アメリカの一流オーケストラとテラークの超優秀録音で聴くマーラー交響曲全集(13枚組)
テラークは1977年 ジャック・レナーとロバート・ウッズにより、オハイオ州クリーブランドに創設された、優秀録音で知られるレコード・レーベルです。当初はダイレクト・カッティングのLPを発売していましたが、1978年4月4日アメリカのレコード会社としては初めてデジタル録音を行ない、それをソースとしたLPの発売を開始しました。当時の使用機器は米サウンドストリーム社製のデジタル録音機で、サンプリング周波数は50kHz、16ビットというCD規格よりも高品位なもので、4チャンネルのマルチ録音仕様となっていました。1982年にCDの発売がスタートすると、テラークは録音機材をソニー製に切り替えて、1980年代後半には20ビットのA/Dコンバーターを採用、1996年には24ビット録音、1998年にはDSD方式による録音を開始するなど、常に最新の録音技術に挑戦し、多くの名録音を生み出してきました。
テラークは、ベストセラーとなったチャイコフスキーの「1812年」など、管弦楽曲の録音が有名ですが、マーラーの交響曲にも早くから取り組み、1981年にスラトキン指揮セントルイス交響楽団と第1番を録音し、翌年には同コンビにより第2番も録音、それぞれLPレコードで発売しました。テラークのマーラーの交響曲録音を収録順に並べると、下記のようになります(収録年/曲名/指揮者/オーケストラ)。
1981 交響曲第1番 スラトキン セントルイス響
1982 交響曲第2番 スラトキン セントルイス響
◎1991 交響曲第8番 ショウ アトランタ響
◎1995 交響曲第5番 レヴィ アトランタ響
◎1996 交響曲第9番 ロペス=コボス シンシナティ響
1996 交響曲第9番 ザンダー フィルハーモニア管
◎1997 交響曲第6番 レヴィ アトランタ響
◎1998 交響曲第3番 ロペス=コボス シンシナティ響
◎1998 交響曲第4番 レヴィ アトランタ響
◎1998 交響曲第7番 レヴィ アトランタ響
◎1999 交響曲第1番 レヴィ アトランタ響
◎2000 交響曲第2番 レヴィ アトランタ響
2000 交響曲第4番 ザンダー フィルハーモニア管
2000 交響曲第5番 ザンダー フィルハーモニア管
2000 交響曲第10番 ロペス=コボス シンシナティ響 (マゼッティ版)
2001 交響曲第6番 ザンダー フィルハーモニア管
◎2002 交響曲第10番 レヴィ アトランタ響 (アダージョ)
2003 交響曲第3番 ザンダー フィルハーモニア管
2004 交響曲第1番 ザンダー フィルハーモニア管
今回の廉価BOXには上記録音の◎印を集めた全10曲としています。また、第4番のCDのカップリング曲、フレデリカ・フォン・シュターデが歌う「さすらう若者の歌」も収録されています。なお、意外なことに、2018年時点で、テラークはまだ交響曲「大地の歌」を録音したことがありません。
マーラーの膨大なオーケストレーションをCDで満喫するためには、オーケストラの技量と録音がともに優秀であることが必要不可欠ですが、その点、この全集はアメリカの一流オーケストラとテラークによる録音ということで、その条件を余裕でクリアしています。
いままでレギュラー価格で販売され、かつ一部入手困難になっていたCDが13枚まとまって、1枚あたり400円を切るリーズナブルな価格となっていることもポイントです。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
左からロバート・ショウ、ヘスス・ロペス=コボス、ヨエル・レヴィ
【曲目】
マーラー
交響曲第1番「巨人」
アトランタ交響楽団
ヨエル・レヴィ(指揮)
1999年9月25-26日録音
交響曲第2番ハ短調『復活』
バーバラ・ボニー(ソプラノ)
メアリー・フィリップス(メゾ・ソプラノ)
アトランタ交響楽団&合唱団
ヨエル・レヴィ(指揮)
2000年5月21-22日録音
交響曲第10番~第1楽章「アダージョ」
アトランタ交響楽団
ヨエル・レヴィ(指揮)
2002年1月15日録音
交響曲第3番
シンシナティ交響楽団
ヘスス・ロペス=コボス(指揮)
1998年1月18-19日録音
【参考画像】交響曲第1~3番の初出CDのジャケット写真
交響曲第4番
さすらう若者の歌
フレデリカ・フォン・シュターデ(ソプラノ)
アトランタ交響楽団
ヨエル・レヴィ(指揮)
1998年7月11-12日録音
交響曲第5番
アトランタ交響楽団
ヨエル・レヴィ(指揮)
1995年2月13-14日録音
交響曲第6番
アトランタ交響楽団
ヨエル・レヴィ(指揮)
1997年6月26-27日録音
【参考画像】交響曲第4~6番の初出CDのジャケット写真
交響曲第7番
アトランタ交響楽団
ヨエル・レヴィ(指揮)
1998年11月22-23日録音
交響曲第8番変ホ長調『千人の交響曲』
デボラ・ヴォイト(ソプラノ1:罪深き女)
マーガレット・ジェーン・レイ(ソプラノ2:贖罪の女)
ヘイディ・グラント(ソプラノ3:栄光の聖母)
デロレス・ジーグラー(アルト1:サマリアの女)
マリエッタ・シンプソン(アルト2:エジプトのマリア)
マイケル・シルヴェスター(テノール:マリア崇拝の博士)
ウィリアム・ストーン(バリトン:法悦の神父)
ケネス・コックス(バス:瞑想の神父)
アトランタ少年合唱団
オハイオ州立大学合唱団オハイオ州立大学シンフォニック・コーラス
タンパ・ベイ・マスター・コラール
サウス・フロリダ大学合唱団
アトランタ交響楽団&合唱団
ロバート・ショウ(指揮)
1991年4月27-29日録音
交響曲第9番
シンシナティ交響楽団
ヘスス・ロペス=コボス(指揮)
1996年5月5-6日録音
【参考画像】交響曲第7~9番の初出CDのジャケット写真
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック) GUSTAV MAHLER
掲載: 2019年02月06日 00:00