10年代エレクトロニカの最高到達点!ボノボ待望の最新作
ニンジャ・チューン屈指の抒情派にして、本国UKやヨーロッパではフライング・ロータスと並ぶほど絶大な人気を誇るボノボの通算5作目となる『ザ・ノース・ボーダーズ』。本作は2010年にリリースされた傑作『ブラック・サンズ』の多様なエレクトロニカ・サウンドの系譜を受け継ぎながら、ビート・プロダクションは4/4や2ステップなど、よりダンサブルなものへ進化を遂げ、そのミニマルな構造はボノボ・サウンドの真骨頂ともいえるノスタルジーとメロウな情感が過去最高に溢れだす仕上がりに!また、収録曲「Saphire」にはフライング・ロータス最新作への参加も記憶に新しいネオ・ソウルの女王エリカ・バドゥが参加し、幽玄でグリッチーな2ステップ・ビートの上を近年稀に見る切なくジャジーな歌声を披露。そして、「Transits」ではUKフォーキー・ソウルの才媛ジュアディーンがエキゾチックなガラージ・ビートの隙間から儚げな美声を立ち昇らせる。その一方で、キャッチーなスウィングと自由で広大なメロディーが融け合う「Emkay」や、ビートのミニマリズムと反復するカリンバの音から溢れ出すエモーショナルな高揚感がさらなる美しさを求めてじわじわと上昇していく先行シングル「Cirrus」などのインスト曲ではその意匠を遺憾なく発揮し、息を飲むほど美しいコントラストで配されている。美麗なアートワークを携えた本作は今までのボノボ・ファンからは歓喜の声を持って迎えられ、フォー・テットの名盤『There Is Love In You』に続く一枚を探し続けるエレクトロニカ・リスナーにとってはその旅路に終止符を打つ一枚となるだろう。