることですが、表現されるのは、決して借り物ではなく、全てフレッド・ハーシュでなければありえない独自の音楽表現。そこには、研究をもとにしつつ、自らの表現として1音の必然性を追求し、自らのものにしたからこその、自然なメロディの美しさが。
 どの曲にも、オリジナルな美が息づきますが、原曲に忠実な表現の中に、深い哀愁が滲む「I fall in Love too Easily」、「The Wind」~「Moon and Sand」といったアメリカン・ソング・ブックのメロディを大切にしたメドレー、またモンクの音楽への敬愛が滲み出る「Dream of Monk」、ポール・モチアンのハーモニーの美しさをバラードに表現したナンバー「Tristesse」、まためくるめく展開がオーネットのハーモロディックを彷彿とさせて興味深い「Sartorial」など、正に聴きどころ満載です。

 ハーシュ曰く「自分にとってベストのレコードかもしれない」、とのこと。スタジオではなく、ヴィレッジ・ヴァンガードでの録音も本人にとって特別。56歳ハーシュが今を語る素晴らしい作品です!

【収録曲】
◎DISC 1
1. Havana (Hersch)
2. Tristesse (Hersch) (for Paul Motian)
3. Segment (Parker)
4. Lonely Woman (Coleman) / Nardis (Davis/Evans)
5. Dream of Monk (Hersch)
6. Rising, Falling (Hersch)
7. Softly As In A Morning Sunrise (Romberg, Hammerstein II)
8. Doxy (Rollins)

◎DISC 2
1. Opener (Hersch) (for EMac) 7:20
2. I Fall In Love Too Easily (Cahn, Styne)
3. Jackalope (Hersch)
4. The Wind (Freeman) /Moon and Sand (Wilder)
5. Sartorial (Hersch) (for Ornette)
6. From This Moment On (Porter)
7. The Song Is You (Hammerstein, Kern) / Played Twice (Monk)

2012年2月7日~12日、NYCヴィレッジ・ヴァンガードにてライヴ録音

【メンバー】
Fred Hersch(p)、John Hebert(b)、Eric McPherson(ds)

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カテゴリ : ニューリリース | タグ : ピアノ・トリオ ジャズ・ピアノ

掲載: 2012年08月13日 13:23

更新: 2012年08月13日 13:23