Vader(ヴェイダー)|12枚目のアルバム『Solitude In Madness』
ヴェイダーの歴史は長い。結成は何と1983年。メタリカやスレイヤーがデビューしたその年、ヴェイダーはポーランドという共産主義国で産声をあげていたのだ。その名を一気に世界レベルにしたのが、90年リリースの『Morbid Reich』というデモ。当時、新たなエクストリーム・メタルの潮流となっていたデス・メタルの要素をうまく取り入れたこのデモで、ヴェイダーの存在は世界中のマニアに知れ渡ることとなった。結果、当時エクストリーム・メタル界最高峰のレーベル、イギリスのイヤーエイク・レコーズと契約した彼らは、92年にファースト・アルバム『The Ultimate Incantation』をリリース。今でこそ「ポーランド=メタル大国」というイメージがあるが、それもこれもヴェイダーのおかげと言っても過言ではないのだ。既に40年以上近いキャリアを誇るそんな彼らは、途中、サウンドの要とも言えるドラマーの逝去という悲劇に直面することもあった。だが、彼らはそんな苦境にも負けず、精力的にツアーを続け、これまでに11枚のスタジオ・オリジナル・アルバムをリリース。現在もなお、世界トップ・レベルのエクストリーム・メタルとして高い人気を誇り続けている。
そんなヴェイダーによる12枚目のアルバムが、この度リリースとなる。タイトルは『ソリチュード・イン・マッドネス』、すなわち「狂気の中の孤独」。「人間は何も学ばない。若い世代は古い世代どころか、自分たちのことすらリスペクトしない。何もかもが空っぽ。テクノロジーのせいで人間性はますます失われていく。インターネットのおかげで人々つながっているように見えるが、逆に孤独な人間は増えている。これが狂気でなくて何であろう!」リーダーのピーターは、こう語る。長年のパートナーWieslawski兄弟のもとを離れ、クレイドル・オブ・フィルスやアモン・アマースとの仕事で知られるスコット・アトキンスをプロデューサー、エンジニアに迎えた本作であるが、音楽的には実にヴェイダーらしいもの。スラッシュ色と彼ら特有の暴虐性を見事に融合した作りになっている。「速い曲は2-3分の長さがベスト。5分以上もあるのは退屈」だというピーターのポリシー通り、アルバム・トータルでわずか29分という、『Reign in Blood』を思わせる作りもインパクト十分。2~3分の激速な11曲があっという間に駆け抜けるアルバムに興奮しないエクストリーム・メタル・ファンなどいないだろう。
日本盤限定スペシャル・エディションには19年のEP『ザイ・メッセンジャー』も収録。
日本語解説書封入/歌詞対訳付き
【収録曲】
『ソリチュード・イン・マッドネス』
01. ショック・アンド・オウ
02. イントゥ・オブリヴィオン
03. デスペアー
04. インシネレイション・オブ・ザ・ゴッズ
05. サンクティフィケイション・ディナイド
06. アンド・サタン・ウェプト
07. エンプティネス
08. ファイナル・デクラレイション
09. ダンシング・イン・ザ・スローターハウス
10. スティグマ・オブ・ディヴィニティ
11. ボーンズ
日本盤限定スペシャル・エディション
『ザイ・メッセンジャー』EP
01. グランド・ディシーヴァー
02. リタニー
03. エンプティネス
04. デスペアー
05. スティーラー (ジューダス・プリースト カヴァー)
【メンバー】
ピーター(ヴォーカル/ギター)
スパイダー(ギター)
ハル(ベース)
ジェイムズ(ドラムス)
掲載: 2020年04月10日 13:18