「名作コンシェルジュ」掲載!高橋悠治『ケージ: プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード、他』
掲載: 2026年03月09日 18:30

プリペアド・ピアノを調整する高橋悠治
鍵盤楽器が打楽器のよう
東西の垣根超える響き
1975年にピアニスト、作曲家の高橋悠治が録音したジョン・ケージ作曲『プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード』が、2026年3月8日(日)日経新聞日曜版、鈴木淳史氏の名物コラム「名作コンシェルジュ」に紹介されました。
鈴木氏はアメリカの作曲家ジョン・ケージ(1912~92)を「演奏家が一切音を出さない「4分33秒」に代表されるような、近代ヨーロッパの価値観を揺るがす音楽を書いた」と紹介。「ピアノの弦と弦のあいだに、金属やゴムなどを挟んで」「ピアノー台で打楽器アンサンブルを代用しようとしてケージが開発した」プリペアド・ピアノの代表作が、彼の「ソナタとインターリュード」であり、「ピアニスト、作曲家として時代の寵児だった高橋悠治による演奏は、ストイックにして明晰だ。テンポも速い」と解説。高橋悠治の演奏するケージは、「その尖った音楽は、東西の垣根を越えて響く」とし、「アジア民衆の音楽をも積極的に取り上げたこの音楽家ならではの名演だ」と結んでいます。
プリペアド・ピアノとは
通常のピアノの弦の間にボルトやゴムなどを挟んで異物を装着し、音色を変化させた楽器です。これにより、ピアノの音を打楽器や鐘、ガムランのようなさまざまな音に変えることができます。アメリカの作曲家ジョン・ケージが1940年に考案した手法です。
ジョン・ケージは1948年に『プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード』を作曲。この楽器の代表作として広く知られています。
1975年に世界的な現代作曲家でピアニストの高橋悠治(1938年、東京生まれ)が最初期のデジタル録音(PCM録音)で先駆的な録音を行っていました。2025年12月、タワーレコードの企画で世界初SACDハイブリッド化して発売いたしました。
(タワーレコード)

国内盤SACDハイブリッド
〔DENON原盤ORTマスタリングSACDシリーズ第17回〕
"プリペアド・ピアノ"の記念碑的楽曲の高橋悠治による演奏がここに初SACD化!今回<特別収録>としてケージ作品に触発された黛敏郎の「プリペアド・ピアノと弦楽のための小品」(1957年初演)をカップリング。ORTマスタリングを用いたハイレゾ化による初SACD化!ジョン・ケージ研究に関しての第一人者である白石美雪氏による新規解説を掲載
20世紀を代表する現代音楽家ジョン・ケージ。彼の《プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード》をデジタル録音初期の1975年に高橋悠治は録音していました。今回は、アナログ録音時代の1969年に録音された黛敏郎の《プリペアド・ピアノと弦楽のための小品》をカップリング。日本コロムビアが独自に開発したORTマスタリング技術によりハイレゾ化(2を除く)を行い、初SACD化。音場・音質が鮮やかに向上しています。CD層も今回のマスタリング音源を使用しています。
ジョン・ケージは20世紀を代表する現代作曲家としてとりわけ実験音楽の分野で世界的影響を与え、日本においても聴衆のみならず同じ作曲家に強烈なインパクトを与えました。音楽の新たな可能性を拡げ、ケージにより音楽自体の定義もより広範囲になったと言えます。今回高音質で復刻を行った"プリペアド・ピアノ"の分野においてもピアノの弦に異物を挟むという発想自体がユニークかつ当時唯一であり、打楽器的な使い方は傾倒していたガムランからの影響も伺えますが、その手法により、新たな領域が増えたことは確かでしょう。"プリペアド・ピアノ"の手法に関しては今回<特別収録>としてカップリングの黛敏郎がいち早く作品に取り入れるなど、その後も武満徹をはじめ採用する日本の作曲家が出ています。尚、60分近くに及ぶ《プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード》の演奏自体は非常に高度で技術的にも困難ですが、既に'60年代から当時の若手演奏家や作曲家を中心に最先端の音楽を演奏する土壌は日本にあり(小澤征爾や若杉弘他)、ピアニストとしての最先鋒のひとりに高橋悠治がいました。
この時の録音時を振り返っての後日談として、録音を行うための準備がかなり大変だったとのこと。弦へのセッティングにかなりの時間と労力がかかり、若かったとは言え、疲弊の度合いはすさまじかったようです。演奏自体できるピアニストはかなり限定されますので、ここに残った音源自体非常に貴重なものです。曲としては多くのケージ作品の中でも繊細さと躍動感のレンジが幅広く、スケール感豊かな作品として非常に魅力的なのですが、元々録音自体が少ないこともあってこのアルバムはCD時代でも人気があり、何度か再発されてきました(最近では北村朋幹による新録もあり)。一部のファンにとってはかけがえのないこの録音は元々当時最先端のコロムビアによるデジタルで明晰に録られており、ピアノの細部まで捉えた優秀録音盤としても良く知られています。今回、ORT技術を用いバランスにも留意しながらこの名演・名録音のSACD化を行いました。これにより更なる曲の再発見に繋がることを期待します。尚、今回の解説はケージ研究の第一人者である白石美雪氏による新規解説を掲載しました(「ジョン・ケージ 混沌ではなくアナーキー」(武蔵野美術大学出版局)が第20回吉田秀和賞受賞)。詳細な解説と、特に今回カップリングの黛作品の解説は資料が少ない作品でもありますので貴重です。尚、<特別収録>の「プリペアド・ピアノと弦楽のための小品」はデジタル化以前の1969年のアナログ録音で収録されておりましたので、ORTではなく従来のアナログ・テープからの最新復刻を行いました。
(タワーレコード)
【曲目】
1. ジョン・ケージ:プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード
2. 黛 敏郎:プリペアド・ピアノと弦楽のための小品 <特別収録>
【演奏】
高橋悠治 (ピアノ)
植木三郎 (ヴァイオリン) (2)、 板橋 健 (ヴァイオリン) (2)、
江戸純子 (ヴィオラ) (2)、 矢島三雄 (チェロ) (2)
【録音】
1975年12月 (1)、1969年10月 (2)、 日本コロムビア第1スタジオ
【Original Recordings】
制作担当:川口義晴 (1)
録音担当:林 正夫 (1)
【原盤】
日本コロムビア
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