Naxos~2021年6月第1回発売新譜情報(7タイトル)
[参考映像:サン=サーンス:交響曲全集/
Naxos Music 公式チャンネルより]
今回は、マルク・スーストロとマルメ交響楽団によるサン=サーンス:交響曲全集がBOX化!“オリンピック賛歌”の作曲家サマラスによるデュマの戯曲に基づく歌劇《ベル=イル嬢》が世界初録音。ペンデレツキの弦楽四重奏曲第1番-第4番、現代中国の作曲家イェ・シャオガンの作品集など、世界初録音を含むCD7タイトルがリリースされます。
カミユ・サン=サーンス(1835-1921):交響曲全集(3枚組)
マルク・スーストロ(指揮)マルメ交響楽団
サン=サーンスの交響曲と言えば、壮麗なオルガンの響きが印象的な第3番が有名ですが、他の作品はほとんど耳にすることがありません。実は番号のついた作品は3曲しかなく、他は番号なしの曲が1曲と、コンクールのための作品「首都ローマ」、他、未完の2作品があるのみです。交響曲第1番は18歳の時の実験的な作品ですが、早熟な才能を開花させていた彼だけに、完成度の高さは群を抜いています。作曲技法が格段にあがった24歳の時の第2番も聴きどころの多い作品。演奏される機会も少ないのは残念です。「首都ローマ」は21歳の作品。最終楽章はまるでブラームスの交響曲第4番を先取りするかのようなパッサカリア風の変奏曲となっていたりと堅固な様式の中に伸びやかな旋律が息づいています。また15歳の時に書いた「交響曲イ長調」はモーツァルトやシューベルトの雰囲気を持つ若々しい作品です。
幅広い作品を網羅するNAXOSのカタログですが、実はサン=サーンスの交響曲全集が加えられたのは2013年になってから。1987年のレーベル創設以来、実に25年以上を経てからのことになります。指揮者として白羽の矢が立てられたのはフランス作品のスペシャリスト、マルク・スーストロ。このシリーズでは未完の2曲の作品を省き3曲の交響詩と、よく知られる「死の舞踏」を併せて収録。サン=サーンスの管弦楽曲をじっくり味わうことができる好企画となっています。
マルク・スーストロ(1949-)リヨン生まれ。トロンボーンとピアノを学んだ後、マヌエル・ロザンタールに指揮を師事。1975年、ブザンソン指揮者コンクールで優勝し国際的な注目を集めました。2011年から2019年までマルメ交響楽団の首席指揮者を務め、サン=サーンスのピアノ協奏曲やチェロ協奏曲もNAXOSに録音しています。特にフランス音楽と近現代音楽に定評あり。
(ナクソス・ジャパン)
ペンデレツキ(1933-2020):弦楽四重奏曲第1番-第4番 他
ティペット四重奏団
20世紀を代表する作曲家ペンデレツキ。1960年代には「広島の犠牲者に捧げる哀歌」などトーンクラスターや微分音を用いた前衛的な作品を書いていましたが、次第に後期ロマン派の様式に傾倒し、21世紀の作品のほとんどは調性感のあるロマンティックな雰囲気を湛えています。
作曲時期に50年以上の隔たりがある4曲の弦楽四重奏曲には、その作風の変遷がはっきりと表れており、前衛的な手法で書かれた第1番と、特殊奏法などは用いることなく、悲痛な弦の叫びで始まる第4番を聞き比べるだけでも、ペンデレツキの方向性の変化が感じられることでしょう。リゲティの影響が感じられる第2番、個人的な自伝ともいえる第3番も聴きごたえのある作品です。他には「壊れた思考」と名付けられた小品と、弦楽三重奏曲を収録。現代作品を得意とするティペット四重奏団による演奏です。
(ナクソス・ジャパン)
世界初録音
スピリドン・サマラス(1861-1917):歌劇《ベル=イル嬢》(2枚組)
バイロン・フィデツィス(指揮)パザルジシュコ交響楽団
19世紀後半から20世紀初めにギリシャで活躍した作曲家スピリドン(スピロ)・サマラス。彼の名前が歴史に刻まれたのは、1896年、アテネで開催された第1回近代オリンピックにおける『オリンピック賛歌』の作曲家としてのことでした。一度演奏されただけで以降は忘れられてしまったものの、1958年に国際オリンピック委員会総会(IOC総会)の第54次総会が東京で開催された際、ギリシャで見つかったサマラスの手によるピアノ譜が届けられ、古関裕而がオーケストラ版に編曲したものをNHK交響楽団が演奏(指揮は山田一雄)、それからはこの古関編曲版が正式な『オリンピック賛歌』として認定され、式典などで演奏されています。
そんなサマラス自身は、アテネで学んだ後、パリ音楽院でマスネの弟子として研鑽を積みました。その後イタリアへ行き歌劇作曲家として人気を博し、アテネに戻ってからも歌劇やオペレッタの作曲を続け高く評価されました。この歌劇《ベル=イル嬢》はアレクサンドル・デュマの戯曲を原作とした、ロマンティックで洗練された旋律が印象的な作品。全曲の総譜は残されていないため、指揮者フィデツィスが残された部分と、ピアノ・スコアから丹念に全曲を復元し、今回の演奏を行いました。ギリシャを代表する歌手たちが参加し、この世界初録音を盛り立てています。
(ナクソス・ジャパン)
イェ・シャオガン(1955):峨眉山 他
ギルバード・ヴァルガ(指揮)ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団、他
現代中国の作曲家イェ・シャオガン。演奏会用の音楽だけではなく、数多くの映画音楽で権威ある賞を受賞するなど、その作品が高く評価されています。
このアルバムに収録されている4曲は、どれも中国の自然と美しい風景を描いたもの。映画音楽が得意な作曲家らしく、高い描写力によるわかりやすい作風でそれぞれの曲を描いています。中国三大霊山の一つとして知られる聖地を描いた「峨眉山」はヴァイオリンと中国の伝統的な楽器の響きが融合した神秘的な作品。他には美しい旋律を奏でるヴァイオリンと弦楽合奏のための「ラムラ・クオ(チベットの聖なる湖)」、弦楽合奏のための穏やかな旋律による「岷山山脈の静寂」、超絶技巧から生まれるピアノの響きが印象的な「グリーンマンゴーの香り」の3曲を収録。イギリスとドイツのオーケストラが中国の優れた奏者たちを伴奏し、見事な音楽を奏でています。
(ナクソス・ジャパン)
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カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2021年05月10日 00:00