『ロリン・マゼール・コンダクツ・クリーヴランド管弦楽団<完全生産限定盤>』15枚組 2025年3月21日発売
名匠ジョージ・セルの精神を継承し、クリーヴランド管弦楽団を世界的な存在へと押し上げたロリン・マゼールのCBS録音の名演を集成。
輸入盤CD 15枚組
名匠ジョージ・セルの精神を継承し、クリーヴランド管弦楽団を世界的な存在へと押し上げたロリン・マゼールのCBS録音を集成。世界初CD化・初発売音源収録。クリーヴランド管弦楽団全面協力。
1972年、ジョージ・セルの逝去以来2年間空席となっていたクリーヴランド管弦楽団の音楽監督に就任したロリン・マゼール。当時42歳のマゼールにとってアメリカのオーケストラの常任ポジションに就くのはこれが初めてのことでした。彼は1982年の退任まで10年間にわたって、セルによって確立され、アメリカの「ビッグ・ファイブ」の中でも卓越した地位を築いていたクリーヴランド管弦楽団のイメージを磨き、そのクオリティを維持・発展させました。
マゼールは、クリーヴランド着任後、それまでウィーン・フィルと多数の録音を行っていたデッカに録音を開始し、プロコフィエフ「ロメオとジュリエット」やガーシュウィン「ポーギーとベス」の史上初の全曲盤を始めとする話題盤を続々リリースし始めました。マゼールがCBSマスターワークスとの録音契約を結ぶのは1976年のニュー・フィルハーモニア管とのブラームス「ドイツ・レクイエム」と「アルト・ラプソディ」からで、クリーヴランド管弦楽団とは、1977年の「英雄の生涯」(Disc 2)でCBSに録音を開始しています。日本では辰巳四郎による重厚な騎士のイラストがジャケットに使われ、岡本太郎がオビの題字を書いたことで大きな話題となったアルバムで、マゼールによるCBSでの存在感を大きくクローズアップしました。
このボックスの中心的な位置を占めるのが、マゼールにとって唯一のセッション録音となったベートーヴェンの交響曲全集でしょう(Disc 3~9/1977~78年録音)。オーケストラの機能美を十全に生かしつつ、オーケストレーションの改訂も含め、マゼールらしい濃厚な表情が一貫する刺激的なベートーヴェンで、アメリカでは1979年に全集としてリリースされたこのセットは批評家から絶賛されました。「音楽作りは、豊かで、激しく、心から熱烈なものだ」とニューヨーク・タイムズ誌は書いています。「第1番、第2番、第4番、第8番の交響曲は息を呑むほど美しく、第5番と第7番は本当にスリリングだ」。『ハイ・フィデリティ』誌の評論家は、「田園」を「音色が澄み渡り、美しくグラデーションがかけられており、気品があり、リズムが心地よく弾んでいる」と絶賛しています。『グラモフォン』誌は、第1番、第2番、第4番、第8番の交響曲を「クリーヴランドから期待されるような鼓舞的な直接性で演奏されており、第6番と第7番の優れた読み解きと、3つの序曲の際立った読み解きに導かれて、美学的に知的にも爽快な体験である」と評しています。第9番では、ポップ、オブラスツォワ、ヴィッカーズ、タルヴェラと当時最も脂の乗り切った名歌手を起用しています。
1979年5月のR.シュトラウス『ドン・ファン』、『ティル・オイレンシュピーゲル』、『死と変容』(Disc 10)はCBSマスターワークスにとって初のデジタル録音となったアルバム。この録音のために、日本のソニーからクリーヴランドにデジタル機材が運び込まれ、そのセッションの模様は作曲家の諸井誠氏によってレポートされました。マゼールにとってはいずれも再録音で、『ドン・ファン』は「録音史上最もスリリングな演奏の一つ」とペンギン・ガイドは評しています。
1977年1月に録音されたベルリオーズの『幻想交響曲』(Disc 11)は、マゼールの愛奏曲として知られ、この後2種類の録音が発売されています。第2楽章ではコルネット入りの版を使用し、2台のハープを左右に分けて配置して華やかなステレオ効果を狙い、さらには後半の2楽章を間髪入れず続けたり、コテューブラー・ベルを際立たせるなど、鬼才マゼールがその手腕を余すところなく発揮した感がありま。す「『処刑台への行進』と『魔女の夜会』は、これほどまでに激しい咬み合いと衝撃を生み出し、これほどまでに恐ろしい悪魔的な響きを奏でたことはめったにない」(ハイ・フィデリティ誌)と高く評価されています。
チャイコフスキーの後期交響曲3曲(Disc 13~15)は1980年~81年の録音で、マゼールにとっては、ウィーン・フィルとデッカに録音した全集以来の再録音となりました(第4番については、1979年に同じクリーヴランド管とテラーク・レーベルに録音していたため3度目の録音)。クリーヴランドとの再録音をレビューしたグラモフォン誌の評論家は、「フレーズがより柔軟になり、呼吸の空間が追加され、アンサンブルがより鮮明になった」点を評価しています。
1980年にはフランスのポップスター、セルジュ・ラマが作曲したシャンソンをマゼール自らがオーケストレーションを施したアルバム(Disc 12)が発売されています。マゼールは、パリでラマのコンサートを聴いて「一目ぼれ」し、その後フランスのテレビ番組でラマとヴァイオリンで共演、「ラマの歌と詩をオーケストラという、無限の色彩的パレットを持つ大きな器で表現したい」考え、実現したアルバムです。当時フランスを中心にヨーロッパでのみ発売されたアルバムで、ワールドワイドでリリースされるのは今回が初めてとなります。
今回のセットで最も貴重かつ注目されるのは、マゼールがCBSとの録音契約を結ぶ前に制作されたライヴ盤(Disc 1)でしょう。1971~72年にクリーヴランド管の夏の本拠地ブロッサム音楽祭でラジオ放送用にライヴ収録されたベルリオーズ、ブラームス、バーバー、そして1973年10月にシドニーのオペラハウスのこけら落とし公演でラジオ放送用にオーストリア放送によってライヴ収録されたブラームスの交響曲第1番で、これらは1973年と1974年にオーケストラの自主制作盤としてリリースされた音源で、その制作を担ったのがCBSでした。長らくコレクターズ・アイテムとして知られ、CD化が嘱望されていた音源で、ライヴで燃えるマゼールならではの白熱的な演奏が展開されています。
■仕様詳細
・各ディスクはアメリカ初出LPのアルバム(もしくはボックス)・デザインによる紙ジャケットに封入され、厚紙製クラムシェル・ボックス(蓋と実が合体したボックス)に収容
・ボックス寸法:L12.8cmxW12.7cmxH4.0cm 重量0.46kg
・ディスクのレーベルは発売当時のLPレーベルのデザインを踏襲、時代の変遷に伴うデザインの変化も辿っている
・オールカラー別冊解説書付き(CDサイズ、32ページ)
・別冊解説書掲載内容
(1)リチャード・エヴィドン「謎めいた天才~マゼールとクリーヴランド管弦楽団のCBS録音」(英語)
(2)全ディスクのトラックリスト(録音年月日・場所・プロデューサー名[録音台帳などに記載がある場合]/各曲もしくは各アルバムの初出データ/マトリックス番号を網羅した詳細なデータをジャケットとともに掲載。いつものことですが、ここまで詳細に調査された発売関連のデータが記載されているのはメジャー・レーベルのリイッシュー商品の中でもソニークラシカルの商品のみ!)
(3)アーティスト写真9点・ジャケット裏写真2点掲載
(ソニーミュージック・ジャパン)
輸入盤CD 15枚組
【曲目】
■初発売音源
★初CD化(24bit/192kHzリマスター)
◆ソニークラシカルからの初発売音源
<CD1>★◆
1. ベルリオーズ:序曲『ローマの謝肉祭』H.95
2. ブラームス:大学祝典序曲 Op.80
3. バーバー:序曲『悪口学校』Op.5
[録音]1972年7月9日(1)、14日(2)、15日(3)、カヤホガフォールズ、ブロッサム・ミュージック・センターでのクリーヴランド管弦楽団放送サービスによるライヴ・レコーディング
4-7. ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68
[録音]1973年10月4日、シドニー、オペラハウスでのクリーヴランド管弦楽団放送サービスによるとオーストリア放送によるライヴ・レコーディング
<CD2>
1-6. R.シュトラウス:交響詩『英雄の生涯』Op.40
[録音]1977年1月10日、クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム
<CD3>
ベートーヴェン:
1-4. 交響曲第1番 ハ長調 Op.21
5-8. 交響曲第2番 ニ長調 Op.36
[録音]1978年4月28日、クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム
<CD4>
ベートーヴェン:
1-4. 交響曲第3番 変ホ長調 Op.55『英雄』
[録音]1977年10月24日、クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム
<CD5>
ベートーヴェン:
1-4. 交響曲第4番 変ロ長調 Op.60
5-8. 交響曲第8番 ヘ長調 Op.93
[録音]1978年4月28日、クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム
<CD6>
ベートーヴェン:
1-4. 交響曲第5番 ハ短調 Op.67
5. エグモント序曲 Op.84
6. レオノーレ序曲第3番 Op.72
[録音]1977年10月24日、クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム
<CD7>
ベートーヴェン:
1-5. 交響曲第6番 ヘ長調 Op.68『田園』
[録音]1978年2月24日、クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム
<CD8>
ベートーヴェン:
1-4. 交響曲第7番 イ長調 Op.92
5. フィデリオ序曲 Op.72
[録音]1978年2月23日、1977年10月25日、クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム
<CD9>
ベートーヴェン:
1-4. 交響曲第9番 ニ短調 Op.125『合唱』
[共演]ルチア・ポップ(ソプラノ)、エレーナ・オブラスツォワ(メゾ・ソプラノ)
ジョン・ヴィッカース(テノール)、マルッティ・タルヴェラ(バス)
クリーヴランド管弦楽団合唱団
[録音]1978年10月13日、クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム
<CD10>
R.シュトラウス:
1. 交響詩『ドン・ファン』Op.20
2. 交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』Op.28
3. 交響詩『死と変容』Op.24
[録音]1979年5月9日、クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム(デジタル録音)
<CD11>
1-5. ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14
[録音]1977年1月10日、クリーヴランド
<CD12>★
セルジュ・ラマ[オーケストレーション:ロリン・マゼール]:
1. ピガールの娘たち
2. うちにおいで
3. ジュテーム・ア・ラ・ラフォリ
4. 灰色の途
5. 奴隷
6. 女歌手は20歳
7. 浴室
8. ああ!
9. ピアノを弾く少年
10. 女、女、女
11. 他人の子
12. オールド・ファッションド・ワルツ ■
[録音]1988年4月25日、5月9日、クリーヴランド、セヴェランス・ホール
<CD13>
1-4. チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 Op.64
[録音]1980年10月10日、クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム
<CD14>
1-4. チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 Op.74「悲愴」
[録音]1981年10月4日、クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム
<CD15>
1-4. チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 Op.36
[録音]1981年10月5日、クリーヴランド、メソニック・オーディトリアム
【演奏】
ロリン・マゼール(指揮) クリーヴランド管弦楽団
[オリジナル・プロデューサー]ポール・マイヤース(Disc 3-10,12)、アンドルー・カズディン(Disc 2, 11)、スティーヴン・エプスタイン(Disc 13-15)
[リイッシュー・プロデュサー]ローベルト・ルス(ソニー・クラシカル・インターナショナル)
[トランスファー、レストレーション、リマスター][Disc 1]ナンシー・コンフォーティ、アンドレアス・K・マイヤー(ニューヨーク、スワン・スタジオ)[Disc 12]マシュー・ステック(アイアン・マオウンテン・デジタル・サービス)
[Disc 1&12 24bit/192kHzリマスター]マルティン・キストナー、スイア・キム(ベルリンb-sharpミュージック&メディア・ソリューションズ)
カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)
掲載: 2025年02月21日 12:00