「名作コンシェルジュ」掲載!ヤーノシュ・シュタルケル『バッハ: 無伴奏チェロ組曲全曲、コダーイ: 無伴奏チェロ・ソナタ』SACDハイブリッド
ハンガリー出身の名チェリスト、ヤーノシュ・シュタルケルが若き日に録音した『バッハ: 無伴奏チェロ組曲全曲、コダーイ: 無伴奏チェロ・ソナタ<タワーレコード限定>』が2025年3月9日(日)日経日曜版の鈴木淳史氏による名物コラム「名作コンシェルジュ」で紹介されました
初の全曲録音の魅力発見 メリハリ際立ち情感豊か(鈴木淳史氏評)
国内盤SACDハイブリッド2枚組
鈴木氏は「ハンガリー生まれの名手シュタルケルは、バッハの無伴奏チェロ組曲の全曲を4度録音している」としたあと、第1回目の全曲となる当録音が「メジャーレーベルに移籍して最初の大きなブロジェクト」「今回、初めてSACD化されたディスクを聴き、これは隠れた名盤ではないかと心が躍った」と紹介。その理由は「持ち味である豪快なフレージング、重心低く鳴らした和音。それでいて、遅いテンボの舞曲では、たっぷりとハーモニーをふくらませ、繊細な感情も歌に乗せる」「ゴツい顔した、いかにもぶっきらぼうな感じの人が、とても優しい心の持ち主だったといった、昭和のドラマに出てくる愛されタイプな演奏なのだ」と解説。カップリングのコダーイの無伴奏チェロ・ソナタはシュタルケルの2度目の録音。一度目の「1950年のビリオド・レーベルによる録音」は、「演奏家の名声を高める契機となったのと同時に、この民族的で超絶技巧の難曲を世に知らしめることにもなった名録音だ」と紹介。2度目の当録音は「勢いの良さをそのまま捉えた前回の録音と比べ、全体を見渡せる、より熱した演奏」とし、「原色の絵の具をぶつ.けたようなピリオド盤に比べ、細やかな色彩が耳を楽しませてくれる」と結んでいます。
(タワーレコード)
【収録曲】
<DISC1> Total time 71:24
1. ヨハン・セバスティアン・バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007
2. ヨハン・セバスティアン・バッハ:無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008
3. ヨハン・セバスティアン・バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番 ハ長調 BWV1009
4. ヨハン・セバスティアン・バッハ:無伴奏チェロ組曲 第4番 変ホ長調 BWV1010
<DISC2> Total time 72:14
5. ヨハン・セバスティアン・バッハ:無伴奏チェロ組曲 第5番 ハ短調 BWV1011
6. ヨハン・セバスティアン・バッハ:無伴奏チェロ組曲 第6番 ニ長調 BWV1012
7. ゾルターン・コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ 作品8
モノラル録音(1-3,5,7)、ステレオ録音(4,6)
【演奏】
ヤーノシュ・シュタルケル(チェロ)
【録音】
23 May 1958 & 1 February 1959 (Disc1 No.1), 20 March 1957 (Disc1 No.2), 22-23 May 1958 (Disc1 No.3), 9-10 June 1959 (Disc1 No.4), 29-30 August & 3 October 1957 (Disc2 No.5), 31 January & 1 February 1959 (Disc2 No.6), 4 October 1957 (Disc2 Kodály), No.3
Studio, Abbey Road, London MONO(No.1-3,5 & Kodály) STEREO(No.4,6)
【Original Recordings】
Producers: Walter Jellinek (Disc1 No.1-3, Disc2 No.5 & Kodály), Walter Legge (Disc1 No.4), William Mann (Disc2 No.6)
Balance Engineers: Edward Huntley (Disc1 No.1-3, Disc2 No.6), Christopher Parker (Disc1 No.4), Arthur Clarke (Disc2 No.5 & Kodály)
【原盤レーベル】
Warner Classics(旧EMI音源)
<シュタルケル生誕100年記念企画>
2024年に生誕100年を迎えた名チェリスト、シュタルケル珠玉の旧EMI音源のバッハと、代名詞的なコダーイを初SACD化!今回の発売のために新規で本国アナログ・マスターテープより192kHz/24bit化し最新復刻。新規解説付
タワー企画盤として他レーベルも含め復刻を推進してきたシュタルケルの真打盤であるバッハが遂にSACD化!2024年に生誕100年を迎えた名チェリスト、ヤーノシュ・シュタルケル(1924-2013)が1957-59年にかけて旧EMIレーベルに収録した記念すべき最初の全曲録音を、全4度中3度目の1957年の録音であるシュタルケルの代名詞的な作品、コダーイも含め最新で復刻を行いました。シュタルケルらしい強靭な表現と共にスケールの大きいこれらの演奏は高音質化によりさらに魅力を増します。今回の発売のために本国のオリジナル・アナログ・マスターテープから192kHz/24bitでデジタル化したマスターを用い、SACD層、CD層別々にマスタリング。新規解説付。永久保存盤です。
日本にも馴染みの深いシュタルケルのバッハ録音は1951年の米ピリオド・レーベルへの4曲からスタートした後、旧EMIへ未収録だった第2番を1957年3月に、そして同じく未収録の第5番が同年の8月と10月に録音が行われレーベルは2つに分かれますがこの時点で全曲録音は一応完成していました。ブダペストに生まれ、僅か11歳でソロデビューを果たしたシュタルケルは1945年には早くもハンガリーのオーケストラで首席奏者に就任しており、その後1948年にダラス交響楽団の首席、翌年にはライナーの招きでメトロポリタン歌劇場管弦楽団の首席奏者に就任。さらに1953年にはライナーと共にシカゴ交響楽団に首席奏者として入団し1958年まで在籍しています。この録音はちょうどシカゴ交響楽団在籍時からソリストに転じる時期に収録されており、以降再録音として1958年5月に第3番と第1番の一部、1959年1月に残りの第1番を(ここまでモノラル録音)、そしてステレオでの収録として同年1月末と2月にかけて第6番を録音し、最後の第4番が同年の6月に収録されシュタルケルとしては初めて同一レーベルでの全曲録音が完成しました。この旧EMI音源の価値はまずはここにあります。ちょうどモノラル録音とステレオ収録の狭間の時期となったことから2曲がステレオで残されてはいますが、元々単一楽器のため、録音的にはセパレーション含め違和感はありません。今回、本国のアナログ・マスターテープに遡ってのハイレゾ化により、むしろより近接した音像感で尚且つ鮮度が向上していますので、生々しい音色が蘇りました。シュタルケルはこの後1963年に米マーキュリーに有名な全曲録音を残し、さらに1992年には3度目の全曲録音がRCAから発売されていますので、レコード会社やリスナーからの要望もあるとは言え、生涯を通してバッハの無伴奏チェロ組曲を探求し続けたと言えます。しかしながら後の録音があるとは言え、この旧EMIの一番最初の全曲録音の価値は聴いてすぐわかる通り、極めて強靭な表現と鮮烈さでしょう。若くして巨匠の風格を備えていたシュタルケルには高度な技術と類まれな高い表現力があり、既に30代半ばにして解釈の論理性の深さと説得力の高さでは、他のチェリストに無い魅力がありました。この旧EMIの録音はマーキュリー盤の直前ということもあり埋もれている印象もありますが、内容的にも音質的にも、他に無い魅力があることが今回の最新復刻で如実に伝わると思われます。その点でも再評価が進む音源であることは確かです。
今回の復刻ではバッハに加え、同時期の旧EMIレーベルへの録音であるコダーイをカップリングしました。この曲は言うに及ばずシュタルケルと切り離せないほど著名な曲ですが、残された4つのセッション録音のうち3度目に当たる音源です(この後、唯一のステレオ録音かつカット無しの完全版である最後の1970年収録の日本ビクター盤は、2024年11月にNCS88034でSACDハイブリッド盤としてタワー企画盤が復刻済)。尚、2度目のピリオド盤が一番著名であり収録時期もあまり離れていないとは言え、演奏は異なって聴こえます。より近接したピリオド盤より間接音が多いことによりアグレッシヴさが多少薄れ、全体で調和された一体感が出ているのが特徴でしょう。尚、今回のアルバムはバッハ含めロンドンのアビー・ロード第3スタジオで全曲が収録されており、面白いことにプロデューサーとエンジニア各3名がクレジットされています。収録時期による都合とは思われますがその点も留意の上で聴くと今回の高音質化による効果として、また違う発見が出てくるのも興味深い点に違いありません。
このシリーズでは、SACD層では伸びのある高域と柔らかなニュアンスと共に高い解像度と豊かな音場を、CD層はまとまったしっかりとした音と共に押し出される実在感ある音色を目指しています。CD自体のポテンシャルも高く、むしろ両方の良さを堪能できるSACDハイブリッド盤としてもお楽しみください。尚、解説書には矢澤 孝樹氏による新規文章を掲載しました。今回のDefinition Series第65弾は、計2タイトルを発売いたします。
<音源復刻コンセプト>
当企画では、本国より取り寄せた192kHz/24bitのWAVデータを基本に、SACD層用としてDSDに変換後にマスタリングを行い、別途CD層用としてPCMでもマスタリングを施していますので、SACD層、CD層、それぞれ独立したマスタリングとなっています。PCMで編集した後にDSDにも変換を行う、もしくはDSDで編集した後にPCMにも変換を行うといった1回のマスタリング作業で兼ねるのではなく、SACD、CD、それぞれの特徴や音質を重視した上で、個別にマスタリングを行いました。その際、過去に発売された音源と極力比較する検証も行なった上で、音楽を最大限に生かすべく、オリジナルのアナログ・マスターテープを尊重した上での最適なマスタリングを心がけています。
※ 世界初SACD化
※ SACDハイブリッド盤
※ 一部モノラル録音(1-3,5,7)
※ デジパック仕様
※ 2024年最新マスタリング音源使用(192kHz/24bitで高品位デジタル化後にSACD層、CD層を個別にマスタリング)
※ マスタリング・エンジニア:藤田厚生氏
※ オリジナル・ジャケット・デザイン使用(解説書内に他のジャケット・デザイン(一部モノクロ)を採用)
※ 解説:矢澤 孝樹氏(新規解説) 、解説書合計16ページ
カップリング曲 コダーイのオリジナルLPジャケット
カテゴリ : タワーレコード オリジナル企画 タワー限定 ニュース | タグ : 高音質(クラシック) SACDハイブリッド(クラシック)
掲載: 2025年03月09日 09:30
更新: 2025年03月10日 12:00