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未発表音源を含む!フランチェスカッティ&カサドシュ~ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全録音(7枚組)

フランチェスカッティ&カサドシュ

ベートーヴェン生誕250年記念リリース。「世紀のデュオ」と絶賛されたフランチェスカッティとカサドシュによる全ベートーヴェン録音を集大成。1957年ニューヨーク録音未発表音源2曲収録!

ジノ・フランチェスカッティとロベール・カサドシュ——この2人のフランスの名奏者は、それぞれが1940年代から1960年代に至るまで、米コロンビア・レコードの中でも最も人気を誇るクラシック・アーティストであり、この2人によるデュオも20世紀の演奏史に残る組み合わせとして高く評価されていました。
 2人とも演奏家としての活動の初期にラヴェルを通じて知り合ってはいましたが、デュオとしての演奏活動を開始したのはずっと後の第2次世界大戦中のこと。両人がともにアメリカ在住だったこともあって、戦後まもなく、1946年にドビュッシーのソナタとラヴェルの「フォーレの名前による子守唄」で米コロンビアに録音を開始し、その後1961年までいくつもの名演を残しています。フランスの楽人であるがゆえに彼らのフランクやドビュッシー、ショーソンなどの録音が歴史的な価値を今でも持ち続けているのはある意味当然のことですが、しかし録音の上で最もこの2人が力を注いだのはベートーヴェンの10曲のソナタでした。
 フランチェスカッティとカザドシュが最初に録音したベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタは1949年の第9番「クロイツェル」で、その後1950年に第3・4番、1953年に第7・8番、1957年に第5・6番と、ニューヨークでモノラル録音されました。その後、1958年5月と1961年10月に、今度はパリに場所を変えて、それぞれ第1・9・10番、第2~8番と、ソナタ10曲のステレオによる再録音が行われました。このステレオ全集は、「フランチェスカッティのクールでリラックスした甘い音色、驚異的なカザドシュのピアノ。真の意味での室内楽的な、肩の力抜けた演奏といえるだろう。あらゆるディテールがあるべき姿で提示された、清澄で詩的かつ古典的な解釈。これは、2人の背後にある人生体験から生まれたものだ。完璧に計算され尽くした構成感も申し分ない」(英「グラモフォン」誌)、「演奏者が志向するのは、客観的な明瞭さ、生き生きとしたリズム、器楽的な洗練度の圧倒的、一部の隙も無い完璧なアーティキュレーションだ」(米「ハイ・フィデリティ」誌)などと絶賛され、オイストラフ+オボーリン盤と並びステレオ初期のベートーヴェンのソナタ全集としての決定的な解釈を刻み込んだ名盤として、今に至るまでカタログから消えたことがありません。
 今回のボックスは、これらの録音をオリジナル・アナログ・マスターからのリミックス&リマスター、初出LPのカップリングとジャケット&レーベル・デザインで完全復刻するもの。CD1~6のリマスターは2018年の85枚組「ロベール・カザドシュ・コンプリート・アルバム・コレクション」のものを使用しています。
 また当ボックスの大きなセールスポイントは未発表音源である1957年録音の第5・6番(CD7)といえましょう。この2曲はニューヨークでの収録直後にステレオでの再録音プロジェクトが決まってしまったため当時は未発売のままお蔵入りになっていた貴重な音源で、2018年のカザドシュ85枚組ボックスにも含まれず、今回初めて日の目を見るものです。
 各ディスクには発売当時のレーベル・デザインが使用され、(SP盤を除き)初出時のLPのジャケット・デザインによる紙ジャケットに封入された上で、クラムシェル・ボックスに収容されます。ブックレットには、英国の音楽評論家、弦楽器奏者研究家でもあるタリー・ポッター氏による新しいエッセイと、詳細な録音データを網羅したトラックリスト、未発表写真を掲載予定(欧文のみ)。

プロフィール
 ジノ・フランチェスカッティ(1902-1991)は、フランスのマルセイユに生まれ、3歳から両親にヴァイオリンの手ほどきを受け、10歳でオーケストラと協演。1924年パリでティボーに師事。1928年にはモーリス・ラヴェルのイギリス演奏旅行に同行し、その後もヨーロッパ各地で独奏者として成功を収めました。1939年、ニューヨーク・フィルの演奏会でアメリカにデピューし、センセーションを巻き起こしました。これ以後、第二次大戦のヨーロッパを逃れてニューヨークを中心に世界的な活躍しまし、彼の演奏は、非常に甘い音色、雄弁な叙情性、ロマンチックな暖かさで特に知られていました。
 ロベール・カザドシュ(1899-1972)は、10歳でパリ音楽院に入学。ピアノをルイ・ディエメに、作曲をモーリス・ルルーに師事。パリでのデビュー後、ヨーロッパ各地へ演奏旅行をし、一躍名声を獲得。特に1935年のアメリカ・デビュー後は、ソロに室内楽に精力的な活動を展開しました。初録音はSP時代の1928年に遡り、亡くなる3年前の1969年6月まで、約40年以上にわたります。そのうち米コロンビアへの録音は、1940年2月、ニューヨークでのラヴェルとモーツァルトのソロ曲に始まり、多様な作曲家の協奏曲、室内楽曲、ソロ作品を網羅しています。モーツァルトやフランスの作曲家に定評がありますが、バロック音楽やドイツの作曲家の作品も取り上げており、繊細なタッチと明晰なアプローチで20世紀を代表するピアニストとして高く評価されています。
(ソニーミュージック)

収録内容
ベートーヴェン:
<CD1>
1. ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調Op.47「クロイツェル」 [録音]1958年5月12-14日、パリ、
2. ヴァイオリン・ソナタ第1番ニ長調Op.12-1 [録音]1958年5月12-14日、パリ、
<CD2>
1. ヴァイオリン・ソナタ第3番変ホ長調Op.12-3 [録音]1961年10月2-7日、パリ、
2. ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調Op.23 [録音]1961年10月2-7日、パリ、
3. ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調Op.24「春」 [録音]1961年10月2-7日、パリ、
<CD3>
1. ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調Op.12-2 [録音]1961年10月2-7日、パリ、
2. ヴァイオリン・ソナタ第6番イ長調Op.30-1 [録音]1961年10月2-7日、パリ、
3. ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調Op.30-3 [録音]1961年10月2-7日、パリ、
<CD4>
1. ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調Op.30-2 [録音]1961年10月2-7日、パリ、
2. ヴァイオリン・ソナタ第10番ト長調Op.96 [録音]1958年5月12-14日、パリ、、
<CD5>
1. ヴァイオリン・ソナタ第3番変ホ長調Op.12-3 [録音]1950年12月26日、ニューヨーク
2. ヴァイオリン・ソナタ第4番イ短調Op.23 [録音]1950年12月26日、ニューヨーク
3. ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調Op.47「クロイツェル」 [録音]1949年12月28日、ニューヨーク
<CD6>
1. ヴァイオリン・ソナタ第7番ハ短調Op.30-2 [録音]1953年9月24日、ニューヨーク
2. ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調Op.30-3 [録音]1953年9月24日、ニューヨーク
<CD7:初出音源>
1. ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調Op.24「春」 [録音]1957年10月21-22日、ニューヨーク
2. ヴァイオリン・ソナタ第6番イ長調Op.30-1 [録音]1957年10月22日、ニューヨーク

【演奏】
ジノ・フランチェスカッティ(ヴァイオリン)
ロベール・カザドシュ(ピアノ)

カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック) BEETHOVEN 2020

掲載: 2020年03月27日 13:00