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Nana Vasconcelos & Agustin Pereyra Lucena(ナナ・ヴァスコンセロス & アグスティン・ペレイラ・ルセナ)|キャリアの最初期にレコーディングした幻のアルバムが世界初復刻

Nana Vasconcelos & Agustin Pereyra Lucena(ナナ・ヴァスコンセロス & アグスティン・ペレイラ・ルセナ)

ブラジルの素朴な弦楽器ビリンバウや数々のパーカッション、声を駆使した独創的な世界観で多くの人を魅了しワールドワイドに活躍。ドイツ ECM レーベルでのソロ作、エグベルト・ジスモンチやパット・メセニーらとの共演盤や、フランス SARAVAH レーベルからリリースした名作でも知られる世界的パーカッショニスト、ナナ・ヴァスコンセロス。アルゼンチン生まれながらバーデン・パウエルに魅せられ、アルゼンチン・ジャズの世界で数多くのボサノヴァ、ジャズボサ作品を残し、世界中にファンを持つアグスティン・ペレイラ・ルセナ。そんな二人がキャリアの最初期に共演盤を残していることを知る人は意外にも少ない。

アルゼンチンを代表するジャズ・サキソフォニストであるガトー・バルビエリのライブツアーに出演するため、ブエノス・アイレスを訪れていたナナが、ある日、ツアーのマネージャーでありラジオのブロ―ドキャスター、音楽評論家でありレーベルオーナーという多彩な顔を持つアルトゥーロ・カバーロに紹介され、アグスティンと出会ったのが事の始まり。お互いピンとくるものがあったのだろうか、二人はすぐに翌日のレコーディングを手配。事前のアレンジもなしでほぼ即興、しかもナナのリクエストでスタジオを真っ暗にして録音されたのが本作『The incredible NANA with AGUSTÍN PEREYRA LUCENA(1971)』である。収められたのはナナが演奏するビリンバウと声によるメディテイティブな即興演奏を収めた "Concerto Pra Mãe Bio"、二人の即興演奏 "Improvisacao"、そしてアグスティンの流麗なギターが堪能できる "Tiempo Feliz", "Conversa do Poeta" という全4曲。このレコードを通じて二人を紹介する目的があったのか、意外にも共演部は少ないが、それぞれに自身の持つ全てを収めようという意気込みがあったのだろう。ひりひりとした緊張感と物静かながらにもエネルギーに満ちた演奏の躍動感はいやというほどに伝わってくる。

リリース元はアルトゥーロのレーベル TONODISC で、当時アルゼンチンと隣国ウルグアイでひっそりリリースされたものの、おそらく商業的には成功しなかったのか、今もオリジナルは稀少盤として取引されている逸品だ。残念なことに二人とも鬼籍に入ってしまったが、今回の世界初リイシューにより、あらためて南米を代表する巨匠二人にスポットが当たることだろう。


【収録曲】
1.Nana Vasconcelos - Concerto Pra Mae Bio
2.Nana Vasconcelos with Agustin Pereyra Lucena - Improvisacao
3.Agustin Pereyra Lucena - Tempo Feliz
4.Agustin Pereyra Lucena - Conversa do Poeta

タグ : 【World】復刻&発掘 リイシュー

掲載: 2020年03月31日 19:26