坂本龍一、福岡伸一 『音楽と生命』|「教授」と「ハカセ」――長年親交のある二人による初の人生論
「教授」と「ハカセ」――長年親交のある二人による初の人生論
80年代、テクノミュージックで一世を風靡した「教授」こと坂本龍一。以来、常に第一線で活躍し続けてきたが、近年は電子音楽とは対照的な自然の「ノイズ」を取り入れたサウンドを次々と発表。
一方、「ハカセ」こと福岡伸一も、分子生物学者としてDNA解析に象徴される要素還元主義的な科学を追求してきたが、その方法論に疑問を抱き、生命現象を一つの「流れ」として捉える独自の生命哲学、動的平衡論を確立。
20年来の付き合いという両者が、さまざまな挫折を経験しながら現在に至るまでの道のりを語り合う。コロナ・パンデミック以降、死生観が劇的に変わる今だからこそ、私たちの生を輝かせることに目を向けたい。
音楽、アート、哲学、科学など、多方面に造詣の深い二人が、対話を重ねた末にたどり着いたものとは――。
【本文より】
一歩踏み出さないと、どこがゴールかわからない。それがある日、「あっ、これがゴールだ」と実感した瞬間があって、今まで見えていなかった次の山が見えた。「ここで終わりじゃないんだ、次はあそこに行かなければいけないんだ」と思いました ──坂本龍一
個体の生命が有限であることが、すべての文化的、芸術的、あるいは学術的な活動のモチベーションになっています。有限であるからこそいのちは輝く。このようにして生命系全体は連綿と続いてきたし、これからも続きうるのだと思います ──福岡伸一
【目次】
世界をどのように記述するか――刊行に寄せて
PART1 壊すことから生まれる―音楽と科学の共通点
PART2 円環する音楽、循環する生命
Extra Edition パンデミックが私たちに問いかけるもの
PART1とPART2は、NHK Eテレ『SWITCHインタビュー達人達』(2017年6月3日)で放送された対談を未放送分も含めて収録し、大幅に加筆修正したものです。
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