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メゾ・ソプラノの波多野睦美とピアニストの高橋悠治によるシューベルトの“冬の旅”

冬の旅


二人は2006年から共に演奏を始め、高橋作品を含む日本、フランス、イギリス、ドイツ、の近現代歌曲、バリトンサックスの栃尾克樹とのトリオ「風ぐるま」での音楽史を縦断するオリジナルプログラムなどの演奏で注目を浴びている。
2016年1月からコンサートで披露され、毎年の公演開催をめざすシューベルトの「冬の旅」が、この度CDになった。
「冬の旅」は、作曲当時からシューベルトの友人たちをその「暗さ」で驚かせたが、暗さの底に強い意思をみせる歌詞の奥深さとメロディライン、ピアノ伴奏との一体感が多くの歌手を惹きつけてやまない。男声のために書かれた作品だが、女声による名演も多い。
長年にわたって多くの名歌手、器楽奏者、俳優らと「冬の旅」の演奏を重ねてきた高橋悠治と、そのピアノにインスパイアされた歌手・波多野睦美の演奏には「神なき時代に、友と連帯し、なお前進してゆこうとする静かな決意」が聴こえると解説の堀朋平が書いている。一足一足よろめきながら踏みしめて歩くような演奏は、シューベルトの時代の社会的な閉塞状況を現代に重ねた、新しい「冬の旅」の始まりを想起させる。
(ソネット)
※対訳:高橋悠治
※解説:堀朋平(音楽美学)
【曲目】
F.シューベルト:
歌曲集「冬の旅」op.89 D.911(全24曲)
【演奏】
波多野睦美(メゾソプラノ)
高橋悠治(ピアノ)
【録音】
2017年4月 三鷹・風のホール(東京)

エンジニア:櫻井卓(Pau)
ディレクション:野田智子(Pancemusic)

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2017年10月03日 00:00