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シグヴァルズ・クラーヴァ&ラトヴィア放送合唱団によるジョン・ケージ:合唱作品集


[Ondine Records 公式チャンネルより]

演奏者が一切音を出さない作品「4分33秒」で音楽や演奏の意味を根底から揺さぶったアメリカの作曲家ジョン・ケージ。その実験的な音楽や思想は音楽というジャンルを越えて多くのアーティストに影響を与えました。

ハーモニーを嫌悪していたというケージと「合唱」との組み合わせには意外な印象を受ける人も多いでしょう。彼が合唱曲を初めて手掛けたのは67歳の時で、既存の楽曲(ウィリアム・ビリングスの讃美歌)を彼の流儀で変形して「変奏」したものでした。初期のアメリカ音楽の風合いを保ちつつ、ケージが忌避した和声感を抜き去ること…様々な試行錯誤の末に生まれたのが、12声のための「讃美歌と変奏」です。

ケージが合唱曲として書いたのは、この作品の他には1990年に高校の合唱団のために書いた「Four²」のみ。各パートの独立した音の重なりから生まれる偶然性の響きを、理論やルールにとらわれない自然なハーモニーとして、ケージは「Anarchic Harmony(無政府状態のハーモニー)」と呼びました。

他の2曲「Five」と「Four⁶」は合唱用に書かれたものではありませんが、演奏に用いる楽器の指定はなく、「Five」の5つのパートには特定の音域(主に高音域)のみが指定されており、その音域を演奏できる声や楽器であれば何でも演奏することができます。
「Four⁶」は更に演奏の自由度が高く、4パートの演奏手段の指定が無い上に、演奏者は少ない音符と時間及び番号が記された楽譜から任意に音を選んで演奏することになります。このため、演奏次第で響きも演奏時間も全く異なるものとなります。

全ての曲には指定された歌詞は存在せず、ケージが声を「楽器」の一つと見なしていたことがうかがわれます。
来日公演でも高い評価を得たシグヴァルズ・クラーヴァが指揮するラトヴィア放送合唱団が見事な演奏を披露しています。
※国内仕様盤には現代声楽曲のスペシャリストとして活躍する松平敬氏の解説が付属します。
(ナクソス・ジャパン)

輸入盤

 

国内仕様盤

[日本語解説付き]
※国内仕様盤には現代声楽曲のスペシャリストとして活躍する松平敬氏の解説が付属します

 

『ジョン・ケージ:合唱作品集』
【収録内容】
ジョン・ケージ(1912-1992):
1. Five (1988)

Hymns and Variations 讃美歌と変奏(1979)
2. Hymn A (Subtraction from Old North by William Billings)
3. Hymn B (Subtraction from Heath by William Billings)
4. Var. I
5. Var. II
6. Var. III
7. Var. IV
8. Var. V
9. Var. VI
10. Var. VII
11. Var. VIII
12. Var. IX
13. Var. X

14. Four² (1990)
15. Four⁶ (1992)

【演奏】
ラトヴィア放送合唱団
シグヴァルズ・クラーヴァ(指揮)

【録音】
St. John’s Church、2020年5月…1、 2007年、2020年3月…14
Sig.Ma Studio、2020年7月…2-13/2020年6月…15
Riga(ラトヴィア)

数少ないケージの合唱作品を集めたアルバム。どんな奇抜なアイデアが凝らされた珍曲なのか期待すると、肩透かしを食うかもしれない。既存の讃美歌を歯抜け状態に作り替えた『讃美歌と変奏曲』など、そのハーモニーはケージならぬ美しさに満ち溢れているからだ。しかし、その響きを時間の中に宙吊りにしてしまうセンスには、ケージらしさが感じられる。ラトヴィア放送合唱団の精妙なハーモニーによってケージの知られざる側面を味わうことができる一枚。(松平敬)

カテゴリ : ニューリリース

掲載: 2022年04月27日 00:00