注目アイテム詳細

フランスのチェンバロ奏者ヤン・ムーラン『ハインリヒ・シャイデマン&ザムエル・シャイト:チェンバロ作品集』


[Outhere Music 公式チャンネルより]

19世紀以降「ドイツ三大S」と呼ばれてきたのは、バッハ以前の3人の作曲家、シャイト、シャイン、そしてシュッツ。しかし同じくS(ch)で始まる綴りの名を持ちながら、シャイデマンという偉大なオルガン芸術家にいまひとつ光が当たらないのは、単なる歴史の偶然としか思えません。

16世紀の英国ヴァージナル作曲家たちに連なる、ルネサンス期の鍵盤音楽の伝統をふまえながら、17世紀のドイツ北方におけるオルガン芸術の基礎を築いたこの作曲家の技芸がいかに偉大だったか、本盤はそれを端的に示しています。

オルガン音楽こそがハンブルクの大家シャイデマンの真骨頂だったとすれば、17世紀当時のドイツ人作曲家たちにはオルガン曲とチェンバロ曲を厳密に区別して考える発想はあまりなく、私たちはシャイデマンの鍵盤音楽世界がどれほど精巧かつ雄弁だったかを、オルガンよりもむしろチェンバロの演奏で深く知ることになるでしょう。

比較例にもなるシャイトの鍵盤曲もやはりチェンバロ演奏で、欧州古楽界の新世代を担うヤン・ムーランの奏でる17世紀初頭モデルの銘器の響きが、Ricercarの自然派録音とあいまって作品の魅力を(そして、シャイトをはじめとする同時代のドイツ三大Sにも負けぬほどの書法の確かさを)しめやかな演奏で静かに伝えてくれる逸品です。
存在感が立っていながら、伝記的記述も少ない作曲家のひとりであるシャイデマンですので、解説も貴重(国内仕様盤では詳細訳付)。
(ナクソス・ジャパン)

『ハインリヒ・シャイデマン(1595~1663)/ザムエル・シャイト(1587~1654):「運命の天使の歌」~チェンバロ作品集』
【曲目】
1.シャイデマン:プレアンブルム ト短調
2.シャイト:アルマンド「健勝至極」
3.シャイデマン:涙のパヴァーナ
4.シャイデマン:ガリアルダ ニ長調
5.シャイデマン:プレアンブルム ニ短調
6.シャイト:あなたに望みをかけます
7.シャイト:クーラント
8.シャイト:運命の天使の歌
9.シャイデマン:フーガ ニ短調
10.シャイデマン:プレアンブルム ニ長調
11.シャイト:おお神よ、わたしたちはあなたの善に感謝します
12.シャイデマン:プレアンブルム ホ長調
13.シャイト:「わたしは傷ついた、ああ」によるファンタジア
【演奏】
ヤン・ムーラン(チェンバロ)
(アンドレアス・リュッケルス1615年製作モデルに基づくフィリップ・ユモー再現製作楽器)
【録音】
2018年4月、シラン(南仏エロー県)、サンテーユ聖母教会

輸入盤

 

国内仕様盤

日本語解説付き
解説日本語訳、補筆:白沢達生

 

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2018年10月22日 00:00