クラシック音楽は難しくない!バロック音楽から現代音楽までをやさしく紐解く入門書『はじめてのクラシック音楽』
掲載: 2025年09月09日 10:46

モーツァルト、バッハ、ショパン……名だたる作曲家たちの音楽は、多くの人にとって“高尚”で“難解”なイメージがつきまとう。聴いてみたい気持ちはあっても、どこから触れればよいのか分からずに、つい敬遠してしまうこともあるだろう。そんなクラシック初心者の背中をそっと押してくれるのが、『はじめてのクラシック音楽』。本書は、クラシックに興味を持ち始めたばかりの人に寄り添い、その魅力をわかりやすく伝えてくれる入門書だ。
●クラシックとはいつの時代の音楽?
そもそも“クラシック”という言葉の意味をご存知だろうか。英語の辞書を引くと「一流の作品」「権威のある書物」といった定義が並ぶ。多くの人に長く愛され、時代を超えて受け継がれてきたものが“クラシック”と呼ばれる所以だ。
では、クラシック音楽とは“いつの時代の音楽”を指すのか。筆者によれば、現在広く聴かれているクラシック音楽の多くは、1600年代に始まったバロック音楽以降の作品だという。特に日本では、1685年生まれのバッハ以降の作曲家による作品が一般的とされている。
19世紀にはベートーヴェンやショパンといった巨匠たちが登場し、クラシック音楽は大きく発展を遂げる。20世紀初頭には、マーラーやリヒャルト・シュトラウスといった現代でも高い人気を誇る作曲家たちが活躍。だが、その流れを断ち切るように訪れたのが、第一次世界大戦だ。
人類史上初の近代的な大規模戦争は世界の価値観を一変させ、芸術や文化にも深い影を落とした。ホールやオペラハウスは破壊され、多くの音楽家が戦禍に巻き込まれる。こうしてヨーロッパで栄華を誇ったクラシック音楽は、ひとつの時代の終焉を迎えた。
●まずはCDを、そして“生”の音楽に触れる
クラシックを聴こうとする時、ストリーミングサービスや動画サイトなど様々な手段が思い浮かぶ。しかし筆者は、初心者こそまず“CDを手に取る”ところから始めるべきだと説く。オンラインでは曲名や演奏者、曲の構成などが分かりづらく、初心者には情報が断片的すぎてハードルが高いからだ。CDにはそうした基本情報が丁寧に記されており、ジャケットやブックレットも含めて“触れる体験”として記憶に残りやすい。
また録音された音源にも魅力はあるが、それでも筆者は“生演奏”の持つ力を重視する。クラシックの世界に足を踏み入れたなら、一度は一流の演奏家によるステージを体感してほしいという。最初のコンサートは短い曲を多く演奏するプログラムが推奨されることも多いが、あえて最初から大作に挑むことも一つの選択肢だ。
これが本物なのだという事実に圧倒されてみろということです。 (※注)
そんな一言に込められた思いこそが、クラシックの真髄なのかもしれない。
●オーケストラ=クラシックではない?
クラシック音楽と聞くと、真っ先に“オーケストラ”を思い浮かべる人は多いだろう。中央に指揮者、手前に弦楽器、後方に管楽器と打楽器が並ぶという扇型の配置は、クラシック演奏の典型的な光景として定着している。
だが実際には、この配置に厳格な決まりがあるわけではない。演奏する楽団や指揮者の方針、曲の性格によって、構成や並びは柔軟に変化する。さらに、演奏者の人数にもルールはない。クラシック音楽が宮廷から市民社会へと広がり、より大規模な会場へ対応してきた歴史の中で、編成も自然と拡大していったという歴史的背景もある。
そもそも「オーケストラ=クラシック」という等式自体が、やや誤解を含んでいる。たとえば映画音楽にもオーケストラは用いられるが、それは映像演出の一部としての音楽だ。芸術そのものを追究するクラシックのあり方とは目的を異にする。
では、クラシック音楽とは何か。明確な定義はないにせよ、形式や和声といった音楽的ルールに基づいていることや、特定の歴史背景に根ざしている点など、いくつかの観点から捉えることはできる。しかしそれらの枠から外れた作品も存在する中で、筆者はこう語る。
新しい美を生み出そうという創造性こそが芸術であり、クラシック音楽なのだ。 (※注)
クラシックとは、特定の時代や形式に縛られた音楽ではない。時代を超えて、美と創造の可能性を追い続けてきた、芸術の結晶なのだ。
本書は、その奥深さと豊かさを、初めてクラシックに触れる人にもわかりやすく伝えてくれる。未知の扉を開くその一歩に、きっとふさわしい一冊となるはずだ。
注)許光俊『はじめてのクラシック音楽』より引用
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